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  • 2020.07.03

電子タバコと肺疾患

最近、電子タバコを利用している喫煙者も良く見かけるようになりました。だいぶ普及してきた感がありますね。

紙タバコに比べ煙が出ないので、喫煙をしない人にとっては紙タバコを近くで吸われるより随分マシなのかなと思います。

さて、2019年9月6日に学術誌で最高権威のひとつである「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」に電子タバコの使用と肺疾患についてのレポートが掲載されていたので、今回はこれを簡単に紹介しておきたいと思います。

健康に直結しますからね。


タイトル

Pulmonary Illness Related to E-Cigarette Use in Illinois and Wisconsin — Preliminary Report

方法

症例患者は、症状発現の90日前に

  • 電子タバコ機器および関連製品を使用している
  • 画像に肺浸潤があり
  • その病気が他の原因に起因していない人

と定義しました。医療記録の抽象化と患者のインタビューは、標準化されたツールを使用して実施されました。

結果

  • 53人の患者で、そのうち83%が男性
  • 患者の年齢の中央値は19歳
  • 患者の大多数は呼吸器症状(98%)、胃腸症状(81%)、および体質症状(100%)を呈しました。
  • すべての症例患者は、胸部画像検査(症例定義の一部であった)に両側浸潤がありました。
  • 合計94%の患者が入院し、32%が挿管と人工呼吸を施行し、1人の死亡が報告されました。
  • 患者の合計84%が、電子タバコデバイスでテトラヒドロカンナビノール製品を使用したことを報告しましたが、多種多様な製品およびデバイスが報告されました。
(※テトラヒドロカンナビノール=ざっくりいうと大麻の主な有効成分)

イリノイ州の症候群サーベイランスデータは、2019年の6月から8月の重度呼吸器疾患に関連する月間平均訪問率が、2018年の同月に観察された率の2倍であることを示しました。

結論

同様の臨床的特徴を呈した症例患者。損傷の原因となった電子タバコの使用の特徴は確認されていませんが、この病気のクラスターは新たな臨床症候群を表しています。病態生理を特徴づけ、決定的な原因を特定するには、追加の作業が必要です。


年齢の中央値が19歳という事で、電子タバコが若い世代を中心に普及している表れかなと思います。

また、テトラヒドロカンナビノールは日本において、麻薬及び向精神薬取締法により麻薬に指定されている[36]ため、その含有成分であるTHCを用いた臨床試験は麻薬及び向精神薬取締法により、麻薬研究者でない場合禁止されている。(Wikipediaより)

とありますので、日本で今回の研究のような症例が発生すると決めつける事はできません。

しかし、日本で普及している電子タバコも何かしらの害はあるはずです。それが現状の紙タバコと比べてどうなのかは日本での研究を待ちたいところですね。

タバコは百害あって一利なしなので、極力吸わないに越したことはありませんね。

ちなみにタバコを吸っているからといって運動の効果が損なわれるかというとそうでもありません。

とはいえ肺機能が落ちやすい環境ではありますから、タバコを吸っているならなおさら運動をした方が良いと言えるでしょう。


参考文献

Pulmonary Illness Related to E-Cigarette Use in Illinois and Wisconsin — Preliminary Report