筋トレ 内臓肥満・炎症性慢性疾患のエビデンスレビュー
筋トレが内臓脂肪や炎症性疾患に及ぼす効果について、いろいろなエビデンスをまとめた文献を簡単に紹介します。
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内臓脂肪は炎症の重要な危険因子です。
糖尿病や心血管疾患のリスク増加に関係します。
大抵の場合、身体活動を介して過体重および肥満を治療・予防するためには、有酸素性運動が筋力トレーニングよりも運動消費エネルギーが大きいので、有酸素性トレーニングが推奨されることが多い。
しかし、筋肉量の減少によって代謝が影響を受けるため、加齢および肉体活動の減少は代謝性疾患の高い有病率に繋がる。
筋力トレーニングが体脂肪の分布を変化させる可能性があることを示唆する証拠があるため、筋トレ後の筋肉量の増加が、より良い代謝コントロールに繋がる役割を担う可能性がある。
座りがちな健康または肥満の成人に対する長期間の筋力トレーニングは、血清CRP(炎症の指標となります)の安静時レベルを低下させる。
1RMの80%以上の強度でアディポネクチンおよびレプチンレベルを改善する傾向がある。
アディポネクチン:インスリンの作用を介さずに、運動効果とほとんど類似のグルコースを取り込む作用を示すことになる。→血糖値を下げる作用があるということです。
レプチン:食欲を抑えるホルモンで、肥満の人はレプチンが効きにくくなっている。→トレーニングで効きやすい方に傾いてきます。
参考文献:Resistance Training, Visceral Obesity and Inflammatory Response: A Review of the Evidence
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1RM80%というと我々の業界では中程度の強度と言われますが、実際にこの負荷のトレーニングは一般の皆さんが考えるよりは随分刺激の強いものになると思います。(やったことある方は分かると思います)
この負荷を日常生活や自宅トレーニングで与えるのはかなり難しいと考えられます。
日常生活での筋力発揮は20〜40%程度とも言われているからです。
また、自宅でのトレーニングは機材が少ない為、ほぼ自重でのトレーニングとなりそれ以上負荷を増やす事がかなり難しいです。
つまり、代謝を下げずに運動によって生活習慣病(=代謝性疾患)を予防・改善したい場合は”ジムに行ってバーベルやダンベルを使って十分な負荷を筋肉に与えることもした方が良いだろう”ということです。
有酸素性運動だけでは長期的に見ると筋肉量が減ってしまうので、ジムに行く必要があるという主張にはある程度の説得力があるようにも思えます。
メタボリックシンドローム改善のための食事
内臓脂肪を減らすには運動も大事ですが、同じくらい食事の内容も大事です。
カロリーについて
まずはカロリー収支をマイナスにすることが大前提です。
カロリー収支とは、
- 消費カロリー(-/出ていくカロリー)
- 摂取カロリー(+/入ってくるカロリー)
出ていく分が多ければ脂肪は減る、入ってくる分が多ければ脂肪が蓄積されるというシンプルなものです。
消費カロリーはほとんどが基礎代謝です。運動消費カロリーはだいたい200~300kcal/h程度になるので、1日の消費カロリーはあまりコントロールする事はできません。
大事なのは摂取カロリーを抑える事です。
とはいえ、食事をかなり減らして1000kcal未満にするといった必要はありません。
例えば1500kcal程度にするくらいで十分です。
現在、メタボに悩んでいる方は1500kcalくらいの食事でも十分減量効果は得られるでしょう。
カロリーを抑える際、まずは食事量を減らす事が良いかもしれません。
単純に普段食べている量を3割減らせばカロリーも3割減ることになります。
いったん内容を無視すれば、これが一番分かりやすい調整の仕方です。
食事内容について
食事量を調整したら今度は食事内容を考えましょう。
例えば、100gのロース肉をヒレ肉に変えるだけで約100kcalの削減になります。鶏むね肉なら約150kcalの削減です。
米の量を2割減らして、そのぶん野菜を沢山食べれば満足度も高いうえに摂取カロリーは減ります。
鍋は〆の雑炊や麺を食べなければ、野菜や肉が摂れてダイエットにはかなりよい食事になります。
このように、食事内容を変えるだけで量を減らさずとも摂取カロリーを減らす事が可能です。
調理法も”揚げ”ではなく、蒸す、ゆでる、焼くなどにすれば油が減るのでカロリー削減になります。
何を食べるか、どのような調理法かに着目すると減量はより捗ります。
最後に
このご時世(新型コロナ)ですから、フィットネスクラブに行くのは気がひけるでしょう。
私が推奨するのは週1・2回はパーソナルジムで3密を避けながら筋トレ、週3〜5回は自宅周辺などで有酸素性運動が良いかと思います。(週5~6回は何らかの運動を行うという事です。)
フィットネスクラブは多くの人が集まるので感染対策には向いていません。
※2022年7月現在では、新型コロナウイルスによる重症化も(ワクチンのおかげか弱毒化かわかりませんが)かなり減ってきており、心理的にも人が集まる場所への参加ハードルはずいぶん下がっていると感じます。
更衣室と風呂場とスタジオは3密が成立しやすく、ジムエリアやシャワールームは利用ごとの消毒は現実的ではありません。
パーソナルジムはジムの設計やトレーナーの指導の仕方により密に当たるか当たらないかが分かれます。
自粛生活では、これまで以上に筋肉が減りやすい環境です。そんな中でも代謝維持のために筋肉を減らさない努力を考えていきたいですね。
自宅トレーニングを行う際はIGFが運営しているYouTubeもぜひ参考にしてみてください。
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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