メタボリックシンドロームには筋トレが有効
今回はメタボリックシンドローム、通称メタボについての記事です。
前半でメタボリックシンドロームの定義について、後半ではメタボリックシンドロームに筋トレがもたらす効果について紹介していきます。
メタボリックシンドロームは一見すると肥満と同じように思われますが定義を見ると肥満とは違うものであることがわかります。
何となく太っているからメタボではなく、しっかりとして定義があります。
それぞれ定義を見ていきましょう。
メタボリックシンドロームとは
お腹周りが男性85cm以上、女性90cmであることとともに、以下の項目のうち2つ以上当てはまる場合を指します。
- 血圧が130mmHg/85mmHg以上 (どちらか一方、もしくはどちらかが超えている場合に該当)
- 中性脂肪150mg/dl以上かつHDL40mg/dl未満 (どちらか一方、もしくはどちらかが超えている場合に該当)
- 空腹時血糖値110mg/dl以上
簡単に言うとお腹周りが「男性85cm以上、女性90cm(内臓脂肪面積100㎠相当)で高血圧or脂質異常症or糖尿病の内2つに当てはまるとメタボリックシンドローム」と言われています。
また、メタボリックシンドロームは別名、内蔵脂肪症候群と呼ばれていて皮下脂肪よりも内臓脂肪の多さを物語っています。
では肥満とは何なのでしょうか。
肥満とは
BMIと呼ばれる身長と体重を使った指標で25を超えている場合を指します。
しかし、筋肉量や体脂肪を加味しておらず体重が重ければ重いほど相対的にBMIが高くなります。
その為体脂肪が適度に少なく健康体にも関わらず肥満に値する25以上になってしまうこともあるので注意が必要です。
言葉のあやではありませんが、肥満症という言葉もあります。
肥満症とは
BMIが25を超えていて健康障害がある、もしくは内臓脂肪面積が100㎠以上ある場合のことを指します。
(どちらか一方、もしくはどちらかが超えている場合に該当)
肥満は健康に害はなく、肥満症は健康に害があるという見解で良いそうです。
そして、大きな括りとして肥満症があり、その中にメタボリックシンドロームがあります。
メタボリックシンドロームは様々な病気のリスクをあげてしまいます。
具体的には冠状動脈疾患や心臓発作、脳卒中などの死に繋がる病気のリスクが高くなってしまいます。
メタボリックシンドロームは2型糖尿病や肥満の家族歴など遺伝的な要素によってなってしまう場合もありますが基本的には運動不足や偏った食事、体重増加によって引き起こされる場合が大多数を占めています。
その為、運動や食生活を変えることによってメタボリックシンドロームの予防や改善が可能です。
メタボリックシンドロームに筋トレがもたらす効果
運動不足や食生活の乱れが積もりに積もって内臓脂肪を増やし、なってしまうので運動不足が効果があることは間違いありません。
そして私達トレーナーは筋トレをすることで体脂肪(内臓脂肪や皮下脂肪のことを指す)が減少することは知っています。
基本的には週に2日以上のトレーニングをすることでメタボリックシンドロームは予防・改善が可能です。
糖尿病に関しては血糖のコントロールが良くなり血糖値が正常値に向かいます。
脂質異常症に関しては総コレステロール値やLDL(悪玉コレステロール)値が減少し正常値になります。
※週2日のトレーニングと併行して有酸素運動も週2日程度出来ると理想的です。
そして高血圧にもトレーニングは良い効果をもたらします。
従来までダイエット=有酸素運動どいう概念が強くありましたが今はそうではなく、トレーニングも有効であることが証明されています。
体重減少や体脂肪の減少はもとより、上記のような進行するとしに繋がるような症状の改善も可能なのです。
まさにトレーニングは薬と言っても過言ではないですよね。
ただし、実際の薬がそうであるようにトレーニングもしっかりとしたガイドラインにのっとって行わなければなりません。
さもないと症状の悪化や怪我のリスクが上がってしまうからです。
