糖質制限パート5 心疾患や肺炎、脳血管疾患への効果
こんにちは。トレーナーの佐藤です。
今回は前回紹介しきれなかった、糖質制限食が心疾患にもたらす効果から紹介していきます。
過去の記事は以下の通りです。
先ずは、「心疾患」と言われて何の事かパッと思いつきますか?
心疾患とは簡単に説明すると、心臓に起こる病気の総称のことです。
代表的な例を挙げると、狭心症や心筋梗塞、心不全などが心疾患に含まれます。
心疾患は日本において、ガンや脳卒中に並ぶ死因の原因の一つで、平成30年には年間で20万人超の方が心疾患が原因で亡くなっております。(因みに、ガンで亡くなった方は37万人超)
これほどまでに人々を苦しめる重篤な病気である心疾患に対しても糖質制限食は有効であると言われております。
著書の中では心疾患で死亡するケースは心筋梗塞が多くなっていると記載があります。
これは不整脈などによる死亡も結局のところ心筋梗塞が招いた不整脈が死に繋がっていると考えられるからです。
なぜ心筋梗塞が起きてしまうのか
心筋梗塞の原因は動脈硬化によるものだとされています。
そして動脈硬化は糖尿病や高血圧、肥満、喫煙、脂質異常症などがきっかけとなっています。
(動脈硬化を引き起こしてしまう順に記載しています)
今回のパート5まで読み進めていただいた方は「このパートで話していることと、あのパートで話していたことが繋がった!」と感じることも少なくないと思います。
前述の通り、喫煙を除く動脈硬化のリスクは全て、糖質制限食によって予防もしくは解消されることが可能です。
細かく見ていきましょう。
糖尿病はそもそも糖尿病の治療食が糖質制限食ですので良くなることは周知の事実です。
非常に効果のあることは既に証明されています。
直ぐに血糖値が改善されたり、食後高血糖もなくなり、数ヶ月で空腹時血糖値なども改善されていきます。
そして特に糖尿病患者の動脈硬化リスクとなる理由の一つは高血糖にあると言われています。
血糖値が高くなると血管が傷つきやすくなりますし、傷ついた血管は補修しようとするとコレステロールがくっつき動脈硬化が進んでしまいます。
逆に言うと糖尿病でも高血糖でなければ動脈硬化のリスクは抑えられることになります。
高血圧と肥満は脂質異常症と関連が深い
脂質異常症とは中性脂肪が高かったり、HDLが低かったりLDLが高いと診断されます。
しかし、糖質制限食を実践するとこれら全てが改善していきます。
エビデンスでもわかっていますが、著者の実体験でもほぼ毎日のように確かめている事実と記載されておりました。
今回までのパートからも分かる通り、心疾患や糖尿病、認知症などは全てが独立している病気ではなく体の中で起きた変化が連鎖的に起きて繋がっているようなものなのです。
ダイレクト試験と呼ばれる世界的に著名な研究によって、糖質制限食は高血糖が無くなったり、肥満が改善されたり、高血圧が無くなったりという様々なメリットを体にもたらしてくれることは証明されています。
糖質制限食は動脈硬派を予防する良い効果をもたらすと考えて間違いないと思われています。
死亡率について
「NIPPON DATA 80」という国が行った追跡調査によると、糖質を最も多く摂ったグループが糖質を最も少なく摂ったグループよりも心血管による死亡リスクが高いということが分かっております。
男女合わせて26%、女性だけで41%もの差があったとされております。
(死亡率が糖質を最も少なく摂ったグループの方が上記の%分、低かった)
これは事実として残っている研究結果です。
そして著者は糖質制限の効果を実際の経験に基づいてこのように考察しております。
動脈硬化の予防について、血管内に出来たプラーク(こぶのようなもの)が改善、あるいは消失した人がいらっしゃると記載しておりました。
プラークは脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因の一つと言われており、ほうっておけない症状なのです。
これが無くなると言うことはとても画期的なことですよね。
他にも心筋梗塞の人へのカテーテル手術で使われる、ステントの数が増えなくなったということです。
ステントとは冠動脈の狭くなっている場所に入れる金属製の管状の小さな器具のことです。
