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  • 2019.08.16

糖質制限パート2 -糖尿病や肥満に糖質制限がもたらす効果-


こんにちは。トレーナーの佐藤です。

前回(糖質制限のメリット)に引き続き、江部先生の著書「江部康二の糖質制限革命」を読んでの糖質制限の話です。

今回は糖尿病や肥満症、など生活習慣病の予防や治療にまで何故、糖質制限食が効果的なのかを紹介していきます。

前回の後半部分でも書きましたが先ず、生活習慣病に効果のある糖質制限食は、正しい糖質制限食であるということが大前提です。

何事もそうですが糖質制限食にも正しいものとそうでないものがあります。

これはしっかりとしたソース(情報元)からでないといけません。

TVや雑誌などにも誤った情報がありますので注意が必要です。

ここでは中立的な立場から紹介していきます。

正しい糖質制限は著書の中では3タイプに分けられています。

①スーパー糖質制限食

3食ともに糖質を制限して、主食を摂らない

②スタンダード糖質制限食

3食のうち2食の糖質を制限し、夕食以外の1食で糖質を摂る

③プチ糖質制限食

3食のうち1食だけ糖質を制限し、主食を摂らない

糖尿病の人には①と②の糖質制限食が効果があるとされています。

③は軽いダイエット向きです。

 

糖質制限食が生活習慣病にもたらす効果

糖質制限食のメリットは食後に血糖値の上昇が無いということです。

これは糖尿病患者だけでなく一般の人にも効果はあります。

よく「食事は野菜から食べるように」や「お米は最後に食べるように」などと聞いたことはないでしょうか?

これはいずれも血糖値の上昇を緩やかにして食事から摂取する糖や脂肪の吸収を緩やかにする為なのです。

その原理と同じく、糖質を食事から摂らなければ食後血糖値が上がらないばかりか、食事中も上がらないので、中性脂肪が減少したり、善玉コレステロールが増加します。

コレステロール値は低くても高くてもよくなく、基準値であることが望ましいとされています。

著者の見解では悪玉コレステロールは1~2年でほとんどの場合は基準値になるとされています。

 

また、食後高血糖がないということは生活習慣病に対しては絶大な意味を持ちます。

正常な人でも食後の血糖値は140mg~180mg/dl 前後まで上がりますがこれすら血管を傷つける恐れがあるレベルの血糖値と言われています。

これが糖尿病の人の場合だと食後の血糖値は同じ量の糖質を食べたとして3倍以上も上昇してしまうのです。

(糖質を1g食べるて上昇する血糖値  正常な人 0.6g~1mg/dl   二型糖尿病の人  3mg/dl)

これは確実に血管にダメージを与えてしまうことが考えられます。

血管がダメージを受けると血管が損傷します。

血管が損傷すると、脳血管障害(代表例では脳梗塞)や動脈硬化、それによる生活習慣病になってしまう可能性も上がってしまいます。

そして、現代の医学研究の成果によれば血糖値の変動が大きいほど健康に悪いということもわかっているようです。

そんなところも相まって、糖質の多い食事が血糖値の変動を大きくさせるので糖質は健康に悪いとされています。

これらのことから、糖質制限食は食後高血糖も血糖値の大きな変動もない唯一の食事であり、コレステロール値や中性脂肪などの脂肪関連データの改善も改善すれば、ほとんどの生活習慣病に関して、予防効果があることになります。

 

糖尿病と肥満、糖質制限食

生活習慣病の代表格でもある糖尿病。

糖尿病には種類があり、主に一型と二型に分かれます。

生活習慣病であるのは二型糖尿病の方です。

しかし、一型糖尿病でも糖質制限食は有効です。

糖尿病に関して糖質制限食が及ぼす効果でわかっていることをまとめてみました。

  • 血糖のコントロールが良くなる
  • 食後、空腹時の血糖値が下がり始める
  • 食後血糖値や空腹時血糖値は1週間~数週間で正常値になる
  • 薬剤の必要性が下がり過半数の人で薬剤が不要になる
  • インスリン注射をしていた人でも1~2割の人でインスリン注射が不要になる
  • 一型糖尿病の低血糖症状が生じにくくなる

