食欲の秋-野菜には栄養価の変動がある
こんにちは。トレーナーの佐藤です。
暑さが落ち着いてきていよいよ夏の終わりを感じますね。
秋はスポーツの秋とも呼ばれるくらい運動するのに丁度いい気候です。
暑過ぎず、寒過ぎず動き始めも億劫さを感じないですよね。
普通に過ごしていても湿気があまりなくて快適ですね。
余談ですがジム何の温度は22℃〜26℃が適温とされています。
ちょうど秋はそのくらいの気温に近いのではないでしょうか。
秋といえば他にも読書の秋や食欲の秋とも言われていますが季節が変われば野菜の栄養価も変わることはご存知ですか?
旬、という言葉があるように季節によって美味しい食べ物や栄養価が変わってきます。
せっかく身体に良い効果がある食べ物を食べるなら栄養価が高い物を食べて行きたいですよね。
そこで今回は季節の旬な野菜と季節ごとの栄養価の変化を紹介していきます。
旬とは大量に収穫出来る時期であり、最も味の良い時期でもあります。
女子栄養大学 辻村氏の発表で非常に興味深いことが書かれていました。
辻村氏は1985年に無水鍋を用いた調理前後の栄養成分の変化について分析を行ったところ、ほうれん草のビタミンCの含有量が、既存のデータでは100g中70~80mgとされているのにも関わらずその測定においては10mgしか含まれていなかったと記されています。
同測定方法において、2回3回と測定をし直したが結果に差異は見られず同じ結果が出たとされています。
そんなところから野菜の栄養と季節の関係に関心を持って調査を進めたところ、野菜には3ヶ月程度の旬があり、その時期は栄養価が高く、逆に旬を外れると栄養価が低いことが分かったとされています。
20年間の研究でこれらを調査しているのでとても権威性のある調査結果だと思います。
現に厚生労働省のe-ヘルスネットや日本食品標準成分表2015年版(七訂)において、季節によって野菜の栄養価が変動することは明記されています。
見た目は同じ野菜でも旬の物と旬ではない物では中身が全く別の野菜だったと書かれていますが、まさにその通りで私が言うのはおこがましいですが、良い表現だなと感じました。
何にせよ実際の当時のデータ(国が定める食物の基本的な栄養成分データ)と比較して、辻村氏が調べた野菜は8分の1程度の栄養価の時期がある、というのは衝撃的ですよね。
e-ヘルスネットから旬の野菜を季節毎に抜粋
秋の旬の野菜
銀杏・栗・ゴボウ・さつま芋・里芋・松茸
冬の旬の野菜
かぶ・小松菜・大根・長ネギ・白菜・ほうれん草・百合根
春の旬の野菜
キャベツ・新じゃが・筍(たけのこ)・たらの芽・菜の花・ふき
夏の旬の野菜
えだまめ・オクラ・かぼちゃ・きゅうり・トマト・なす・ピーマン
これらを全て紹介したいところですが、論文に記載のあったも物を紹介します。
※多種に分かれている農作物においては必ずしもこの通りではありません。
全国6地域のスーパーマーケットで販売される6種の野菜の産地とビタミン・ミネラル含有量の通年成分変化(女子栄養大学 辻村氏 日笠氏)によると多くの野菜でビタミンCやカロテンの含有量で12ヶ月間の栄養成分に差が見られるとされています。
(地域毎の差も見られています)
その為、概ねほとんどの野菜は栄養価が変動すると考えても良さそうです。
同研究において、キャベツ・大根・トマト・にら・ほうれん草・さつまいもの6つの野菜を1年間、隔月で栄養価を計測しました。
水分・灰分・各種ミネラル・カロテン・ビタミンCを分析しております。
※灰分(かいぶん)とは
食品成分として含まれる鉱物質のこと。カルシウムや鉄、ナトリウムなどミネラルを指します。
同研究の要約を見ると6種の野菜の中で以下のことが記されていました。
- トマトのビタミンCが夏場に高い
- にらのビタミンCは夏場に低い
- ほうれん草の水分は夏場に高い
- ほうれん草はカロテン・ビタミンC・糖度が夏場に低い
- キャベツのカロテンは春に高く夏〜秋にかけて低い
- 大根のビタミンCは冬場と夏場に高い
- ほうれん草のビタミンCは冬場に高い
他にも季節毎に変動がありましたが目立った変化は上記の通りです。
しかしながら大根のように季節が真逆でもほぼ同じくらいの値を示すものもありました。
同じ野菜にも色々な種類があります産地の水や土、気温や湿度によっても左右されることが考えられます。
もっと細かく調べてみるとより面白い結果が見えてきそうな気がします。
これらの研究から分かるように野菜には栄養価の高い時期、いわゆる旬があります。
旬な物を食べるという食文化は非常に理にかなった物なのだと感じました。
今回は野菜にフォーカスしましたが魚や果物も同様に栄養価の変化はありそうですよね。
肉に関しても国産の牛肉とアメリカ産の牛肉では国産の方が脂が乗っている、ということがありますのでざっくりと国別に考えてみるのも面白そうです。
今度は野菜以外の旬の物、旬ではない物の栄養価の変動に関して研究結果を調べてみようと思います。
不足しがちな栄養素を効率良く摂取するには旬を意識した食材を使うことが大事ですね。
そして何より旬な物は美味しい(はず)ですよね。笑
私も料理をする際は旬の物を意識して食べるようにしてみようと思います。
今回のブログを作成するにあたり様々な文献を見たのですが、栄養成分を知るのに良い物が見つかりました。
食品の成分を調べるには文科省が試験的に公開している食品成分データベース、というサイトがオススメです。
まだ、試験的な公開ということですがしっかりと日本食品標準成分表の現在の最新版を基にデータが表示されるので安心して使用出来ます。
日本食品標準成分表は5年毎に改訂版が出ますので、2020年には新しい物が出る予定です。
年々野菜などの食物の栄養価が下がっていると言われていますが、2020年版はどうなっているのか気になりますね。
極論ではサプリメントを併用して摂取しないと1日に必要な十分な栄養素を摂取することは厳しいなんていう声も上がっています。
あくまで中立的な立場で判断し、適切な情報を皆さまに届けられるようにしていきたいですね。
2020年版が出たら、2015年版との変化についてまとめようと思います。
今回は野菜の栄養価の変動についてまとめてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
IGF茅場町店では無料のカウンセリングを行っています。
ご興味のある方・健康状態にお悩みの方は是非一度ご連絡ください。
皆さまからのお問い合わせをお待ちしております。
※参考・引用文献
食品成分データベース文部科学省
e-ヘルスネット 厚生労働省
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp)
日本食品標準成分表2015年版(七訂)
(http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm)
辻村卓、荒井京子、小松原晴美、笠井孝正:冷凍あるいは凍結乾燥処理した野菜・果実中のビタミン含有量に及ぼす通年貯蔵の影響。日本食品低温保蔵学会誌。Vol.23、No.1(1997)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jafps1997/23/1/23_1_35/_pdf/-char/en)
全国6地域のスーパーマーケットで販売される6種の野菜の産地とビタミン・ミネラル含有量の通年成分変化(女子栄養大学 辻村氏 日笠氏)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/79/9/79_KJ00003978990/_pdf/-char/ja)