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  • 2022.06.08

転倒予防には運動がよい


筋力が衰えてくると、高齢者だけではなく中高年層の方も転倒のリスクが高まります。

私のお客様にも中高年になってからの転倒を経験されている方が結構いらっしゃるので、けっして他人事ではないと読み進めていただければと思います。※短い記事なのですぐに読み切れますよ^^

転倒によりケガをする可能性は高まりますし、最悪は骨折などの重傷を負う可能性があります。

特に細身(筋肉量の少なさにより)の女性は骨密度が低く、中でも50歳以上の女性は閉経と相まってより骨密度が低いので骨折リスクは高まります。

なので、骨折を予防するためには骨密度を高めるための手段を取らなければなりませんが、そもそも転倒しないようにし、骨折を未然に防ぐことが大事です。

医学誌『JAMA』に「高齢者の転倒防止の為の介入を比較」という調査が報告されました。

結果からいうと、以下の方法が通常のケアよりもケガにつながる転倒が少ないようでした。

  • 運動
  • 運動と視力検査・治療
  • 運動、視力検査・治療、住環境の調査と調整
  • カルシウムとビタミンDの補充

結論として、

運動のみ運動と他の様々な組み合わせは、通常のケアと比較して転倒のリスクが低いことと関連していた。

としています。

つまり転倒⇒ケガのパターンを予防するには運動が有効だという事です。

そこで、転倒に有効だと考えられる運動は何だ?という話になるのですが、これは間違いなくスクワット系の下半身エクササイズでしょう。

レッグエクステンションやレッグカールなどのマシーンを用いたもの(オープンキネティックチェーン)よりも、地に足を付けて行うスクワットなどのエクササイズ(クローズドキネティックチェーン)が非常に有効だと考えられます。

理由は、マシーンではピンポイントな筋肉を鍛えるのに対し、スクワットなどのフリーウエイトと呼ばれる種目ではその動きに関わる筋群を鍛える事が出来るからです。

また、日常生活では普通地面に足を付けて生活しているので、マシーンなどの動きでは日常の動きのパターンからもかけ離れています。

おススメの方法は↓のリンクを参考にしてみてください。

スクワット(スクワット初級編)/下半身

スプリットスクワット(スクワット中級編)/下半身

デッドリフト/背中・下半身

筋肉を鍛えると、筋肉だけではなく骨密度も増加しやすくなります。

また、いわゆるバランス能力なども向上するので、こういったエクササイズを定期的に行い、転倒の予防に繋げていきましょう。


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参考文献

Comparisons of Interventions for Preventing Falls in Older Adults

概要

重要性: 転倒は患者と医療システムに大きな負担をもたらし、世界中の人口の高齢化を考えると、転倒の発生率は上昇し続けています。

目的: 転倒を防ぐための介入の潜在的な有効性を評価すること。

データソース: MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、および開始から2017年4月までのAgelineデータベース。含まれている研究の参照リストがスキャンされました。

研究の選択: 65歳以上の参加者を対象とした転倒予防介入のランダム化臨床試験(RCT)。

データの抽出と統合: レビューアのペアが独立して研究をスクリーニングし、データを抽象化し、バイアスのリスクを評価しました。ペアワイズメタアナリシスとネットワークメタアナリシスを実施しました。

主な結果と対策: 有害な転倒と転倒関連の入院。

結果: 10 650のタイトルと要約、および1210の全文記事のスクリーニング後に、合計283のRCT(159 910の参加者、平均年齢78.1歳、74%の女性)が含まれました。ネットワークメタアナリシス(54件のRCT、41,596人の参加者、39件の介入と通常のケアを含む)は、通常のケアと比較した場合、次の介入が有害な転倒の減少に関連していることを示唆しました:運動(オッズ比[OR]、0.51 [95 %CI、0.33〜0.79];絶対リスク差[ARD]、-0.67 [95%CI、-1.10〜-0.24]); 運動と視力の評価と治療の組み合わせ(OR、0.17 [95%CI、0.07〜0.38]; ARD、-1.79 [95%CI、-2.63〜-0.96]); 運動、視力評価と治療、および環境アセスメントと修正の組み合わせ(OR、0.30 [95%CI、0.13〜0.70]; ARD、-1.19 [95%CI、-2.04〜-0.35]); クリニックレベルの品質改善戦略(例:症例管理)、多因子評価と治療(例:包括的な老年医学的評価)、カルシウム補給、およびビタミンD補給(OR、0.12 [95%CI、0.03〜0.55]; ARD、 -2.08 [95%CI、-3.56〜-0.60])。転倒関連入院のペアワイズメタアナリシス(2つのRCT; 516人の参加者)は、クリニックレベルと患者レベルの品質改善戦略の組み合わせと、通常のケアと比較した多因子評価および治療との間に有意な関連を示さなかった(OR、0.78 [95%CI、0.33 1.81まで])。

結論と関連性: 運動のみと介入のさまざまな組み合わせは、通常のケアと比較して、有害な転倒のリスクが低いことに関連していました。転倒予防介入の選択は、患者と介護者の価値観と好みに依存する可能性があります。