BLOG

  • 2018.07.19

筋トレがメタボにもたらす効果

最近は、筋力トレーニングが代謝系疾患(生活習慣病をイメージしていただければと思います。)の予防と管理に効果的なのではないかという事が注目され始めています。

まだ日本ではそういった動きはかなり小さいのですが、私の所属するJSPENなどではサルコペニアへの関心がかなり高まっており、その改善の為には筋力トレーニングが極めて有効ですから、近々筋力トレーニングがブームとなるのではないかとみています。そして私自身もそのムーブメントを起こすべく、ここ数年活動を続けています。

今回はサルコペニアに関してではなく、代謝系疾患に焦点を当ててみたいと思います。

 

運動といえば有酸素性運動をイメージする人が多いですが、重要なことは有酸素性運動と筋力トレーニングの併用が、どちらか一方のみ実施するよりも、血糖コントロールといった代謝系疾患の項目の改善に大きな期待が出来ます。

最近の報告では週2回以上の筋力トレーニングは代謝系疾患の発症リスクと罹患率を抑える可能性があるようです。また、代謝系疾患の各危険因子に対して有意な効果をもたらす事から、筋力トレーニングを生活習慣に取り入れる事が望ましいです。

 

 

  • 空腹時血糖異常/2型糖尿病

筋力トレーニングは血糖コントロールの改善に非常に効果的です。これは老若男女問わず効果があります。

メカニズムとしては、筋収縮によるグルコースの取り込み、筋肉内のグルコース輸送タンパク質(GLUT4 )の増加と除脂肪体重の増加によるものです。

間接的には、筋力トレーニングにより日常生活での動作能力の向上が挙げられます。これは日常的な身体活動量が増加することになり、血糖コントロール、代謝系疾患の予防・管理に重要となります。

筋トレは糖尿病に効果的

 

  • 脂質異常症

筋力トレーニングは、総コレステロール、LDL(悪玉コレステロールの方がイメージしやすいでしょうか)、トリグリセリドの数値を改善させます。また、HDL(こちらは善玉と呼ばれたりします)が上昇する可能性があるとされています。

これらは筋力トレーニングによって肥満が解消されるから、と考えられています。脂質異常症の人は体重過多・肥満の傾向があるので、肥満の解消が重要です。

肥満の人は血圧が高い傾向にあったり、関節痛を併発している事も多いので、有酸素性運動に筋力トレーニングを補助として加えるのが推奨されます。

 

  • 高血圧

筋力トレーニングは高血圧の人の安静時血圧をある程度低下させることが分かっています。定期的な筋力トレーニングによって筋力と持久力が向上すると、血圧や心拍数の上昇などが低下するため、肉体労作を要する活動(ものを持ち上げたり、運んだりなど)をより安全に実施できるようになります。

筋力トレーニングは、最大強度の運動に対する血圧を低下させ、有酸素性運動実施後の心拍数と血圧の回復を向上させることが明らかになっています。簡単に言うと、運動後の回復が早いという事です。

 

  • 腹部肥満

体重と内臓脂肪を減少させるためには、栄養による調整も必要です。

筋力トレーニングは安静時の代謝を増加させ、内臓脂肪の減少をより高めてくれます。また、筋肉量の増加により日常生活での消費量も増加します。

上記の血糖コントロールにも効果的という事から、インスリンの分泌を多少なりとも減らすことができます。これはインスリンに脂肪をため込む働きがあるので、それを軽減させる事にも繋がります。

肥満に対する筋力トレーニングも有酸素性運動と併用して効果を引き出すと良いでしょう。

 

 

筋力トレーニングは様々な病気に対して予防・改善の効果があります。その他、以下の記事もご覧ください。

代謝改善の最適手段 筋トレ

認知症予防と運動

骨粗鬆症と運動

「サルコペニア」筋肉が無いのは問題です。

 

便利になった世の中こそ、積極的に運動の機会を取り入れていきましょう。

 


参考文献

Resistance Training for Metabolic Syndrome: Part1