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  • 2021.03.30

ストレッチは必要か?いや、必要ありません。

結論から言えば、ラジオ体操最大可動域での筋力トレーニングで柔軟性は十分向上します。

ストレッチはほとんどの人が子供の頃から時折行っている馴染みのある身体のケア方法の一つだと思います。

今回はストレッチは効果があるのか?本当に必要か?という事をまとめてみたいと思います。

結論から言えば、静的ストレッチ(いわゆる一般の方が思い浮かべるストレッチ)は優先度がかなり低い(というか、やっても効果がほぼ感じられない)となります。

ストレッチの目的

ストレッチはどのような目的で行われているでしょうか?

殆どの人は「柔軟性を上げたい(開脚できるようになりたい)」とか「筋肉のコリを治したい」という目的でたまに行う事が多いのではないでしょうか。

書店に行って見かける本も、最近では「開脚できる方法~」とか「○○が柔らかくなる~」とか、そういった本をよく見かけます。

しかし、私はこういった関連の書籍に疑問を抱きます。そしてこの疑問は皆さんも気になる内容かと思います。

「開脚して何になるのか?」「柔らかくなって意味があるのか?」という疑問です。

 

柔軟性が高い・低いというのは、一般の方は基本的に静的・受動的な測定を基準に判断すると思います。

もっと簡単にいうと、「せーの」でゆっくり息を吐きながらどこまで関節が曲がるか、を基準にすると思います。

 

しかし、実際に日常生活で要求される柔軟性は動いている場面です。

動いている時の柔軟性(=動的柔軟性)が大事です。

例えば、ゴルフなどのスポーツで身体を捻る動作での可動域や、段差を昇る際の脚が上がる可動域、歩いている時の姿勢や腕~肩甲骨周りの動きなど、キレイに見える動きに柔軟性が関わってきます。

この動きの中での柔軟性が低いと、カチカチな動きや動きづらそうに見えてしまいます。

イコール、年齢に対してオジサン・オバサンに見えてしまいます。

もちろん、この動的柔軟性が高ければ、大きくダイナミックな動きにも繋がります。それだけ若々しく見えます。

 

まとめると、せーので身体を曲げるような柔軟性(=静的柔軟性)を求めるのは殆ど意味がありません。

しかし、「私、ベターっと開脚できるよ」と周りの方々に自慢したいのなら必要かもしれませんね。

最後にもう一度言いますが、「他人から実際に見てキレイだと思われるのは動きの中での柔軟性」だという事を認識しましょう。

 

ストレッチの種類

ストレッチの種類ですが、静的ストレッチと動的ストレッチに分けられます。

静的ストレッチ:せーの、でゆっくり息を吐きながらどこまで曲がるか。この曲げた状態で筋肉を伸ばしたままキープするやり方です。いわゆる「皆さんが想像する普通のストレッチ」です。

静的ストレッチでは、筋肉を伸ばした状態で約30秒程度キープする必要があります。一部位につき30秒の時間を食いますから、全身やると結構な時間を使います。

筋肉は左右で対になっているので、1部位1分は最低でもかかるという事です。上から挙げると、首・肩・腕・背中・胸・腰・お尻・腿前・腿裏・ふくらはぎ、とざっと挙げて10個あります。細分化するともっとあります。

動的ストレッチ:途中に長い休止や姿勢保持を挟まずに、腕や脚を自分が持っている関節の最大可動域で動かすことです。身近な例は「ラジオ体操」です。

動的ストレッチでは、筋肉の血流を良くして筋温が上がり、筋肉に柔軟性が出てきます。可動域を高めます。筋肉が温まればOKです。

 

ストレッチの目的に書いたように、普通のストレッチではなく、ラジオ体操の方がより良い動き(=若々しさ)に導いてくれます。

 

ストレッチの効果

前半に挙げた、「私、ベターっと開脚できるよ」と周りの方々に自慢したい人に伝えたい事があります。

それは、ストレッチの効果は数秒~数分しかもたない。という事です。

なので、現在、ベターっと開脚できない人がいつでもベターっと開脚できるようになるには数ヶ月間~年単位で、集中的にストレッチを行う必要があります。それもほぼ毎日。

これはなかなか骨の折れる作業ですね。30秒×部位数×複数セットを行うとすれば、数十分かかる作業になります。この時間を毎日確保しなければなりません。

ただこれだけの作業をやり続けられるとしたら、ベターっと開脚もきっと出来るようになるでしょう。

 

ストレッチは疲労回復に役立つのか?

ストレッチを行うと、筋肉痛などの疲労の回復に役立つのではないか?と信じている人もいます。

だから、静的な柔軟性を高めるのは疲れにくい身体を手に入れる事が出来て有益だ!という理論です。

これについては以下のような研究があります↓

 等速膝伸展運動を 50%最大随意収縮で疲労困憊になるまで行なった後、回復手段として積極的休養(動的ストレッチのような軽い運動)、消極的休養(ひたすら休む)、およびストレッチングを用いた研究において、運動前の状態を回復する効果が最も高かったのは、積極的休養であった

つまり、疲労困憊からの回復では、休む、静的ストレッチをするよりも、軽く身体を動かした方が最も疲労の回復効果が得られた、という事です。

 

また、こんな研究もあります↓

 遅発性筋痛(DOMS)の有効な治療法に関するレビューでは、冷却療法、ストレッチ ング、ホメオパシー、超音波、および電気療法は、筋痛その他のDOMS症状にほとんど、あるいは全く効果を及ぼさなかったと結論づけている。

遅発性筋痛とは、翌日・翌々日等に来る一般的な筋肉痛の事です。

ストレッチ等は筋肉痛の軽減に対して効果が無かったとしています。

 

これらを総合してみると、静的ストレッチよりも動的ストレッチの方が疲労回復に効果がありそうだ。と言えます。

 

また、静的ストレッチの弱点として、実施後に筋力とパワーが低下するという事で見解が一致しています。そしてこの影響は最大で1時間程度持続します。

びっくりですよね?良かれと思ってやっていたストレッチが筋力を低下させるなんて。

活動前に静的ストレッチを行う事は、パフォーマンス低下を招くことになります。

この研究は数年前からスポーツ科学の世界では当たり前のように言われています。

なので、未だに運動前に静的ストレッチを勧める人が居たら、ここ数年間は勉強してないという証拠なので、そういう指導者にあったら疑ってみる事をお勧めします。

 

まとめ

という事で結論としては、ラジオ体操最大可動域での筋力トレーニングで柔軟性は十分向上するのでストレッチにわざわざ時間をかけなくても良いでしょう。まずは筋トレをお勧めします。柔軟性に比べて筋力や持久力もあがるので。

  • 静的ストレッチに割く時間があったら動的ストレッチを行う方が、可動域向上や運動パフォーマンス向上、障害予防の観点から有用である。
  • 回復目的のストレッチにおいては、静的ストレッチングよりも動的ストレッチングに重点を置く。

ストレッチに関する最も思い切った意見は、ストレッチのセッションを組み込むこと自体そもそも必要がない、という事です。

ストレッチングを回復に用いることに関して、静的ストレッチは万能薬ではないこと、また回復のためのストレッチを十分なスキルもなく、注意深いモニタリングもせずに実施するべきではないことを踏まえて、実施するか否かを決めると良いでしょう。

 


参考文献

Stretching and Its Effects on Recovery: A Review