糖質制限パート4 ガンへの効果
こんにちは。トレーナーの佐藤です。
引き続き、今回はパート4です。
がんや心疾患を中心に死に繋がる重大な病気に関して糖質制限食がどのような効果があるか、紹介していきます。
著書の中では日本の4大死因とされる、ガン・心疾患・肺炎・脳血管障害に関して糖質制限食は効果を発揮すると明記されています。
先ずはガンから紹介します。
ガンは現在、日本における死因の一位です。
そして日本に留まらず、すべての先進国で増加して猛威をふるっております。
その一方で研究も長年されており、治療法や予防法についての成果も徐々に報告されています。
ガンにも多くの種類があるのですが、生活習慣病型のガンについて世界がん研究基金という団体が2007年に
「腎臓ガン・すい臓ガン・食道ガン・子宮体ガン・大腸ガン・乳ガンの6つには肥満が関わっている。胆のうガンも恐らく関わっている」という報告をしています。
著書によると肥満は生活習慣病に起因している為、これらの7つのガンは生活習慣病型と呼ばれています。
そして、肥満が増えている昨今の日本を含めた先進国で急増しているタイプのガンとなっています。
高インスリン血症や高血糖も肥満に繋がるばかりか、発がん性(ガンを発症してしまう恐れ)があることが信頼性の高い研究でも示唆されております。
ここまでブログを読んでいる方は分かってきたと思いますが、肥満や高インスリン血症、高血糖がきっかけの一つである生活習慣病型のガンは糖質制限食で、予防効果がある可能性が非常に高いと言われています。
著書の中で糖質の過剰摂取とガンの関連する研究結果の紹介がされておりましたのでまとめてみました。
- 肥満や高インスリン血症、高血糖がガンと関連しているという研究は多数ある
- 高インスリン血症はガンの死亡率や進行が高くなると示唆されている-2005年 米国糖尿病医学会にて
- インスリン値の高い男性は、そうでない方に比べて最大で3倍程度ガンになりやすい-2007年 日本 厚生労働省研究班より
- 食後高血糖は発ガンに関与している-2007年 2011年 国際糖尿病連合より
- 糖尿病でないレベルの高血糖でも生活習慣病型のガンの発がんリスクを上げてしまう
- HDLコレステロールの高い人は発ガンのリスクが大幅に下がる-2010年 米国心臓病学会誌
- 糖質制限食が主な食生活となっているイヌイットはガンの発症が非常に少なかったが、欧米人との交流が盛んになって食の欧米化が進み、生活習慣病のガンが増加していった-2008年 イギリスの医学専門誌 「イヌイットとガン」
これほどまでに世界の様々な国や権威のある団体の研究によって糖質とガンの関連性が発表されてきました。
逆説的に言えば、イヌイットの例では糖質を制限することで生活習慣病のガンが予防できる事を証明できるということにもなりますね。
ここまで糖質とガンの関連性を紹介してきましたが、糖質制限食はポジティブな効果を与える可能性が非常に高いというところですが、科学的には未だ確証が出来ておりません。
その中で著書の中で記載されている仮説を紹介します。
ガン細胞は遺伝子であるDNAの複製ミスによって発生すると言われています。
この複製ミスは体内の高血糖状態が続くと活性酸素が発生し、活性酸素がDNAを傷つけて起きてしま可能性が示唆されております。
そして高血糖自体もDNAを傷つけて発ガンの原因となってしまう可能性や、高インスリン血症においてインスリンがガン細胞を増殖させてしまう疑いもあるとのことです。
またガン細胞はブドウ糖しかエネルギーとして使うことが出来ないので糖質制限をすることでガン細胞のエサであるブドウ糖がどんどん減っていくので増殖を抑える可能性が出てきます。
人の身体はブドウ糖だけでなく、脂肪酸や脂肪酸から作られる、ケトン体と呼ばれる物質をエネルギーとして使うことも出来るのでブドウ糖がなくても問題なく生きることが出来ます。
