減量のための手術の効果 -12年追跡-
重度の肥満に対する治療のひとつとして手術を行う事があります。
この手術は簡単に言うと「胃を切って」食べ物が直接腸に入るようにするものです。(Roux-en-Y胃バイパス)
すぐに満腹感が得られるので、食べる量が減ります。
医学誌『The New England Journal of Medicine』にて「Weight and Metabolic Outcomes 12 Years after Gastric Bypass.」という調査が掲載されました。
要約すると、対象は
- 「Roux-en-Y胃バイパス」の手術を受けた418人の経過を手術から12年間追跡。
- 同じ施設に手術を求めて来たけれども手術をしなかった417人(非手術1群)。
- また別に募集され手術は求めていなかった321人(非手術2群)。
- 合計1,156人を追跡。
- 体重、2型糖尿病、高血圧などの状態を調べた。
- 調査開始時の平均年齢は手術群42.5歳、非手術1群42.9歳、非手術2群49.4歳。
- 平均体重は手術群133.9kg、非手術1群129.8kg、非手術2群124.0kg
結果は
手術 非手術1 非手術2
体重 -35㎏ -2.9㎏ 0㎏
糖尿病発生 3% 26% 26%
高血圧発生 16% 41% 47%
糖尿病寛解 51% 10% 5%
高血圧寛解 36% 10% 14%
となり、減量の効果は高く、糖尿病や高血圧の寛解も増えました。また、新たに糖尿病や高血圧を発生する人の数にも大きく差があります。
元々の体重が平均で130㎏オーバーとアメリカならではというか、日本ではここまでの体重になる人は少ないです。しかし、手術をするだけで体重が減り、病態も寛解に向かう可能性が大なので、楽して成果を出せるとはいえると思います。しかし、それでも100㎏くらいの体重ですから、太っていることに変わりはありません。
太っている人にとって、生活習慣を調整し続ける事は大変困難です。一時的に減量を行ってもそれを維持していくのはかなり難しいです。
日本でも今後肥満の人が増加したり、極度の肥満(BMI35以上)に陥ったりするとこういった手術が検討されるはずです。
しかし、手術で痩せても筋肉の質が良くなったり、健康に対する思考が変わるわけではありません。BMIだけで語るのは物足りませんが、BMI25を超えたら25未満に調整するようにしましょう。
1日の歩数もデスクワーカーで約5000~6000歩です。在宅ワーカーだともっと少なく3,000歩程度かもしれません。
1日10,000歩は歩きたいですね。続けていけば体質も少しずつ変化してきます。
美味しいものにはもれなくカロリーがついてきます。
まずは、好きなものを食べたければ運動をする、という考え方で取り組んでみてはいかがでしょうか。