運動がうつ病に及ぼす影響について
うつ病とは
うつ病とは簡単に言うと「気分が落ち込んでいる」などの状態を言います。精神医学では抑うつ状態という用語を用いることが多いようです。
うつ状態がある程度以上、重症である時、うつ病と呼ばれるようです。
うつ病は外因性あるいは身体因性、内因性、心因性あるいは性格環境因性と分ける場合があります。
多くは内因性であり、これは典型的なうつ病であり、普通は抗うつ薬がよく効きますし、治療しなくても一定期間内によくなるといわれます。
ただ、本人の苦しみや自殺の危険などを考えると、早く治療したほうがよいことは言うまでもありません。
原因
環境のストレスなどが引き金になる場合もありますが、何も原因となることがないまま起こる場合もあります。
このようなタイプのうつ病では、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっていると推測されています。
しかし、これもセロトニンやノルアドレナリンに作用する薬がうつ状態に効くことがあるため、考えられていることであり、まだ十分に実証されているとはいえません。
さて、簡単にうつ病について述べました。日本にはおよそ104.1万人(2008年)の患者数がいるようです。
この『うつ病』に対しては運動がそれなり(中程度)の軽減効果があるとされています。以下の文献の要約を掲載します。
引用:A Review on Anti-anxeity of and Anti-depression of Exercise
要約
運動の不安軽減効果及びうつ軽減効果について,先行研究を精査して再検討した結果,以下のような要約を得た.
1)運動は小から中等度の不安軽減効果があり,他の精神療法等と同等の効果がある.
2)運動は中等度のうつ軽減効果があり,他の精神療法等と同等の効果がある.
3)不安軽減を引き出す運動の種類は,有酸素運動 (ウォーキング,ジョギング,ランニング等)と非有酸素運動(レジスタンス/ウエイト・トレー ニング等)である.それらの運動強度・時間・頻度・期間は,
- 強度:50~70%HRMax
- 時間:20~60分程度
- 頻度:3 ~5回/週
- 期間:8週間以上
である.
4)うつ軽減を引き出す運動の種類は,有酸素運動 (ウォーキング,ジョギング,ランニング等)と非有酸素運動(レジスタンス/ウエイト・トレーニング等)である.それらの運動強度・時間・頻度・期間は,
- 強度:50~70%HRMax
- 時間:30分以上
- 頻度:3 回/週
- 期間:8週間以上
である.
5)運動の不安軽減効果とうつ軽減効果は,一過性の運動,継続的な運動,両性,各種年齢集団にあてはまる.
6)運動は不安及びうつを増悪させない.
さらに,運動にはオーバー・トレーニングや過労や不注意等による外傷・障害等の危険性を除けば,副作用はなく,健康・体力の増進という利点がある.
しかも,薬物療法や精神療法等の費用に比べて,はるかに軽費ですみ,医療財政における経費削減への貢献度は高い.
したがって,運動療法はその効果の程度及び各種の関連する利点を総合的に勘案すれば,薬物療法や精神療法等の代替え治療法や補完治療法とし有用性が高いと言える.
厚生労働省が実施している患者調査によれば、日本の気分障害患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでしたが、2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、著しく増加しています。
患者数は年々増えているという事です。(もちろん本当の増加なのか、うつ病であるという判断方法の違いの影響なのかは考慮する必要があります)
要約したように、うつ軽減に対して運動はデメリットがなく、定期的に中程度の強度で実施ができれば年齢性別問わず精神療法(主にカウンセリング)と同等の効果があるという事です。
気分が落ちているという人は、ぜひ運動を実施されることをお勧めします。
何をやったらいいのか、一人でやるのは不安だ・続かないという方はパーソナルトレーナーを頼るのも一つの手段となり得ます。(パーソナルトレーナーを付ける良さと選び方)
また、将来的にIGFとしても精神科医と連携して患者さんのケアができないかということも探っていきたいと思います。
最後に
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。
IGFは人類の健康増進と社会の発展に貢献する。を理念に掲げて活動しています。
一人でも多く健康を目指す方をサポート出来ればと考えております。