ラマダン断食と健康関連指標および運動テスト成績
ラマダン期間中は、日の出から日没までの合間の飲食が禁止で、食べ物だけでなく水分の摂取も禁じられています。
飲食のほかにも、 期間中の喫煙や性行為、投薬 (健康上支障をきたす場合は免除)、 けんか、悪口や不適切な言動などが禁止 されています。
夜明け前の食事は深夜2時頃に食べます。「サフール(Suhur)」という。
食事の内容は、普段の朝ごはんとして食べられているものと変わらず、それぞれの国によって料理は異なります。
- フールと呼ばれる大豆料理
- アエ―シ(中東のパン)
- アエ―シにつけるタヒーナ(ゴマペースト)
- ターメイヤ(ひよこ豆のコロッケ)
- オムレツ
- 夏野菜
- ピクルス
などです。
日没後に食べる食事「イフタール(Iftar)」 は、水やスープからはじめ、次にフルーツや野菜のサラダ、中東代表のフルーツであるデーツ(ナツメヤシ)、その後に肉や米、パンなどメイン料理に移ります。
要は1日2食で、プチ断食ということですね。これがアクティブな人の身体にどのような影響があるかを調べた研究を紹介します。
結論からいうと、睡眠の質の低下、疲労感や活力の低下、高強度運動のパフォーマンス低下と関連しているようでした。
目的 スポーツ選手および身体活動家におけるラマダン断食(RO)の実施と健康関連指標および運動テストの成績との関連を検討した、メタアナリシスを含む/含まない、発表されたシステマティックレビューの結果を系統的にレビューし、要約し、評価すること。
デザイン レビューの方法論的質を評価したシステマティックレビューの概要。
データソース PubMed、Web of Science、Scopus、Cochrane Database of Systematic Reviews、SPORTDiscus、ProQuest、PsycINFO、SciELO。
研究選択の適格基準 アスリートおよび身体活動的な個人におけるROと健康関連指標および運動パフォーマンスとの関連を検討した、メタアナリシスを含む/含まないシステマティックレビュー。
結果 観察研究のシステマティックレビュー14件(メタアナリシスあり7件)を対象とした。2件のレビューで、アスリートや身体活動的な個人におけるROと睡眠時間の減少との関連が認められた。1件のレビューでは、運動選手は身体活動者よりも睡眠時間の減少が顕著である可能性が示唆された。1件のレビューでは、アスリートおよび身体活動的な個人において、ROと睡眠の質の低下との関連が認められた。ROは、成人年齢のアスリートにおけるエネルギー摂取量、炭水化物摂取量、水分摂取量の低下と関連したが、青年では関連しなかった。あるレビューによると、ROはアスリートの疲労感の増加や活力の低下と関連していた。ROとアスリートの除脂肪体重や血液学的指標との関連は認められなかった。ROは、高強度運動負荷試験中のアスリートのパフォーマンスの変化と好ましくない関連を示した。
結論 RO期間中のトレーニング継続は、除脂肪体重を維持しながら、アスリートの気分状態の障害、睡眠時間の減少、および高強度運動負荷試験中のパフォーマンス低下と関連する可能性がある。しかし、含まれるレビューの方法論的質が低いため、慎重な解釈が必要である。
まとめ
1日2食のような食事方法は、日本に住む人々もダイエットをする際に実施する可能性があります。
その場合、今回の研究で分かったような健康上の変化を感じるかもしれないと念頭に置いておくことで、そういうもんだ、と認識しストレスを多少緩和したり、対策を事前に用意することができるかもしれません。
少なくとも、高強度のトレーニングは避けた方が良いでしょう。
参考文献
関連
- 低炭水化物ダイエット
- 血糖値を下げるためのアドバイス
- 食後血糖値を下げる運動 自宅で2分でできる
- 食後血糖値を下げる運動 自宅で2分でできる-中級編-
- 過体重または肥満の成人に対する家庭での運動
- 体重減少による代謝の変化–ダイエットはゆっくりやりましょう
- 減量と減量維持のための最適な食事は何か?
主な情報仕入れ先
- PubMed/論文検索サイト
- NSCA/全米ストレングス&コンディショニング協会
- ACSM/アメリカスポーツ医学会
- BMJ sport medicine/ブリティッシュメディカルジャーナル
- Harvard Health Publishing/ハーバード・ヘルス・パブリッシング
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パーソナルトレーナー 井上大輔(外科代謝栄養学会/臨床栄養代謝学会/感染症学会)
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