スポーツマッサージがパフォーマンスと回復に及ぼす効果
マッサージはエリートスポーツではどこでも行われており、アマチュアスポーツやスポーツをしていない人にとっても一般的になってきていますが、この介入に関するエビデンスは体系的に検討されたことはありません。
過去の研究により既に知られていることとしては
- 小規模なメタアナリシスでは、マッサージはパフォーマンスの回復にわずかで一貫性のない改善を与える。
- 小規模なメタアナリシスでは、マッサージは痛みや遅発性筋肉痛(DOMS)に有意な改善を与えない。
- 研究では、マッサージの柔軟性への効果は一貫していないことが示された。
そこで今回は、スポーツパフォーマンスおよび回復の指標に対するマッサージの効果を検証するために、系統的レビューおよびメタ分析が行われた研究を見ていきます。この研究には、無作為化対照試験(RCT)12件、無作為化クロスオーバー試験17件で、合計1012人の参加者が含まれています。
スポーツマッサージの効果
筋力パフォーマンスへの影響
- 12の研究では、スポーツマッサージが運動後の筋力の回復に影響を与えるかどうかが検討されました。
- これらの研究のメタアナリシスでは、マッサージは筋力に対して全体的な効果はないとしています。
ジャンプパフォーマンスへの影響
- 5つの研究では、スポーツマッサージがジャンプパフォーマンスに影響を与えるかどうかを検証しています。
- これらの研究のメタアナリシスでは、マッサージはジャンプパフォーマンスに対して全体的な効果はないとしています。
スプリントパフォーマンスへの効果
- 7つの研究では、スプリントに対するスポーツマッサージの効果を調査しています。
- メタアナリシスでは、マッサージは短距離走のパフォーマンスに全体的な効果はないとしています。
持久力パフォーマンスへの影響
- 持久力に対するマッサージの効果を検証した3つの研究を確認しました。
- これらの研究のメタアナリシスでは、マッサージは持久力に対して全体的な効果を示さなかったとのことです。
筋肉疲労に対する効果
- 筋肉疲労に対する効果は4つの研究で調べられています。
- メタアナリシスでは、マッサージの疲労に対する有意な効果は認められなかったようです。
柔軟性に与える影響
- 柔軟性に対する効果は5つの研究で調査されています。
- これらの研究のメタアナリシスでは、マッサージは柔軟性スコアを7%有意に増加させたようです。
遅発性筋肉痛に対する効果
遅発性筋肉痛は、あらゆるレベルのアスリートやフィットネス参加者が経験する運動後の筋肉の不快感です。不快感の強さは運動後24~72時間以内に増し、 5~7日後に治まります。
- 遅発性筋肉痛に対するマッサージの効果を検討した10件の研究で調べられています。
- これらの研究のメタアナリシスでは、マッサージは運動後の遅発性筋肉痛の測定において統計的に有意な13%の改善と関連していることがわかったようです。
まとめ
今回見た研究で、現時点で分かっているマッサージの効果は
- マッサージは、パフォーマンス(スプリント、ジャンプ、筋力、持久力、柔軟性、疲労度)の測定において、有意な改善をもたらさないことが、大規模なメタアナリシスによって明らかになった。
- 今回の大規模なメタアナリシスでは、マッサージは遅発性筋肉痛の軽減または予防にわずかなベネフィットをもたらすことが判明した。
- 今回のメタアナリシスでは、マッサージは無介入の場合と比較して、柔軟性にわずかではあるが有意な改善をもたらすことが示された。
これらの結果から言えることは、筋肉痛による不快感を緩和するために、ハードなトレーニングやアクティビティ(例えば登山など)をした後にマッサージを受けるのが良いかもしれません。投下コストとリターンを考えると、一般の人は、筋肉痛が来なそうなレベルの運動ならマッサージを受けるメリットはあまり無いので、そこまで検討しなくても良いでしょう。アスリートはマッサージを受けるに越したことはないです。
参考文献
Effect of sports massage on performance and recovery: a systematic review and meta-analysis
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