実際に報告された実例として、レッグプレスという下半身全体を鍛えるトレーニング種目において480mmHg/350mmHgという極度の高血圧が観察されています。
これは基準値を大きく超える云々ではなく今すぐにでも運動を中止すべきかなり危険なラインだと思います。
言い方を選ばずに言うと死につながることも十分に考えられるくらいの血圧です。
例を挙げて高血圧の方がトレーニングをする際に注意すべきポイントを列挙します。
食べ過ぎに気をつけることは過体重を防ぐ効果はあっても、肥満を防ぐ効果は少なかった。一方、運動をよくすることは、過体重を防ぐだけでなく肥満を防ぐ効果もあった。したがって、健康にダイエットするには運動の実践が推奨される。
こういった研究もあります。
高血圧の方がトレーニングで注意すべきポイント
- 運動の前後で血圧を測定する(トレーニングをしても良い血圧。してはいけない血圧。負荷を落とすべき血圧など血圧によって変わってきます。)
- 初めは軽めの運動強度(主観的に楽である~ややきついくらいの強度)で1セット8回~10回でセットを組む
- セット間の休憩は最低60秒。きつい場合はそれ以上取ること
- 呼吸を止めない
等です。
メタボリックシンドロームの方のガイドラインも載っていましたので引用させていただきます。
メタボリックシンドローム向けのトレーニングのガイドライン
- トレーニング頻度は週 2 ~ 3 回。スプリットルーティン(下半身と上半身を分けるなど)を用いる場合 は頻度を上げる必要がある。
- 強度は60 ~ 80% 1 RM。高齢者や極度に運動不足の人は強度を下げる( 60 ~ 70% 1 RM)。 1RMとは一回あげたら完全に疲弊する強度のこと。その強度の○%を指している
- 1セット当たり 8 ~ 12 レップ。高齢者や極度に運動不足の人はセット当たり 10 ~ 15 レップ。
- セット数は1 つの筋群につき 2 ~ 4 セット(例:背部筋群のエクササイズとしてプルダウ ンとシーティッドロウ・マシーンを各 2 セット)。
- トレーニング種目は8 ~ 10 種目。大筋群を動員する多関節エクササイズを中心に(胸部、 肩、背部、股関節、脚部、腕、腹部)。
- セット間の休憩時間は60 ~ 90 秒。時間の長さは、エクササイズ種目、トレーニング目標、および健 康状態によって異なる。
- 呼吸を止めない
- 負荷を増やす、レップ数を増やす(推奨レップ数の範囲内で)、またはトレーニン グ頻度を増やす方法で筋群に過負荷をかける。
※レップ=回数
まとめ
高血圧の方は前段のことを、メタボリックシンドロームの方は下段のことを考慮してトレーニングをするべきなのです。
※前述の通りメタボリックシンドロームとは「男性85cm以上、女性90cm(内臓脂肪面積100㎠相当)で高血圧or脂質異常症or糖尿病の内2つに当てはまる状態」を指します
症状によって運動のガイドラインは変化します
一見難しそうにも感じますが慣れてしまえばそうでもありません。
慣れていない時はパーソナルトレーナーについて見てもらうことが重要だと感じています。
トレーニングフォームはもちろん、休憩時間のコントロール、呼吸のコントロールなど初めから自分一人で完璧にこなすことは困難です。
安全かつ効果的、そして効率的に健康状態を改善させる為に、運動の専門家として私達パーソナルトレーナーがいます。
IGFでは無料のカウンセリングを行なっていますのでメタボリックシンドロームに悩んでいる方、糖尿病、骨粗鬆症に悩んでいる方は是非一度、カウンセリングにお越しいただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※参考文献
NSCA 機関誌 メタボリックシンドロームのためのレジスタンストレーニング
American College of Sports Medicine
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