胃の働き
これまで、サルコペニアに関して、いくつか記事を書いてきました。※下にリンクを張っておきます。
胃癌・食道癌の術後患者にほぼ確実に起こる「サルコペニア」ですが、これを改善する事を目的とした指導を現在行っています。
今回は「胃の働き」を改めて整理したいと思います。
胃の働き
胃の働きは、食物を貯え、ある程度消化し、十二指腸へ送り出す、という働きがあります。
胃の入り口である噴門は弛緩して(緩んで)食物を受け入れます。
胃の下部の小収縮で食物は胃酸や消化酵素と混ざり、出口側である幽門に送られます。
しかし、出口側の筋肉は厚く壁のようになっているので、そこにぶつかって戻されます。
これを繰り返すことで攪拌が進み、より消化酵素と混ざりあい、粥状になります。
こうなって胃の下部のポンプ作用により、十二指腸に送り出されます。
簡単にまとめると、①消化・殺菌・希釈が数時間行われ、②少しずつ腸へ送り出される、となります。
空腹時の胃の働き
上記の消化~送り出しが終わり、胃の中が空になると胃・十二指腸には強い収縮が起こります。
消化を終えた胃は休むのではなく、逆に絞るようにして胃の中を掃除して、次の食事の受け入れ準備をしています。(お腹がグーっとなるのはこの動きを行っているからです)
空腹時にはグレリンというホルモンが分泌されます。
グレリンは胃腸から脳へ空腹を知らせ、食欲を増進させる作用があります。
出入り口の部分は括約筋(かつやくきん)とも呼びます。
括約筋は通常は閉じており、食物が通過するときに開きます。
通過するときのみ開くというのは、逆流を防止するのに非常に重要な働きです。
閉じる力が弱いと、逆流性食道炎の原因になります。
胃切除後はこれらの働きが失われてしまいます。
食欲不振はグレリンの欠乏が一因となっている可能性があり、消化能力の低下、少しずつ腸に食物を送る事が出来なくなるなどが起こります。
これによってサルコペニアの発症に繋がります。
以上、簡単に胃の働きをまとめました。
次回はもう少し掘り下げて書いてみたいと思います。
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