通常、カテーテル手術を行い冠動脈の狭くなった場所にステントを入れて押し広げるとそのままでは済まず、ある年に1本。またある年に1本とどんどんステントの数が増えていきます。
それは動脈硬化が悪化しているからです。
それに対して糖質制限食を行なっている人の場合、ステントが全く増えないということが起きます。
つまりは動脈硬化の悪化を防ぐことが出来たからだと思われます。
凄く良い効果ですね。
肺炎と高タンパク質食
日本人の3大死因に次いで多いと言われているのが肺炎です。
(肺炎を3大死因に合わせて4大死因とも言われています)
肺炎は以前からずっと多い訳ではなく、最近になって死因として増えてきています。
2012年には厚生労働省が懸念を表明しているそうです。
肺炎は感染症でもあります。
感染しやすいのは高齢者で、死者も高齢者が多いのが現実です。
しかし、実は肺炎の感染の予防には動物性のタンパク質が有効ということがわかってきています。
血清アルブミンと言われる、血液中のタンパク質がありその血清アルブミンが1㎗あたり4.3g以上ある方と、それ以下の方とでは感染症の感染リスク、および死亡率が明確に違うそうです。
(血清アルブミンが高い方がリスクが下がる)
そして血清アルブミンを増やすには魚・肉・卵という動物性のタンパク質を摂ることがベストですので、感染症の予防の為にも動物性のタンパク質を摂っていくべきだと思います。
いくつか前の話に戻りますが、糖質制限食は糖質を減らすので、調整しないと摂取カロリーが減ってしまうので、タンパク質を摂ることでカロリーの不足を補っていきます。
自然と動物性のタンパク質が増えていくことから感染症の予防にも効果的である可能性が高いことが予測されます。
また感染症だけにとどまらず、血清アルブミンが高いということは認知症や骨粗しょう症という高齢者にとって心配される病気への予防効果もあるということが分かっています。
糖質制限食が脳梗塞や脳出血にもたらす効果
脳梗塞や脳出血は脳血管疾患の中の一つであり、脳血管疾患とは日本における3大死因の一つです。
著書の中で紹介されているのは脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血の3つです。
これらを分けて紹介していきます。
脳梗塞
脳梗塞は脳の血流が途絶える病気で、現代の日本において増えてきているものとされています。
脳の血管が詰まり、血流が悪くなる事が原因ですので血流を改善させる糖質制限食は有効と判断できます。
(高血糖がなくなる事により、血管の損傷およびコレステロールの付着なども減るため)
脳出血
脳出血は脳の血管が破れることで脳細胞が死滅してしまいます。
脳出血に対しては脂肪を多く摂る事が予防につながると、近年の研究で分かっています。
糖質制限食は糖質を減らした分、脂質は以前より増えるので脳出血に対して効果的だと言えるでしょう。
クモ膜下出血
このクモ膜下出血に対しては糖質制限による予防効果はあまり期待できないと書かれていました。
動脈瘤異常という先天的な要因が関わっているからだと思われます。
脳血管疾患が死につながるケースとして、脳梗塞や脳出血が大部分を占めていることから糖質制限食による予防は非常に有効的だと考えられます。
まとめ
これまで紹介した、肺炎を合わせた4大死因はいずれも糖質過剰がリスクを上げて、糖質制限がリスクを下げることは分かったと思います。
その中でも糖質制限食の予防効果が明確に出てくるのはこれからだと著者は紹介しています。
過去の研究でも数年から20年程度の研究期間を有しているものがほとんどですので、未だ時間はかかりそうです。
しかしデメリットは皆無に等しく、メリットの多い糖質制限食は今にでも行ってみる価値は高いと言えます。
ガン細胞の成長や血管へのダメージ、その他諸々の生活習慣病は急に起こるわけではなく身体の中で密かに進行しているケースは少なくありません。
今から糖質制限食を始めて、10年20年、あるいはもっと先の未来で恩恵を受けること(健康でいられること)は可能性として高いと判断できます。
このブログを読んで興味を持っていただいた方は是非、取り組んでみては如何でしょうか?
その際は誤った情報を入れない為にも江部先生の著書を参考にしていただくことをお勧めします。
今回はキリが良いのでこれで終わりにします。
次はパート6。
栄養学について紹介していきます。
【関連】
※参考文献