変形性膝関節症の痛み改善のトレーニング
寒い日が増えてきましたね。寒い日は膝が痛くなる事がありませんか?
身体活動は、変形性膝関節症患者の疼痛(何もしていないのに痛い)管理、身体機能の改善、可動性向上のための重要な戦略です。
変形性膝関節症の患者数
厚生労働省では、国内での変形性膝関節症患者数を、自覚症状を有する患者数で約1000万人、潜在的な患者数(X線診断による患者数)で約3000万人と推定しています。発病率は高齢になるほど上がります。
50歳以降の男女比(患者割合)では、女性のほうが男性よりも1.5倍~2倍多いことがわかっています。
変形性膝関節症と運動
メタアナリシスでは、一般的に運動は痛みの軽減と身体機能に良い影響を与え、痛みの改善が大きいほど機能レベルも高くなる傾向があることが示されています。
日常生活では主に2つの動きの組み合わせで動作が行われます。
- コンセントリック局面:物体を持ち上げる動作
- エキセントリック局面:物体を降ろす動作
コンセントリックは、モノを持ち上げる、階段を登る、などの動作です。エキセントリックは、モノを降ろす、階段をくだる、などの動作です。
筋力トレーニングも主にこの2つの局面を考えるわけですが、コンセントリックとエキセントリックは、果たしてどちらが変形性膝関節の身体機能や痛みの改善に良い影響を与えるのかを調べた研究があったので紹介します。
デザイン
- 本試験は、4ヶ月間の無作為化単盲検比較試験である。
- 変形性膝関節症の高齢者(N = 88、68.3 ± 6.4歳、30.4 ± 6.9kg/m、女性67.4%)
- エキセントリックに焦点を当てたレジスタンストレーニング、コンセントリックに焦点を当てたレジスタンストレーニング、運動なしコントロールに無作為に割り付けた。
- 主なアウトカムは、椅子立ち上がり時間、階段昇降時間、6分間歩行試験距離、歩行の時間-空間パラメータ、地域歩行、機能的疼痛などであった。
結果
- 両トレーニング群とも、運動なしの対照群と比較して脚筋力が向上した。
- 機能的パフォーマンススコア(椅子立ち上がり時間、階段昇降時間、6分間歩行テスト距離、歩行パラメータ、地域歩行)については、いずれの群×時間交互作用も有意ではなかった。
- 運動なしコントロールと比較して、機能的疼痛スコアは、椅子立ち上がりと階段昇降で減少した。
- 痛みのスコアは、6分間の歩行中およびその回復初期に、残りの2つのグループと比較して、コンセントリックに焦点を当てたレジスタンストレーニングで減少した。
結論
どちらのタイプのレジスタンス運動も、活動に関連した変形性膝関節症の疼痛を改善するが、コンセントリック重視のレジスタンストレーニングは、より効果的に外来疼痛の重症度と歩行停止時の疼痛を減少させた。
以上から、
- レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)は疼痛を改善する
- コンセントリック重視のトレーニングは、さらに効果的に疼痛を減少させる
ということがわかりました。
まとめ
したがって、クライアントが変形性膝関節症を持っていた場合、膝関節が関与するトレーニングにおいてはコンセントリック収縮のみを行うプログラムの提供をする選択肢を前向きに検討すると良いと考えられます。
一方で、エキセントリック収縮は筋肉量を増加させるためにも必要な刺激であるため、膝関節以外の部分においては、両方の収縮様式を含むトレーニングが必要でしょう。
研究結果から実際のトレーニングプログラムに落とし込むことは医療現場では理学療法士、一般社会ではトレーナーがその役を担っています。悩みを抱えている人を1人でも多く減らすことが出来ればと思います。
参考文献
「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について 報告書」平成20年7月 介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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