RICE ケガをしたときの応急処置
こんにちは。トレーナーの佐藤です。
怪我をした時に私たちトレーナーが行うRICEという処置方法を紹介します。
これは応急処置方法なのでご家庭でも参考になるかと思います。
ご自身や旦那様(奥様)お子様が、日常生活やスポーツの際にケガをしたときに使えます。かなり使えます!
RICEの語源
先ず、RICE処置とはそれぞれの処置方法の頭文字を取って組み合わせたもので、とても基本的な処置方法の一つです。
R:Rest(安静)→患部を安静にすることで腫れや炎症をコントロールする 足首の捻挫等の場合は単に歩かないだけでなく、体重をかけない、というのも大事です。
I:Ice(冷却)→患部を冷却して炎症や痛みを和らげる 冷感シップや流水、コールドスプレーでは冷却効果は薄いので、氷や氷のう、アイスバケツ等で冷却しましょう。
C:Compression(圧迫)→腫れや炎症をコントロールする 過度に強く圧迫しすぎるとNG。足や手の血流チェックや痺れの有無を確認しながら行いましょう。
E:Elevation(挙上)→腫れや炎症をコントロールする 心臓よりも高い高さに挙げることで患部への血流を制限します。
RICE処置はこのような形となっています。
RICEの効果
怪我をしたら安静にすることや冷やすことは何となくイメージ出来ますよね?
このRICE処置とは怪我をした部位の炎症や出血、腫脹、痛みを抑える為に対して行うことで、Cは怪我をした部位を圧迫し、Eは怪我をした部位を心臓より高い位置に挙げることです。
怪我をした部位の炎症を抑えて回復を促すにはRICEは欠かせません。
打撲や捻挫、肉離れ等の怪我は正しいRICE処置を行うことで怪我からの回復がかなり早くなります。
太ももの前側の打撲を例にして考えてみましょう。
打撲は特定の部位に衝撃が加わり、筋肉や皮下組織の損傷が起きる怪我のことです。
組織の損傷が起きるとその部位が炎症を起こします。
そして何かがぶつかっている、もしくはぶつけているので痛みも伴います。
その部位が腫れて来ないうちに氷とポリ袋や氷のう等を用意して冷やしましょう。
患部が腫れてしまうと腫れが治るまでの治療期間が延びてしまいますので迅速な対応が出来ると理想的です。
痛みや腫れが治まって終わりではなく、痛みなくしっかりとした可動域で身体を動かせるようにならなくてはなりませんね。
RICE処置に必要なモノ
RICE処置で用意しておく物は主に4つあります。
- 氷
- ポリ袋or氷のう
- 弾性包帯orバンテージorテーピング
- ポリエチレンパッド
ポリエチレンパッドは部位ごとに型づけされているもの出なくても自分でハサミで切り、患部にフィットするように調整すればOKです。
ポリエチレンパッドは足首などの凸凹している部位に対して使う物なので太ももの打撲でしたらバンテージや弾性包帯、などで大丈夫です。
アイシングで使う氷は温度が低すぎても凍傷になってしまうので氷の表面に霜が張っているような氷は使わないようにしましょう。
目安としては氷の表面が溶け出しているくらいが適切です。
常温にしばらく置いて霜をがなくなってから使うのも良いでしょう。
RICE処置の方法
- アイスバッグの作成
- 患部にアイスバッグを当てる
- バンテージや弾性包帯で固定
- 15分~20分間そのまま
- アイシングを40分程度外す
(2に戻る)
という流れです。
氷のうを作る場合やポリ袋でアイスバッグを作る場合も袋の中に空気が入ると氷が溶けるのが早まるばかりか冷却効果が薄くなってしまうので空気が入らないように作りましょう。
ポリ袋は100均で売っているものでも大丈夫ですが薄すぎると袋が破けてしまいますので注意が必要です。
(一般的に袋の中で氷を平らにして口で袋の中にある空気を吸い込み、袋をクルクル回して空気が入らない状態で開け口を閉じて縛り、アイスバッグを作ります。)
患部にアイスバッグを置き、バンテージや弾性包帯でクルクルと程よく圧迫しながら巻いていきましょう。
ももの前側の打撲の場合、膝を伸ばしながら固定してしまうと膝の可動域が狭くなってしまうので曲げた状態でスネと太ももをくっつけるように巻いていきましょう。
15分~20分間、患部を冷やしたら一旦アイシングは止めて、40分程度間隔をあけてまたアイシングをします。
これを3~4セット行います。
このサイクルを1~3日間繰り返しましょう。
冷却する為の物としては市販で売られているコールドスプレーなどがありますがあれは表面のみの冷却、かつ一時的なもので冷却効果が薄いので使うメリットはあまり無いと言えます。
私が行くマラソン大会等のスポーツ現場ではしばしば参加者から要望があり使用することがありますので心理的な効果や、一時的な冷感による効果も少なからずあるのかなぁとも思いますが・・・。
上記のことを頭に入れておけば打撲や捻挫の際は大丈夫かと思います。
注意点
注意しておきたいこととしては、RICE処置はあくまで応急処置であり、可能なら医療機関の受診をすることです。
打撲でも軽度の打撲もあればそうでない打撲もあります。
なるべく早めの対応を心がけましょう。
RICEを受けている側の感覚
- 患部は体温と同等か少し熱を持っている状態
- 氷を当てられ「冷やっ」とする※最初の数~数十秒
- 氷を当て続けていると冷たさで患部が痛くなってくる※氷を当て始めて5分前後のあたり
- 3の段階を通り過ぎると患部がマヒしてくる(感覚がなくなってくる)※15分前後のあたり
患部が冷やされ続けると感覚がなくなってきます。これで筋肉や靭帯の芯までしっかり冷やされた証拠です。
4の段階まで持っていく事が大事です。痛いからといって5分程度で止めたら、RICE処置の十分な効果は得られません。※用事などで動かないといけないときは致し方ない時もあります。
極力、早い段階では外さないようにしましょう。
15~20分冷やしたところで氷を幹部から離します。
そして常温に戻るまで待ちます。この時、体温で少しずつ患部が温かく戻っていく感じです。
そして患部が体温と同じくらいに自然に戻ったら、再度1に戻り同じことを繰り返します。
最近の応急処置トレンドについて
また、最近ではRICE処置ではなく、POLICE処置と言われる処置方法も定着しつつあります。
POLICE処置には以下の意味が込められています。
P:Protection(保護)→シーネや装具を使い患部を保護します。※シーネとは骨折等の場合に関節の運動を制限する為に用いる道具です。
OL:Optimal Loading(適度な運動)→適度な運動は回復を促してくれます。※安静にしなければいけない時期。運動を推奨する時期は医師に相談しましょう。
単なる安静ではなく、より深いところを考慮した応急処置となっています。
道具があればこれらも参考に出来ると良いでしょう。
今後もこの応急処置は変わってくる可能性は十分にあります。
心肺停止の際のガイドラインが年々変わっていくように、徐々に技術の進歩や研究により対応の仕方も変わってくるのが当然です。
ベストな知識を得る為にも日本赤十字のHPなどを見てみるのも良いと思います。
http://www.jrc.or.jp/activity/study/safety/
(日本赤十字のHPリンク)
最後に
応急処置は適切に行えば怪我から復帰するスピードを早めてくれます。
アスリートに限った話ではなく、日常生活への支障を最低限のものにする為にもこのブログを参考にしていただけると幸いです。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。