柔軟性向上には筋トレかストレッチか?
柔軟性を向上させたいと考えたときに、「(静的)ストレッチしよう」と考えるのは一般的な考えだと思います。
柔軟性を上げたい→「筋トレしよう」と考える人は少数派でしょう。なぜなら、筋トレをすると柔軟性が向上するということを知っている人がそもそも少ないからです。逆に、筋トレによって可動域が減少しそう…と考えている人はチラホラいます。
今回は、柔軟性向上には「ストレッチ vs 筋トレ」で解説します。
静的ストレッチの効果
筋肉を伸ばして、気持ちの良い所で静止して30秒程度保持するのを静的ストレッチと言います。これは皆さんが「ストレッチ」と聞いて、一般的に思い浮かべるストレッチのやり方です。
ストレッチの主な効果は以下の通りです。
- 柔軟性の向上
- リラックス効果
- 力発揮能力&筋収縮速度の低下
デメリット効果は青字で書きました。
リラックス効果がある反面、力の発揮に関してはマイナスに作用します。
筋トレの効果
マシーンやダンベル・バーベルを使った一般的な筋トレの効果は以下の通りです。
- 筋力の向上
- 筋肥大(=代謝の向上)
- 筋持久力の向上
- 柔軟性の向上
- 心肺機能の向上
このように、筋トレでも柔軟性が向上する事が分かっています。
可動域改善の比較
こうしてストレッチと筋トレの恩恵の数を比べると、筋トレの方が恩恵が多いので、筋トレをやった方が良いのでは?と思うはずです。
ただ、その前にもう一段階考えてみましょう。「ストレッチの方が筋トレよりもめちゃくちゃ可動域向上の効果が高かったら、ストレッチも入れた方がいいとなるのでは?」という事です。
筋トレとストレッチの可動域についての比較研究があったので紹介します。
可動域を改善するための筋力トレーニングとストレッチングの比較。システマティックレビューとメタアナリシス
背景:ストレッチは可動域(ROM)を改善することが知られており、ストレングストレーニングも有効であることが示唆されている。しかし、その効果がストレッチと同等であるかどうかは不明である。ストレングストレーニングとストレッチのROMへの効果を評価したランダム化比較試験(RCT)を系統的にレビューし、メタ分析することを目的とした。
方法:Cochrane Library、EBSCO、PubMed、Scielo、Scopus、Web of Scienceを2020年10月に参照し、2021年3月に更新、その後参考文献リスト内の検索と専門家の提案(言語や年度の制約なし)。
結果:11 の論文(n = 452 名)が含まれた。プールデータでは、ROMに関してストレングストレーニングとストレッチングの間に差はなかった。バイアスリスク、能動的ROMと受動的ROM、関節あたりの動作に基づくサブグループ分析では、ROMの獲得量にプロトコル間の差は見られなかった。
結論:ストレングストレーニングとストレッチはROMに対する効果に差はなかったが、研究のデザイン、プロトコル、母集団の点で異質性が高く、さらなる研究が必要である。しかし、すべての研究の質的効果は極めて均質であった。
結果は、筋トレとストレッチの間に関節可動域改善の差は無いという事でした。これで私が挙げた疑問「もし、ストレッチの方が筋トレよりもめちゃくちゃ可動域向上の効果が高かったら、ストレッチも入れた方がいいとなるのでは?」は見事に打ち砕かれたのです。
まとめ
人がフィットネス活動に割ける時間は限られています。
筋トレは、筋肉を強くしたり、大きくしたり、心肺機能を少し高めたりするわけですが、ストレッチと同じくらい柔軟性の改善効果もあるので、投下時間に対するリターンはかなり大きいです。優先的に取り組んだ方が良い運動様式だと言えます。
柔軟性を高めたいと思った時は、筋トレをしてついでに筋肉も向上させると良いのではないでしょうか。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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