BLOG

  • 2019.08.05

テニスをしていなくてもテニス肘になる


こんにちは。トレーナーの佐藤です。

テニスをしていないのにテニス肘、と診断された方は少なくないと思います。

テニス肘とは上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)の事です。

症状としては掌を甲側に曲げ、力がかかった際に肘の外側(外側上顆と呼ばれる上腕骨の骨の一つの部位)に痛みを感じます。

運動をしないと痛みが出ないようなものから、コーヒカップのような物を持つだけでも酷い痛みが出るパターンもあります。

 

どうして痛みが出るのか

手首を曲げる方向ではなく反る方向に伸ばす、このとき前腕伸筋群と呼ばれる筋肉が炎症を起こして痛みが出ます。

つまりはそのような力が繰り返しかかればテニスであろうとなかろうとテニス肘になってしまうリスクがあるのです。

そしてテニス肘もバックハンドテニス肘とフォアハンドテニス肘の2種類あります。

今回の外側については細く言うとバックハンドテニス肘のことなのです。

主な前腕を反る方向に伸ばす筋肉は以下の通りです。

  • 短橈側手根伸筋
  • 総指伸筋
  • 尺側手根伸筋

これらの筋肉が上記で紹介した前腕伸筋群のことで、炎症を起こすと痛みの原因となります。

 

自己チェックの方法

簡単に自分がテニス肘でないかチェックする方法もありまして、

椅子を用意して片手で順手で椅子を持って保持する「チェアテスト」と呼ばれています。

このテストでは前腕伸筋群に対して負荷をかけることで痛みを誘発させます。

このテストで痛みが出た方はテニス肘の可能性がありとなります。※断定は医師の診察で、となります。

チェアテスト以外に他にも「中指伸展テスト」や「Thomsen’s テスト」と呼ばれるようなテストがありますが概ね同じような考えのもとテストをします。

また、筋肉だけでなく滑液包と呼ばれる平らな袋のようなものが身体にあり、それが身体を動かす際に起こる体内での摩擦を軽減してくれる働きをしてくれます。

その為、滑液包の付近にある筋肉の緊張が高まると滑液包への摩擦力が増して、炎症(滑液包炎)を引き起こしてしまう可能性があります。

肘にも腕橈滑液包がありますので、ただただ筋肉だけが痛みの原因ではなく滑液包が炎症を起こしてしまっているパターンがあると言えます。

ウエイトトレーニングを日頃からガシガシやっている方の場合でも使い過ぎが原因で同じような症状になってしまうケースがあります。

 

私の体験談

私自身も過去に一度肘の外側を痛めたことがありました。

その際はトレーニングが制限されてしまったのでショックでした。

ベンチプレスやショルダープレスと言った種目やフレンチプレス、スカルクラッシャーなどの比較的高重量を扱えるトレーニング種目、あるいは関節にかかる負担が強いフォームを取る場合は注意して取り組むべきでしょう。

そして余談ですが、私はスポーツはソフトテニスをしていました。

スポーツ中には肘を痛めたことがなく同部位にかかる力の強さによっても発症の有無が変わってくることを身を以て体感しました。

現にテニス肘はソフトテニスよりも硬式テニスの方が多いとされています。

高重量を扱うトレーニングは硬式テニスの連続した活動よりも時として上回る負荷がかかっているので、筋トレでのテニス肘の誘発も納得がいくところです。

テニス肘は痛み以外にも十分に腕が動かなくなる可動域の制限も生じてしまいます。

前腕の可動域、と言うとパッとイメージが湧かないと思いますが肘を支点にして掌を見せたり手の甲を見せたりする運動で、前腕の可動域を見ることが出来ます。

これらは手首だけでなく前腕も捻っている運動なのです。

テニス肘ではこの捻ると言う動作において制限が出る場合があります。人によっては痛みが出ることもありますね。

可動域が狭くなる、と言うことは端的に考えると他の部位(肩や腰、もしくは今使えている筋肉)で不足分を補うような力が発揮されます。

これは決してポジティブな意味ではなく、他の部位にも慢性的な痛みや怪我が起きてしまう可能性があります。

また肘の外側には輪状靭帯(りんじょうじんたい)と呼ばれる靭帯があり、その靭帯も肘を支える役割を担っています。

この靭帯にもストレスが加わると緊張が強くなり、酷い場合だと損傷したり瘢痕化してしまうこともあります。

そしてそれによって上記と同様に腕を捻る動作において、可動域の制限が残ってしまう原因になります。

好きなスポーツや仕事にも影響が出てしまうので、なるべくテニス肘にななりたくないですよね・・・

最後に簡単な改善方法や予防方法について記載します。

 

改善方法と予防

炎症を起こしている筋肉や滑液包、損傷している靭帯等々ありますが、改善するためには筋肉の柔軟性を改善すればOKとされます。

もちろん、激しい痛みがある場合はそれに応じた処置が必要ですが・・・。

可動域の制限がある状態で運動をすると、やはり他の部位や同部位にさらなるストレスが増幅してさらなる痛みの原因にもなりますので、OKなわけないですね。

簡単にストレッチなどを紹介すると、身体の正面に腕をまっすぐ伸ばして、指先を地面に向けて掌を身体側に向けます。

そのまま、もう片方の手で指先を保持し、手前に優しく引きます。

そうすると、前腕の外側をストレッチすることが出来ます。

他にも複数のやり方で同部位をストレッチすることは可能ですが、これらの方法が効率よくストレッチが出来るとされています。

これは痛みが出てる段階以外にも、PCのタイピングのし過ぎ、ゴルフのやり過ぎ、重い物の持ち過ぎといった場合には筋肉の緊張は高くなっているので、予防としてストレッチをしてあげると良いでしょう。

緊張を取り、可動域をバッチリ確保して行えると良いですね。

後は、アイシングも同部位の炎症を抑えるのには有効的なので、使い過ぎた場合は冷やしてあげると良いですね。

アイシングは繰り返し言いますが15~20分程度を上限として冷やし、その後は40分は間隔をおきましょう。

つまり1時間のサイクルでアイシングを繰り替えるような形です。

ただテニスをしていてテニス肘になってしまう方は、ボールを打つ際にスイートスポットと呼ばれるボールを打つのに最適な箇所を外れて打っている可能性も十分に考えられます。

スイートスポットを外して打つとテニスラケットを介して振動が強く身体に伝わり、より前腕の伸筋群に対しての負荷が強くなってしまいます。

その為、しっかりとボールをミートする技術的な練習が必要となってきます。

技術的なところは私たちトレーナーは専門外なのでコーチに見てもらうべきですね。

そして、テニス肘のような慢性的な怪我の場合はスポーツ活動や痛みを誘発する動作を中止する、と言う判断も重要となってきます。

どんな運動がOKなのか、どのくらい中止すればまた行っても良いのか。この判断は医師の指示に従ってください。

重症度は人によって違いますので、億劫だと感じていても先ずは整形外科に行き診察を受けてどういう状態なのかを確認することが大事です。

その上で、段階をスキップしないでリハビリを行うことが一番の近道です。

 

まとめ

今回はテニス肘についてのブログを書かせていただきましたが、なるべくこの記事を見て完結してほしくはありません。

現在、痛みがあるのに診察を受けていない方は、医療機関の受診を私はオススメします。

無茶をし過ぎず、その道のプロを頼ってみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。


※参考文献

運動器疾患のなぜがわかる臨床解剖学 医学書院

第40回日本理学療法学術大会 抄録集 「手関節伸筋群のストレッチ肢位の検討」