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  • 2019.09.01

筋肉痛≠効いている証拠

こんにちは。トレーナーの佐藤です。

筋トレをしていると翌日もしくは更に次の日に筋肉痛が起きる、なんていうことはしばしばありますよね。

そして、筋肉痛を感じると効いてるなぁとも思いますよね。

ところが実は筋肉痛=成長している証拠、ではないのです。

筋肉痛は遅発性筋肉痛(DOMS)と呼ばれていて、その名の通り遅れて発生する事が見て分かると思います。

早い人でその日の内にこの筋肉痛を感じる事が出来ますが医学的に見ても2~3日後というのが平均的です。

決して年齢のせいではないんです。

 

筋肉には主に3パターンの筋力発揮方法があります。

その3パターンを分かりやすく紹介していきます。

代表的なトレーニング種目である「腕立て伏せ」をやってみましょう。

すると、主に次のような局面に腕立て伏せを分ける事が出来ると思います。

  • 両手をついてキープしている状態
  • 肘を曲げながら体幹部分を下げている状態(下げきった状態ではなく下げている瞬間のこと)
  • 肘を伸ばしながら体幹部分を上げている状態(上げきった状態ではなく上げている瞬間のこと)

これらは3つとも筋肉の筋力発揮パターンが違います。

この3つの中で肘を曲げながら体幹部分を下げている状態が一番負荷が高いのです。

これをエキセントリック収縮や伸張性筋収縮などと呼びます。

その為、一般的に筋肉痛はエキセントリック収縮時に発生しやすいと考えられています。

これにもしっかりと理由はあり、体幹部分という同一の重さを支える筋肉を動員が筋収縮のパターンで変化していきます。

同じ量の重さを少ない人で運ぶのが辛いのは分かると思います。

それと同じ事が起きていて、エキセントリック収縮の際は同じ重さを少ない動員数で扱っているので筋肉への負荷が高くなっていくのです。

そんな理由から筋肉痛が起きやすいのはエキセントリック収縮なのです。

(しかしながら筋肉痛の確固たる原因については諸説あり確立されていないのが現状です。)

 

なぜ筋肉痛≠成長している証拠なのか

仮定として筋肉痛を感じないと筋肥大を起こさないのでしたら筋トレに慣れている方は頭打ちになっていることになります。

私自身もそうでしたが一定期間トレーニングを行うと運動後の筋肉痛が起きにくくなります。

そして実際に起きていなくてもインピーダンス法(電気を流して体組成を測る、広く一般の家庭用の体重計においても使われる測定方法)による測定で体組成が良い方向に変化していきます。

明確なところをハッキリと解明されてはいませんが、これらのことから筋肉痛=成長している証拠 ではない事がわかります。

筋肉痛がなくても十分に体は成長できるのです。

 

トレーニングをしていて筋肉が張ってくれば(パンプアップしてくれば)効いている証拠だと思います。

パンプアップとはトレーニングで鍛えている筋肉が収縮を行い圧力が上昇し、かつ乳酸などの代謝産物の増加に伴い骨格筋内の水分量が増加する事です。

簡単に説明すると一定の強度のトレーニングを行うと筋肉は膨れ上がりトレーニング前およりも大きく見えます。

力こぶを鍛えるようなアームカールという種目において、皆さん顕著にパップアップは感じられると思います。

しかし、このパップアップは一過性のものに過ぎませんので繰り返し行う事が大切です。

勿論、タンパク質の摂取も重要になってきます。

学生時代の先生も筋肥大に効果があるのは筋肉痛ではなく、パップアップ感があるかどうかと仰っていたことを今でも覚えています。

今になり様々な論文を読む事でその節は正しいものだったと感じております。

筋肉痛は成長の為の絶対条件ではなく頑張ったご褒美といったところですね。笑

 

筋肉痛のことを取り上げると、筋肉痛でもトレーニングをしても良いのか、という議論も起きてきます。

これは様々な意見がありますが、酷過ぎる筋肉痛でなければOKだと私は思っています。

理由は、筋肉痛が酷いと本来出ている可動域が狭くなってしまし関節の可動域が狭い範囲でしかトレーニングを行えないからです。

本来ならば筋肉の柔軟性を改善させる役割を持っている筋トレが本来の効果を生まないのはデメリットですよね。

筋肉がダメージを負っていることは間違いない事実ですので追い込み過ぎは単純にケガのリスクが増大します。

同部位へのケガは勿論ですが上手く身体操作が出来ずに関節や靭帯のケガに繋がるリスクがあることを知っていただきたいです。

 

また筋肉痛が起きている状態でも筋トレを行なっても良い理由としてフィットネス-疲労理論というものが参考になります。

トレーニング直後は疲労も多いですがパフォーマンスも高いという事がこの理論から分かります。

疲労は時間が経つごとに早く回復していきますがそれよりも緩やかにパフォーマンスが下がってきます。

(パフォーマンスが高い状態はある程度維持されるという意味)

その為、疲労が抜けきらない範囲で運動をする事が効率の良いトレーニングに繋がる事が考えられます。

※パフォーマンスというのは語弊があるかと思いますがこの言葉が伝わりやすいので使っております

最近では完全な休息を取るということより、このフィットネス-疲労理論が支持されてきています。

プロスポーツ選手を例に考えても高いパフォーマンスを維持して試合にピークを持ってくる、というのを繰り返してシーズンを戦い抜くにはこの理論の方が有効的ですよね。

 

筋肉痛が辛い人へ

筋肉痛は頑張ったご褒美と前述しましたが筋肉痛が嫌いな方もいらっしゃると思います。

実際に動くには筋肉痛があると支障が出ますよね。

そんな方向けに筋肉痛を和らげる対策を紹介します。

  • ストレッチをする
  • アミノ酸(BCAA)を補給する

以上の2つです。

始めはストレッチから紹介していきます。

ストレッチをすることで筋肉痛を軽減することは de Vriesの研究によって報告されています。

しかし、この研究で用いられた方法は2分間筋肉を伸ばした後に1分間の休憩を入れて再び2分間筋肉を伸ばすという方法です。

実際にストレッチをされる方はわかると思いますが2分間も同じ部位を伸ばし続けることは中々やりませんよね。笑

これは筋肉に対してリラクゼーション効果を与えるために取られていると考えられます。

この方法に関して筋肉痛が和らぐことは分かっていますので筋肉痛が辛い方は是非試してみてください。

 

次にアミノ酸を補給する方法です。

アミノ酸を補給することで筋肉痛が軽減するという報告がされています。

現にアミノ酸の商品パッケージや紹介チラシなどにはそのような謳い文句が載っているのを散見します。

私が見た論文ではスクワット運動の前に5gのBCAAを摂取すると運動後4日目までの自覚的筋肉痛・筋疲労が軽減されたと書いてありました。

また、2週間で毎日12gのBCAAを摂取して運動前と運動後に20gのBCAAを摂取すると筋繊維や結合組織の損傷が抑制されたということも書かれていました。

これらのことからアミノ酸が筋肉痛を抑制してくれるということは支持できると判断出来ます。

アミノ酸は今やコンビニにも売っているくらいですのでお気軽に試してみては如何でしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。


※参考文献

高齢者の骨格筋量はレジスタンストレーニングによって増加するか 文献的検討 西端氏ら

スポーツにおけるアミノ酸の使用法とその効果 鈴木良雄氏

ストレッチング 小林氏 細井氏 竹内氏