ランナー膝の予防
こんにちは。トレーナーの佐藤です。
今回は久しぶりにランニング編。
暑い夏も終わりを迎えて、これからはスポーツの秋ですね。
本格的にランニング(マラソン)シーズンの開幕です。
ランニングを継続していると怪我を負ってしまうリスクは一定数あります。
それは他のスポーツにおいても同じですね。
でも怪我を負うリスクを低くすることは出来るのです。
どうやって怪我のリスクを減らすのか
それは筋トレとケアです。
筋トレやケアをして怪我をしにくい身体づくりを目指しましょう。
ランニングをしていて起こりやすい怪我はざっくりと次の通りです。
- ランナー膝(長脛靭帯炎)
- 足底筋膜炎
- シンスプリント
- アキレス腱炎・・・etc
ランニングはサッカーやバスケットボール、野球と違い基本的にはコンタクトが無いスポーツですので一回の体外からの衝撃で受けるような怪我はありません。
(転倒などによる例外はあります)
ランニングでは連続する長時間の運動によって起こってしまう慢性的な怪我が多く発生します。
慢性的な怪我の場合はいずれも同様ですが自分のフィットネスレベルを超えた時やランニング動作が上手くいっていない状態で長時間の運動を続けた場合に発生しやすくなります。
一度なってしまった場合は一時的に運動を中止せざるをえないのでスポーツが趣味の方にとっては辛い期間が続きます。
出来るだけ怪我をしないように予防することが非常に重要ですよね。
今回はランナーに比較的多い、ランナー膝を予防するトレーニングやケア方法を紹介していきます。
先ずはランナー膝とは何なのでしょうか?
ランナー膝とは
ランナー膝とは長脛靭帯炎のことを言います。
そして主な症状は走っている時(接地時)の膝外側の慢性的な痛みです。
文字通り長脛靭帯炎とは長脛靭帯に炎症が起きているということです。
長脛靭帯はざっくりと太ももの外側から膝のお皿の下にある出っ張っている骨の外がについています。
この靭帯がランニング動作における膝の屈伸運動で太ももの骨の外側と擦れることで炎症が生じていきます。
長脛靭帯の主な役割としては膝関節や股関節の運動を制御し股関節を真っ直ぐに保持する働きがあるのでとても重要な靭帯なのです。
一説によると哺乳類の中で二足歩行をするヒトにだけある靭帯だと言われています。
ランナーの方に多く発生することから通称ランナー膝と呼ばれています。
テニス肘やゴルフ肘などがあるように同スポーツにおいて起こりやすい怪我はスポーツの名を冠することが多いのではないでしょうか。
どんな場合にランナー膝が起きるのか
ランナー膝が起きやすい方の特徴としては腰幅にまっすぐ立った際に膝が外側を向いている方に多く発生します。
膝が外側を向いているということは相対的に考えて太ももの骨の外側と長脛靭帯が擦れやすい位置関係にあるからです。
また、これらは基本的には生まれながらの構造ではなく、後天的に筋肉の柔軟性や出力のエラーが起きがことによる姿勢の変化によってなされている構造です。
しかし、一律にO脚の方やX脚の方に発生する訳ではなく、下半身の姿勢が悪くなくても足が接地する際の不良動作によっても引き起こされます。
自分は大丈夫とは思わず予防の為にも筋トレはやケアはするべきだと思います。
ランナー膝の予防
主にランナー膝は、股関節についているお尻の筋肉や太ももの外側の筋肉の柔軟性が低下することでランニング動作が悪くなり引き起こされます。
その為にも初めからガシガシ筋トレするのではなく、硬くなっている筋肉をほぐす(緩める)ところから始めてみましょう。
筋肉を緩めることによって筋肉が付着している骨の位置も良い方向に戻ってくれます。
(骨が戻る、というと語弊があるかもしれません。)
早速ランナー膝の予防にオススメの筋肉の緩め方を紹介します。
アイテムを使った方が簡単に緩められますので、テニスボールを使った緩め方を紹介します。
もしストレッチポールやフォームローラーがある方はそちらを使ってください。
この動画は
お尻の後ろ→お尻の横→太ももの外側の順番に行なっています。
各部位1分~2分程度時間を使ってほぐしましょう。
時間が取れればそれを2セット行います。
そしてその後に行う筋トレを動画で紹介します。
「片足スクワット」
回数:1セット8回 1セット
解説
このトレーニングは純粋に片足で体重を支える際に、重心が左右にグラグラしていないか、そして膝をしっかりと制御しながら運動が行えているかをチェックします。
その為、鏡に向かってやることはもちろん、他の方に見てもらったり、自分で動画の撮影をすると良いと思います。
その状態でブレがなく出来ていれば概ね問題ないと言えます。
後は繰り返す運動の中で疲れてきても良いフォームが撮り続けられるように筋持久力を鍛えましょう。
いきなり片足のスクワットを行うのはハードルが高いと思いますので、先ずは片足立ち30秒キープなどから始めてください。
もしここで膝の制御がうまくいかない場合や、左右にグラグラしてしまう場合はお尻の筋肉がうまく使えていない可能性があります。
次はお尻の筋トレです。
「アブダクション」
回数:1セット10回 2~3セット
解説
このトレーニングではお尻の横の筋肉をフォーカスして鍛えます。
お尻の横の筋肉は走っている際に姿勢を安定させる良い筋肉ですのでしっかりと鍛えておきましょう。
怪我の予防だけでなくタイムの向上も狙えます。
注意しておくべきポイントとしては見かけだけトレーニングをするのではなく、しっかりとお尻の横に効いていることがとても重要です。
太ももではなく、お尻の横です。
「スプリットスクワット」
【動画】
回数:1セット8回 2~3セット
解説
お尻に十分に刺激を与えて活性化させたところで次は片足重心のスクワットです。
動画①の種目と違うのは完全に片足だけではなく、後ろ足も設置しているという点です。
その為、比較的安全に動作を行うことが可能で、かつ膝の制御や重心制御も学習できるトレーニング種目です。
前の足に7割くらい体重をかけて行いましょう。
まとめ
動画①~③は出来れば順番を守って実施してください。
いたずらに筋トレをするのではなく、しっかりと筋トレの効果が出ているかどうかが重要です。
筋肉は一つ一つに役割があり、ことランニング動作においてはお尻の横の筋肉が重要な役割を担っています。
お尻の筋肉の出力(出せるパワーのようなイメージ)が弱いとうまく動作が安定しないので、片足のスクワットを始めにやることで自分のお尻の筋肉が使えているかどうかをチェックしています。
前述した筋肉の緩め方と筋トレを行なっていただければランナー膝の予防は十分に可能かと思います。
既にランナー膝の方も程度にもよりますが行なっていただいても概ね問題ありません。
またランナー膝以外にもお尻の筋肉が上手く使えていないと起こってしまう怪我やパーフォマンス低下は多いので、スポーツを行なっている人や慢性的な膝痛を抱えて運動許可が降りている方であれば行なっても良い内容となっています。
※一律に全ての人に当てはまるプログラムではありませんのでご容赦ください。
今回はランナー膝にフォーカスして予防や改善につながる筋トレを紹介いたしました。
この動画を通して皆さんの慢性的な痛みが改善、もしくは怪我の予防につながっていただけると嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※参考文献
運動器疾患のなぜがわかる臨床解剖学 (医学書院)