あくまで仮説ですが、とんでも論ではなく物質の性質上間違いない働きで、科学的に証明がされていないだけなのかなぁ、と思うところもあります。
ガンのタイプ
これまで生活習慣病型のガンを主にあげてきましたが、ご存知の通りガンには沢山の種類があります。
ここでは大きく2つの種類に分けていきます。
2つの種類とは、「生活習慣病型」と「感染症型」の2タイプです。
感染症型のガン・・・胃ガン・肝ガン・子宮頸がん
生活習慣病型のガン・・・腎臓ガン・すい臓ガン・食道ガン・子宮体ガン・大腸ガン・乳ガン・胆のうガン
前述の通り、ガン細胞は正常な細胞が増殖するときにDNAの複製に失敗して生まれてしまいます。
そしてウイルスに感染すると炎症が体内で起こり、細胞が頻繁に壊れて、壊れた細胞が修復される過程でDNAの複製ミスが生じる場合があります。
感染症型のガンの中で胃がんを例にしたものが著書の中で紹介されておりました。
胃がんの主な原因は胃の中にピロリ菌という特殊な細菌が住みついてしまうことだと言われております。
ピロリ菌が住みついてしまうと正常な場合の胃と比べて細胞の壊れる数が桁違いに増えてしまいます。
すると細胞は増殖しなければいけなく、10倍,100倍と多く増殖が行われます。
それだけ多くの増殖が行われるとエラーが起きる(ガン細胞が生成されてしまう)割合も相対的にみて増えてしまうのは必然です。
それ故に、胃がんになってしまう可能性が高くなってしまうのです。
生活習慣病型のガンは肥満が関わっていることから生活習慣病型のガンと言われています。
高血糖や高インスリン血症は生活習慣病型のガンの発がん性があることが明らかになっているのは前述の通りです。
感染症型のガンにおける糖質制限食の予防効果は残念ながらありません。
しかし、生活習慣病型のガンは糖質制限食は有効です。
最新の医学研究においても糖質制限食の生活習慣病型のガンに対する予防効果の有望さは認められつつあります。
その為、時間の問題なのではないかとの見方もあるようです。
ケトン体の可能性
前段でガンへの予防効果を紹介しましたが、糖質制限食の凄いところは予防だけではなく、治療の効果も可能性として十分にあるという点にあります。
その中で鍵を握るのはケトン体という物質です。
ケトン体は一定以上のレベルの糖質制限を行なった場合に体内で濃度が増してきます。
著者の病院式のスーパー糖質制限食を実行するとケトン体の値が高くなったり、ガンの存在を示すマーカーの値が下がった経験があると著書の中で紹介されています。
現在のところケトン体にガンの抑制効果があるのか、正確なメカニズムは分かりません。
しかしインスリンに発ガン作用があることは知られており、糖質制限食やケトン食で血糖を減らし、ケトン体を増やせばインスリンを多く出さなくて済む為、ガンの抑制効果があるのかもしれないと考えられています。
ケトン食とは難治性のてんかんの子供に用いられる治療食です。
脂質の割合が非常に高く、糖質が極端に少ない食事です。
これは各種SNSや雑誌、メディアでも紹介されるようになってきましたね。
簡単なイメージとしては糖質制限食をもっと徹底したものなので、これを実行すると体内のケトン体が非常に増えると言われています。
ケトン食は難治性のてんかんの治療を行なっていた子供の腫瘍が小さくなったことから注目を浴びました。
このケトン食も2011年のアイオワ大学と米国国立衛生研究所の共同実験によって臨床試験が開始されています。
著書の中で中間報告は2017年の7月、最終報告は2019年の7月に発表があると記載があります。
これからその発表も調べていきたいと思います。
今回はガンの項目が長くなってしまい、心疾患などが紹介しきれませんでしたが、区切りが良いのでここまでにします。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も今回の続きを紹介していきます。
【関連】
※参考文献
・江部康二の糖質制限革命-江部康二(東洋経済新報社)