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  • 2022.08.31

がん生存者に対する高強度トレーニングは安全か?


がん経験者は、しばしば骨格筋量の低下や体力の低下を経験します。また、特定部位の浮腫を伴う人も多いです。

こういった問題をまとめて解決するために、筋力トレーニング(=レジスタンストレーニング)は有効な手段です。

中強度のレジスタンストレーニング(MidRT)は、がん生存者において安全であると考えられています。一方、高強度のレジスタンストレーニング(HIRT)については、証拠が不足しています。したがって、今回は、がん生存者におけるHIRTセッションの安全性と実現可能性を調べてみました。

対象

24名のがん生存者(乳がん14名、前立腺がん10名、61.6 ± 9.5歳、肥満度27.0 ± 4.3 kg-m-2、一次治療終了後6~52週間)

方法

うち23名が、HIRT(1RM90%)およびMidRT(1RM67%)のセッションを含む変動ピリオダイゼーションモデルで12週間のレジスタンストレーニングを開始した。安全性(有害事象およびトレーニング関連痛)、実現可能性(肉体的・精神的疲労、努力感、楽しさ、脱落率)、継続性の各パラメータを評価した。

結果

  • トレーニング開始者23名中83%に当たる19名が全セッションを完了した。
  • 14件の軽微な有害事象が発生した。
  • HIRTでは、身体的疲労の増加が有意にみられた(p < 0.001)。
  • トレーニングに関連した疼痛が18%(HIRT)および19%(MidRT)のセッションで報告されたが、強度による有意差はなかった。
  • HIRTの34%、MidRTの35%のセッションで、過度のトレーニングまたは部分的な過度のトレーニングであったが、楽しさ(1-7スケールの中央値および四分位値)は両者とも高かった(HIRT = 5 [5;6], MIRT = 5 [4,6])。

我々の分析は、HIRTセッションが安全性や実現可能性に関してMidRTセッションと差がないことを示しているが、トレーニングに関連した痛みは監視する必要がある。高強度トレーニング負荷を組み込んだレジスタンストレーニングプロトコルは、乳房および前立腺のがん生存者に安全に適用することができる。

高強度トレーニングは軽微な有害事象が発生するということでしたが、安全性や実現可能性は中強度トレーニングと差がないとのことでした。軽微な有害事象は、トレーニング中の筋肉の高出力による痛みと思われます。セット間の休息を十分にとりつつ、専門家の監視下のもと行うのであれば、高強度トレーニングを行なっても良さそうです。

高強度のトレーニングは達成感があるので、楽しさの部分もある程度感じることができそうです。

高強度トレーニングは何のために?

高強度の筋力トレーニングを行うと何が良いのでしょうか?

それは、筋力の向上が起こることです。筋力が高まれば、日常生活の動作が楽に遂行しやすくなります。

例えば、下半身の筋力はダイレクトに自分の体重を支える事に直結し、これが強くなると立ち上がったり、歩いたり、階段・坂道を登ったりといった動作が楽になります。また、上半身の筋力は、バッグや買い物袋を持ち運んだり、家の片付けでモノを収納したり、髪の毛にドライヤーをかけるなどでよく使われます。

単純に『力が強い』というのは生活に直結するという事です。

中強度トレーニングの効果は?

中強度トレーニングの場合は、筋力の大幅な向上は見込めませんが、それでも多少なりの筋力は付きます。

中強度の効果としては、①主に筋肉のサイズが大きくなる、②筋肉の持久力がつきやすい、が挙げられます。

①筋肉が大きくなる、これは代謝が上がったり、低体重を改善する役割があります。ご存知かもしれませんが、体重が軽すぎることはその後の生存率にも大きく関わります(低体重は死亡リスクが跳ね上がる)。また、代謝が上がると、血糖コントロールや血中脂質の改善にもつながります。

もちろん、筋肉を大きくするには栄養摂取も同時に取り組まなければなりませんが、中強度トレーニングにはそのような効果があります。

②筋持久力がつきやすい、これは動作を長く続けやすくなるという事です。ある程度の距離(特に坂道・階段)を歩いたり、腕が疲れにくくなることでモノを持ち運ぶ時間が伸びたりします。お出かけしても休憩が多くなっては楽しむ時間が半減してしまいますよね。筋持久力が向上すれば、休憩時間が短く済むようになります。

まとめ

高強度トレーニングは監視下の元であれば、安全に実施できることが示されました。

トレーニングの強度によって得られる効果が異なるので、高強度トレーニングで力を付け、中強度トレーニングでその力を持続させて、身体を大きくする。このように使い分けると、がん経験者(今回は乳がん、前立腺がん)の体力レベルの改善をより効率的に進めることが可能になるでしょう。

個人的には高強度2割、中強度8割くらいの比率でトレーニング計画を作ると良いかなと考えています。


参考文献

Feasibility of High-Intensity Resistance Training Sessions in Cancer Survivors

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パーソナルトレーナー 井上大輔

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