筋肉を増量させるには -運動編-
過去のブログで「筋肥大は痩せるより難しい、でもみんなに必要。」という記事を書きました。
今回はもう少し詳しく、どのような運動を行えばよいかを書いてみます。
運動を行う上で必要な変数
- エクササイズの選択
- エクササイズの順序
- 強度
- 運動量(回数・セット数)
- 休息時間
我々、パーソナルトレーナーはこれらを色々と組み合わせて、個々に最適なプログラムを作成します。
(そうではない小手先のトレーニングを処方するトレーナーも多いのですが…)
以下、簡単に説明していきます。
1.エクササイズの選択
- 大筋群エクササイズ、小筋群エクササイズ
- 多関節エクササイズ、単関節エクササイズ
大筋群エクササイズとは、全身の中でも大きな筋肉を鍛える種目を指します。
大きな筋肉とは、太ももの筋肉(前・後)~お尻や、胸、背中の筋肉を指すことが多いです。
小筋群エクササイズは小さい筋肉を鍛える種目の事で、ふくらはぎ、力こぶ、二の腕などが代表的に挙げられます。
多関節エクササイズとは、2つ以上の関節を動かすエクササイズ種目で、スクワットや腕立て伏せ、懸垂などが挙げられます。
単関節エクササイズとは、1つの関節を動かして鍛える種目で、バイセップスカール、レッグエクステンション、レッグカールなどが代表的です。
一般の方向けにもっとシンプルに説明すると、
大筋群エクササイズ≒多関節エクササイズ
小筋群エクササイズ≒単関節エクササイズ
となるので、多関節エクササイズと単関節エクササイズの2つがあると認識しておけばほぼ問題ありません。
2.エクササイズの順序
エクササイズの順序はそのセッションの質に大きく関わってきます。
例えば、二の腕をしっかり鍛えた後に腕立て伏せ(胸・二の腕)を行うと、二の腕が使えなくなり、胸への刺激が十分かけれなくなってしまいます。
また、単関節エクササイズは重い重さを扱う事が難しくなります。多関節エクササイズで先に高重量を扱った方が筋肉にしっかり刺激を与えて成長を引き出しやすくなり、とても効率が良くなります。
基本的には、多関節エクササイズ→単関節エクササイズと組むのが良いです。
これであれば、全体的に大きな負荷をかけたあと、単関節エクササイズで局所的にしっかり刺激を最後まで与える、という事が出来ます。
3.強度
強度は挙上できる回数に直結します。つまり強度の設定はトレーニングの全体量が決まることになり、プログラムの中で極めて重要な変数となります。
例えばスクワットを「もう脚が動かん!」となるくらいギリギリまで行うと何回こなせるか?
10回がギリギリの場合はその人の最大筋力の約75%の負荷がかかっていると言われています。
15回こなせた場合は、約65%です。6回なら85%となります。
「もう脚が動かん!」というのがミソで、この部分を知らない人・勘違いする人が多くいます。
例えば10回の場合を言い換えると、
10回挙げれて且つ11回挙げれない重さとなります。これだとその重さは一つになりますね。
もう脚が動かないんだけどまだ100%出し切っていないな。12回くらいまで行けそうだけど十分キツイから10回でやめるパターン。これは同じ10回ですが意味が全く違ってきますね。多くの人はこれで実施しています。
筋肉の肥大には最大筋力の70%以上の負荷が必要で、70~85%くらいがよく用いられる負荷となります。
回数で言うと6~12回の間で「もう挙がらん」となるくらいの重さです。
一般的に日常生活での負荷は最大筋力10~20%程度だと言われています。
これだと日常生活の中で筋肉量を維持する事は難しく、加齢に応じて徐々に筋肉量が低下するのもうなずけます。
したがって、筋肉量を維持・向上させるにはダンベルやマシーンなどを用いてトレーニングする必要が大いにあると言えます。
とはいえ、近年ではトレーニング量が同じなら軽い重さでも筋肥大できるといわれています。その場合、総挙上重量が同じになるように回数を多くする必要はありますが可能なようです。
4.運動量(回数・セット数)
セット数は3~6セットがよく用いられるプログラムです。
1セットvs.3セットでは、3セットの方が筋力や筋持久力の向上速度が高いという研究が多数あります。
限られた時間(人生)の中で効率的に筋力・筋量を向上させるためには、複数セットを用いた方がよさそうです。
ただし、トレーニング初心者や高齢者に関していえば、1セットでも筋力・筋量は十分向上するので、傷害の予防、オーバートレーニングの回避という点で、運動に慣れるまでの間1セットを選択するのが良いと考えています。
5.休息時間
休息時間とはセット間の間の時間を指します。
10回やって、1分休憩、10回やって、、、という風に休息を挟みながらあらかじめ決められたのセット数をこなしていきます。
筋肉の肥大の為には60~90秒という休息時間がよく用いられていました。
しかし、実際に行うと分かるのですが、75%強度(10回が限界)を60秒休憩で回した場合、目標の回数に対して、10回→8回→7回と減ります。※個人差はありますがおおよそ当てはまります。
これを3分休憩で回した場合は全て10回で行う事が出来ます。※個人差はありますがおおよそ当てはまります。
このように休息時間一つとっても、1セッションあたりのトレーニングの質に大きく影響することになります。
ただし休息を長くとると、代謝、内分泌系、心臓血管系への適応も変化してくるので、長すぎず且つ回数はこなせる程度の休息時間を取る必要があります。また、長すぎる休憩は1時間当たりにこなせる全体のトレーニング種目や量が減ってしまうので注意が必要です。
私の場合、多関節運動で全体的に強い力発揮が要求される種目では90~120秒程度、単関節で局所的に疲労させることを狙う場合は60秒程度と使い分けています。
また、クライアントの表情や呼吸を見ながら、セットごとに30~60秒程度長くしたり短くしたりと調整をかける事もあります。
以上、大まかに5つの変数に分けて、筋肉量を増加させるためのプログラム作成について書きました。
この他にも週何回行うのか?1回の動作速度はどうすればよいのか?高齢者にとっては適切なのか?などあります。
これらの疑問は今後のブログで紹介していきたいと思います。
コチラも参考にしてみてください↓
追記