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  • 2019.08.11

【筋肥大】超高齢者に栄養療法と低負荷運動療法を実施した研究


筋肉を増やしたい…

  • 身体が大きくならない…

といった悩みを持ってIGFへお越しになる方も沢山いらっしゃいます。

ダイエットばかりが注目されますが、筋肉を付けること、筋肉の質を高めていくことは、脂肪を減らすのと同じくらい健康において大事な事です。

なかなか筋肉が増えないとお悩みの方にも参考になる研究となります。

今回はサルコペニア(筋肉が少なすぎる状態)に関する最近の研究を紹介します。


要旨

【目的】高負荷運動療法が困難である超高齢者のサルコペニアに対して、栄養療法+低負荷運動療法を行い、プロトコールの安全性と身体に与える影響について検討した。

【対象】栄養状態良好でサルコペニアと診断された76名のうち、高負荷運動療法施行が困難と判断し、栄養療法+低負荷運動療法を実施した23名を後方視的に検討した。

【方法】週3回3か月間栄養療法+低負荷運動療法を行い、栄養状態や身体能力の評価を行った。

【結果】完遂率91.3%、運動療法中断率5.2%、運動療法後栄養療法不能例はなかった。歩行速度、Time Up and Go(TUG)、Short Physical Performance Battery(SPPB)で有意に改善した。

【結論】栄養療法+低負荷運動療法は安全に行えたが、効果は限定的であった。

 

低負荷運動療法の内容

座位:上肢を前方に伸ばし、手指の屈曲・伸展、上肢と体幹の同側回旋、腕振りと同時に足踏み、頸部の屈曲・伸展・回旋

立位:何かに捕まりながらつま先立ち20回、片脚立位両側10秒と30秒保持、股関節外転運動10回、スクワット10回、足踏み20回

座位:両下肢同時に膝伸展10秒保持、膝伸展10秒保持状態で肩の最大屈曲、膝伸展10秒保持状態で両上肢の前方突出各20回、体幹のストレッチ(後ろへの振り返り)(胸を張る)、深呼吸

 

栄養療法の内容

ペムパルアクティブ®を運動療法終了直後に摂取。

 

結果

食事は1600kcal/日、タンパク質50~60g/日

ペムパルアクティブを含めた1日平均摂取エネルギー量は1583.8±179.8kcalで、1日タンパク質摂取量は51.0±5.8gであった。

1日の必要エネルギー量は、ストレス係数1、活動係数1.3とするとHarris-Benedictで1233±132.3kcal、InBodyによるカニンガム公式で1301.2±143.6kcalであった。高齢者の最適なタンパク質摂取量は運動実施時であれば1.2-1.5g/㎏/日であるが、今回は低負荷運動療法であったので1.2で検討すると1日タンパク質必要量は53.3±9.4gであった。これによりエネルギー量もタンパク質もほぼ充足出来ていると考えられた。

有意な改善を認めたのは、歩行速度、TUG、SPPBで、TUGは転倒リスクのカットオフ値である14秒以上から13.0秒に、SPPBはEWGSOPの身体機能の低下基準である8点以下から8.6になった。また本来の評価方法とは異なるがSPPBの一項目である椅子立上りテストを秒単位で検討すると、17.6±5.1秒から14.6±5.1秒と有意に改善した。

重症サルコペニア7人がサルコペニアに改善した。

その他項目においても3カ月間有意な増悪を認めず、栄養状態・サルコペニア・運動パフォーマンスは維持されていた。


※ペムパルアクティブは現在販売を終了しているようです。成分を見る限り、他社の製品(ザバスなど)と大差ないのでマーケットを他社に譲ったのだと思います。

ここからは私見です。

高負荷の運動が実施できない方に対する、低負荷の運動療法という事で非常に興味深い研究だなと思います。

トレーニング指導者としてこの研究を活かすなら、低負荷運動メニューを再構築するわけですが、

【スクワット】

1週目:10回×1セット

2週目:10回×2セット

3週目:10回×3セット

4週目:10回×3セット

5-7週目:12回×3セット

8週目以降:①15回×3セット、②10回2セット、③12回3セット

【階段昇降】

1ヶ月目:20回(10㎝高)

2ヶ月目:20回(10㎝高)×2セット

3ヶ月目:10回(15㎝高)×1~2セット

このような形でトレーニング量や強度を段階的に増加させていきます。ただしメニューはこれだけ。セット間も90秒程度休息を入れます。

準備運動には研究でも行われている1つ目の座位のメニュー、最後の整理運動は歩行を5分ほど、深呼吸で息を整えてから終了、といった感じです。

上記の研究では立位での運動量が少ないので、筋肉量の有意な増加が現れなかったのだろうと考えられます。

筋肉量の増加には強度が一番ですが、トレーニング量も大事です。なので、体力が上がってくる2ヶ月目、3ヶ月目は運動量を増やす必要があります。※有害事象の発生にも気を配る必要はあります。

もちろん筋肉量増加には栄養も必要なので、タンパク質量がもう少し摂れているとより筋肉量は増加しやすいのではないかと思います。

例えば、上記の食事+補助食品に加え、起床直後と就寝前にアミノ酸またはプロテインを摂るか、おやつの時間を設けるなどして、カロリーとタンパク質を付加すると結果はまた違ってくると思われます。

少なくとも筋肉が減ることは無いでしょう。

 

サルコペニアは今後もますます増えていくと思われます。

一人でも多くの方が筋肉と体力を増やせる事を願っております。また、悩んでいる方の助けとなるよう日々精進して参ります。


参考

超高齢者における栄養療法+低負荷運動療法の後方視的予備的検討:日本静脈経腸栄養学会誌 Vol.32 No.3 2017 P1203-1206


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