如何でしょうか。

これほどまでに絶大な効果が糖質制限食によってもたらされるのです。

前回のブログにも書きましたがこれらは薬剤に頼っているわけではなく、純粋な食事での改善なのです。

即ち、治療費や薬剤にかかる薬代など多くの費用を抑えること出来ます。

それにより、医療費の削減も可能になります。

 

糖質制限食は肥満症にも効果がある

糖質制限をすると脂質を食事から多く摂取することになります。

脂質はあぶらのことなのですが、「あぶらを摂るなんて体に悪いんじゃないの?」と思ってしまう方は多くいらっしゃると思います。

現に私も勉強するまではあぶら=体に悪いものだと思っていました。

これに関しては面白いデータがあります。

アメリカは肥満大国として言われていることは周知の事実ですが、しっかりと対策はしています。

1971年~2000年までの30年間で肥満を解消させようと国をあげて脂質の摂取量を減少させました。

ところが30年間で肥満患者は減少するどころか倍増してしまったのです。

これは脂質を減らす一方で糖質の量が増えてしまっていたことが原因と言われています。

その為、肥満の原因は脂質ではなく、糖質の過剰摂取によるものではないかというのが現状です。

事実として医学的な研究として糖質を減らした食事では体重減少の効果があると証明れています。

糖質制限食と低脂肪食、地中海食の3つのタイプの食事を比較した世界的に著名な「ダイレクト試験」という研究があります。

この研究によるとカロリーの制限がなかったのにも関わらず糖質制限食が最も体重減少効果が高かったという結果が出ています。

著書の中では、他にも世界的な権威のある医学専門誌に発表された複数の研究でも同様の結果が報告されているとしています。

これはとても信憑性が高く、支持されるべき揺るぎない事実だと私は思います。

 

また、2015年に日本で開かれた日本糖尿病学会では順天堂大学の佐藤淳子氏がBMI値とHbA1c(過去1~2ヶ月の血糖状態)が改善されたと発表されました。

これは日本人における同様の研究でも同じような結果が報告されたということになります。

肥満に関して糖質制限食が及ぼす効果でわかっていることをまとめてみました。

  • 身体に蓄えられた脂肪を使いやすい状態になる
  • インスリンの追加分泌が減ることで脂肪を蓄える働きが弱くなる
  • 糖新生という働きが起こることで、たくさんのエネルギーを使い痩せやすくなる
  • タンパク質を中心に摂取することで代謝が上がる

これらの効果によって糖質制限食をすることで肥満が改善されていきます。

糖尿病と肥満は関連が深い病気ですので、糖尿病が改善されれば効果があるのは当然ですがそのような効果もあります。

肥満になっていることでインスリンの効き目が悪くなり、血糖値が高くなっています。

肥満をなくすとインスリンの働きが改善され、糖尿病も改善出来るのです。

著書の中でも記述されていますが、私達トレーナーもお客様が糖質制限食を始めると体重が減少し、半年から1年程度で理想的な体重にることは分かっています。(BMI値を基準とする)

そして過剰に制限しない限りは痩せ過ぎたりはしないのです。

つまり正しい糖質制限食は肥満だけが改善されて不健康なほどに痩せることはないわけです。

※肥満の定義は分かれますが日本における肥満の定義はBMI25以上 筋肉量の兼ね合いもあるので一概には言い切れません

食後の高血糖を予防できるということは、糖尿病にる合併症である網膜症、腎症、神経障害というような3大合併症を防ぐ効果もあります。

前述した通り、高血糖で血管が傷つくと脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも上がりますので、それがないということはそれすらも防ぐことが出来るのです。

 

今回はどうして生活習慣病に糖質制限食が効果があるのか、や糖尿病や肥満について、糖質制限食がもたらす効果を中心に紹介していきました。

次回は合併症や予備軍などへの効果を紹介していきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

【関連】

糖質制限Q&A

  1. 糖質制限のメリット
  2. 糖尿病や肥満への効果
  3. 糖尿病合併症や予備軍への効果
  4. ガンへの効果

参考資料

江部康二の糖質制限革命