気温が同じなのに熱中症の発症リスクが違う理由
連日の暑さが目立ち、夏が近づいてきましたね。
梅雨も近づき湿度も上がり、ジメジメしてきたと感じている方も多いと思います。
とは言え、5月でこの暑さは異常ですが・・・
5月で最高気温30度越えはとても暑いです。
気象庁のホームページによると5月の平均最高気温は25℃前後。
いかに今年が暑いかが分かりますよね。
暑さに対しての適応が出来ていないので熱中症を発症するケースも増えます。
ヒトは14日程度、暑熱環境にいないと暑さに順応出来ないとされています。
14日間も暑熱環境で過ごすこと自体が厳しいですが・・
暑くなり始めた時期が最も熱中症の危険が高いという事ですね。
この時期はいくら運動をしている人でも十分にリスクはあるということです。
私も週末はマラソン大会にトレーナーとして帯同してきました。
主な役割は救護です。
発生した傷病に対して、どんな症状か評価をして応急処置をしています。
発生する傷病は捻挫や転倒による擦り傷、骨折、そしてこの時期は熱中症などです。
これからの時期に、より一層気をつけていきたい熱中症の危険性を表す指標(WBGT)の有用性について書いていきます。
(以前は水分補給について書きましたね。)
土日に埼玉と東京でマラソンがありました。
最高気温はそれぞれ31℃。
日差しが強く、蒸し暑かったです。
参加者の人数はおおよそ同じくらい。
競技レベルも同じくらいでした。
しかし、熱中症を発症した人数は土日で差がありました。
単なる偶然かな、と思いますか?
実はこれはWBGTという暑さ指数で区分けされているのです。
WBGTについては環境省のホームページを見るとわかりやすいです。
(http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php)
簡単に言うと日常生活や運動時においての指針となる暑さ指数のことです。
この数値を元に暑熱環境下での対策を講じていきます。
A曜日が22~24℃
B曜日が24~26℃
※WBGTの単位も℃です
ほんのすこしの差に感じますよね。
でもこの差で圧倒的に熱中症の発症リスクが変わります。
そんなことないんじゃないか?と思うこともありましたが先日の経験で確信に変わりました。
実際に熱中症の発症者が多い方はWBGTが高いB曜日の方でした。
運動時(気温30℃)においてWBGTが注意レベルにあるAと警戒レベルにあるBでここまで違うことに驚きましたが、
【熱中症を発症するリスクは可視化出来る】ことに気づかされました。
なんとなく大丈夫。今までそんなことになっていないから僕は平気。
その心構えだと痛い目を見ます。
熱中症は人が死にます。
適切な処置をしないと症状は悪化します。
適切な処置を取る為には物や環境などの準備が必要です。
そしてWBGTが31℃を越えると運動は中止です。
「運動を中止することを推奨する」ではなく、「原則として中止」なのです。
管理する側、人をあずかる側が知らなかった、では済まされません。
WBGTが31℃超えの暑い中、スポーツをして感動する、なんてスポ根漫画のような事は起きてはならないのです。
甲子園などやめた方が良い。
何もなく無事に終わったとしてもそれはただ運が良かっただけ。
本来ならば咎められるべきだと思います。
熱中症は防ぐことができるものです。
大切なお子さんや家族を暑さから守る為にも、お出かけの際や運動をする際にはWBGTをチェックして対策を取りましょう。
環境省のホームページに対策も書いてありますので参考にしてくださいね。
以上、WBGTの有用性について気づかされた週末でした。
今や100%防げるものとなった熱中症ですが、毎年数百人の人々の命が奪われています。
人ごとと思わず、気にしていただけると幸いです。