【症例】高齢者 72歳 男性 食道癌術後 トレーニング
今回はお客様の結果を紹介します。(リライト・再投稿です)
同じような方への参考になればと、了承を頂いての掲載です。
年齢・性別・健康状態の有無にかかわらず、筋肉を付けたいとお考えの方には全てあてはまります。
今回の症例は高齢のお客様ですが、高齢の(しかも胃癌と心臓の手術をしている)人がこれだけ十分な成果がでるならば、健康な若い人、中高年層の方も確実に筋肥大をすることが出来ます。
しっかりと計画された食事・栄養戦略と適切な筋力トレーニングを実施していけば、おのずと筋肉は増えてきます。
食道癌だけでなく、胃癌の方も基本的に同じアプローチが有効と考えられるので、参考にしていただければと思います。
プロフィール
年齢:72歳
性別:男性
心臓弁術後、食道癌術後、体重減少と体力の減少を感じ、医師からの勧めで入会。
実践したこと
【筋力トレーニング】
多関節運動(スクワット、腕立て伏せ、ロウイングを主)
70%1RM程度、10回3~4セット、休息60~90秒
1回5~6種目
【栄養】
タンパク質:体重1㎏あたり1.2g(65g)以上を目標
カロリー:1800kcal/日を目標
実際:開始~3カ月迄は1600~1800kcal、以降は1800~2000kcalを安定的に摂取。
タンパク質は開始~3ヶ月迄は60~70g、以降は70~80gを安定的に摂取
運動中:ポカリスエットを飲用
運動直後:必須アミノ酸10gを摂取
- 結果
考察
摂取カロリーがもともと少なかったので、序盤の体重増加は停滞気味。
次第に食べる量も増え、トレーニングにも慣れ強度が増していき、体重と筋量の反応が出てきた。
以降は順調に体重・筋量増加を果たしている。
一方で脂肪はあまり変化をしていない。カロリーを沢山摂ることが出来ないからだと考えられる。
急激に体重が減少している所をヒアリングすると、仕事が多忙な日で食事が摂れず、と仰っていた。多忙の為、消費エネルギーが多く、摂取量も少なくなってしまったのが重なったときに起きているようである。
この他、取り扱える重量も伸び、動きの安定性も向上している事から、筋力の増加が伺える。
10RM測定の結果は向上している。(スクワット、ベンチプレス)
今後の課題
これまではトレーニングの適応が著しく、取り扱い重量を順調に増加させて行う事が出来た。
しかし、最近は本人のセッション中の体力面や高齢であることを加味して、強度増加に対して慎重になっている。
これにより、筋肉への刺激がマンネリ化して、適応をこれまで通り順調に引き出す事が出来るか疑問である。
可動域や動作速度の修正で調整していきたい。
また、食事面ではこの3か月間は1800~2000kcalで推移しており、これ以上増やすのは難しそうである。(食べ過ぎてしまうと、夜に逆流が起きてしまうケースが稀にある)
開始当初から1日4食食べており、スケジュール面で5~6食にすることは難しそうである。
したがって、プロテインやアミノ酸を日常に導入できるかを相談したい。
追記:2019/3/6 現在(72歳)週1~2回/月6回のトレーニングを継続中
体重:60.3㎏;60.0~60.5㎏を推移(直近1年)
筋肉量:46.3㎏;46.0~46.5㎏を推移(直近1年)
体脂肪量:10.9㎏;11.0~11.5㎏を推移(直近1年)
体脂肪率:18.1%;18.0~18.5%を推移(直近1年)
しっかりと体重・筋肉量を維持出来ています。
以上が、体重・体力減少に悩む方の運動・食事指導で改善中のケースです。
食道癌、胃癌の術後は100%といっていいほど、体重が減少します。
特に筋肉量が減少するのは、生活の質と直結するので避けなければなりません。
筋力トレーニングはそれを解決する手段として最も適していると考えられます。
筋力トレーニングは指導の下行えば、安全性は有酸素運動よりも高いです。(傷害発生率が低い)
食事量は急に増やす事は出来ませんが、トレーニングはすぐに行えます。
筋肉量の増加は食事量が大きく関わってきますので、すぐに効果が表れるかは食事と運動次第ですが、筋力と筋肉の持久力はトレーニングを行えば、すぐに効果が表れます。
体重・体力の低下で悩んでいる方は、主治医に相談し、トレーニング指導の専門家に相談しましょう。
と言いたいところですが、食道癌・胃癌の術後患者の方へのトレーニング指導を受け付けている所が少ないのが現状です。
民間以外だと医療機関になりますが、医療機関のスタッフも限られています。現状はご自身で行って頂くか、弊社に来ていただくかになると思います。
安全性を保ちつつ、この活動を出来るだけ早く広めていきたいと考えています。
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