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  • 2021.09.22

肥満・生活習慣と癌(がん)


肥満は現代の病気の様々な引き金となります。

糖尿病、脂質異常症、痛風などの所謂「生活習慣病」、腰痛や膝の痛みなどの「整形外科的疾患」、冠動脈疾患、脳梗塞、睡眠障害、癌など様々です。

その中でも今回は「癌」と生活習慣・肥満について確認していきたいと思います。

癌は現代人の2~3人に1人かかると言われています。

ここまで急増したのは、高齢化や癌細胞を発見する精度が上がったことも要因です。また、生活習慣も大きく関わっていると考えられます。

肥満・メタボは現代人に非常に多い体型です。

肥満は、食道、大腸、肝臓、すい臓、腎臓、乳房(閉経後)、子宮体部などの多くの部位の癌のリスクを「確実に」上げる事が示されています。胆嚢、前立腺、卵巣の癌のリスクを上げるのは「ほぼ確実」とされています。

また、男性はBMI18.5未満の痩せがリスクを上げる「可能性あり」と判定されています。

何らかの癌での死亡リスクはBMI23~25未満と比較して、30を超えるグループに於いて約30%ほど増加します。27を超えるあたりから増加してくるので注意が必要です。19未満でも顕著に増加するというデータが出ています。

BMI=体重(㎏)÷身長(m)2乗

 

なぜ肥満が発がんと関係するのか?

肥満はインスリン抵抗性を招きます。その結果、インスリンやIGF-1といったホルモンが腫瘍細胞の増殖を促したり、アポトーシス(細胞死)が抑制される事で、癌のリスクを上げると考えられています。簡単に言うと、細胞が蓄積されやすい状態になるという事です。

また、肥満は全身において炎症状態を招きますので、そういった点もリスクを上げると考えられています。また、逆流性食道炎は肥満に多い病気なので、食道が炎症を起こし、食道癌に繋がっている可能性があります。

現在の日本人の食道癌は喫煙と飲酒が原因とされています。が、これも生活習慣ですね。

一方、痩せの場合は免疫力が落ちる事が推定されます。

 

根本的な予防策

癌は上記のように肥満や生活習慣でリスクが上がってしまうので、自身で出来る限りの予防はしておくに越したことはありません。

癌細胞ではミトコンドリアの機能低下が確認されています。ミトコンドリアは主に脂肪をエネルギーに変換する器官です。癌細胞の超初期段階で生じる現象として、細胞の「ミトコンドリア機能低下」と「解糖系路の亢進」の2つの代謝変化が生じている事が突き止められています。

従ってミトコンドリアを活性化させる身体活動(有酸素性運動)を習慣として取り入れる事は、予防に繋がる可能性があります。また、肥満の解消にもなるので効果的なのではないかと考えられます。この辺りは今後の研究が待たれるところです。

生活習慣は健康と密接に関わってきます。

糖質の多い現代食、不活動が中心の現代人の仕事・日常生活、この2点は文明の発展と共に増加しています。発展して健康を失うのは良い事なのでしょうか。

健康の維持のため意識して行動を起こす(体型の維持、運動習慣と食事管理)ことが必要です。

 


参考文献

臨床雑誌 内科 109-112, 2016-01

新たな研究の紹介 -癌と代謝-