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  • 2022.07.24

パワープレート(WBV(全身振動))は筋肉と骨に効果なし!


全身を振動させるマシーンがあるのをご存知でしょうか?

こういうやつです↓

最近、大手のフィットネスクラブなど設置している施設が増えてきました。

パワープレートといった方が分かりやすいでしょうか。

全身振動マシーンよりもパワープレートと呼ぶ方が伝わりやすい点、流石の知名度だと感じます。

ということで、以下『パワープレート』として書いていきますが、パワープレート社の製品だけのことを言っているのではなく、全身を振動させるマシーン全てを論じていると考えてください。

結論からいうと、パワープレートは

  • 高齢者の筋肉と骨に対してはあまり効果がない。
  • 肥満の人たちの血圧や安静時心拍数、脚の筋力は改善する。しかし、体重・筋肉量・血液パラメータには影響を与えない。

となります。

パワープレートとは?

  • 1秒間に25〜50回の高速振動で、あらゆる方向から全身の細部に負荷をかけ、短時間で効率的なエクササイズをすることが可能。
  • 神経系・固有受容器・筋骨格系・循環系が刺激され、短時間で、多くの効果を身体にもたらす。
  • 神経や筋肉、刺激を受け入れる 細胞などの反射を高め、カラダ本来の機能や可動域を効率よく鍛えます。

https://power-plate.co.jp/learn/ より引用

簡単にいえば、効率よく運動の効果が得られるよ、ということです。

どんなトレーニングをするのかは以下の動画を観るのがイメージしやすいかと思います↓

Whole Body Vibration Workout

マシーンの台に乗って片足立ちしたり、踏み台昇降のように使ったり、様々なバリエーションがあります。

実際に台の上でストレッチしてみると気持ちいいです。笑

実際の効果は?

今回はパワープレート社が”短時間で効率的なエクササイズが可能”と言っているので、パワープレートをトレーニングに使用した場合、筋肉、骨、体脂肪、血液データに対して効果があるのかを確認したいと思います。

骨と筋肉にどのような恩恵があるのか、2つのメタアナリシスを参考に見ていきましょう。(赤文字のところだけ読んで、まとめまで飛ばしていただいてもOKです)

(1)

目的:高齢者においてWBVが骨と筋肉のパラメータに同時に影響を与えることのエビデンスを評価することを目的とする。

方法:Preferred Reporting Items for Systematic Review and Meta-Analysisガイドラインに基づき、MEDLINE、EMBASE、EMCARE、Cochrane Central Registry of Controlled Trialsで系統的な文献検索を行った。主なアウトカムは、骨と筋肉のパラメーターの変化とした。

結果:WBVは、コントロール(すなわちWBVを含まない)と比較して、測定された骨(股関節と腰椎の骨密度[BMD])と筋肉(除脂肪体重と立位時間)の成果に対して有意な相乗効果を持たないことが示された。

結論:有意な結果はなかったが、含まれる研究は、サンプルサイズが小さく、限界がある。より長いフォローアップ期間で、骨と筋肉の両方の結果を同時に測定するよう努めるべきである。WBVは、高齢者の骨と筋肉の健康に同時に影響を与えるとは思われず、測定可能な臨床効果につながる運動療法を確立するために、今後の研究が必要である。

(2)

目的:体重過多/肥満の参加者において、全身振動トレーニング(WBVT)が身体組成、代謝および心血管リスク変数、下肢筋力に及ぼす効果を評価すること。

研究選択:体重過多/肥満の集団における体組成変数、代謝プロファイル、血圧、心拍数、下肢筋力に対するWBVTの効果を分析した研究で、最低2週間の介入を行ったものを対象とした。

データ抽出:肥満/過体重の884人が参加した23の研究(実験群。543名、体重79.9kg、BMI=31.3kg/m2、世界保健機構による肥満度クラスI)が定量分析に使用された。被験者の性別は以下の通り。(女性のみを対象とした研究は17件、男子のみを対象とした研究は1件、男女両方を対象とした研究は5件)介入前のWBVTの効果や対照群との差について分析した。

データ統合:WBVTは、脂肪量の有意な減少をもたらした(-1.07 kg.臨床的に有意ではない)。また、WBVTは収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数の低下、および下肢筋力の増加も認めた。一方、WBVTは、体重、BMI、筋肉量、コレステロール、トリグリセリド、グルコースには影響を与えなかった。

結論:WBVTは、血圧および安静時心拍数を低下させる効果的なトレーニング様式となり得る。さらに、WBVTは下肢筋力の改善につながった。しかし、これらの知見は、メタボリックシンドロームに関連する他の変数(身体組成、コレステロール、トリグリセリド、グルコース)に対する有意な改善とは合致しない。

簡単にまとめると、パワープレートは

  • 高齢者の筋肉と骨に対しては効果がない。
  • 肥満の人たちにとっては血圧や安静時心拍数、脚の筋力は改善する。体重や筋肉量、代謝プロファイルには影響を与えない。

となります。

何かしらの反応は期待していたのですが、全く効果がなくて残念です。今回は検証していないですが、柔軟性の改善についてはもしかしたらポジティブな変化があるのかもしれません。

”脂肪量の有意な減少をもたらした(-1.07 kg.臨床的に有意ではない)”の部分ですが、パワープレートを使ったグループが使っていないグループより脂肪は1kgくらい多く落ちたんだけど、肥満の人が2週間以上取り組んで1kgしか変わらないなら大した意味は無いよね。ということです。

別のトレーニング方法で脂肪減少を試みたほうが時間の使い方として有意義かと思います。

まとめ

痩せるわけでもないし、筋肉・骨が付くわけでも、血液状態がよくなるわけでもない、となると施設側としては大金をかけて設備投資する必要があるのか疑問です。

ちなみにパワープレートはモデルにもよりますが、1台130〜200万円で販売されています。パワーラックとバーベル・プレートを揃えてもお釣りが来ます。いろんなトレーニングが出来るマルチマシンを買うのもアリですね。

このように、別の設備に予算をかけるのが経営/指導者側としては合理的な気がします。

利用者としては、体組成の改善や血液の状態を良くする目的でパワープレートに時間をかけるなら別のトレーニングに時間をかけたほうが良さそうです。ウォーキングしたりストレッチしたり…

設備投資された分は会費として利用者が負担せねばならないのでそれもネックです。

ただ、血圧を下げることを期待して利用する分には使えるでしょう。でも血圧を下げる別の手段も沢山あります。

今回はパワープレートが筋肉・骨・脂肪といった体組成と、コレステロール値・中性脂肪・血糖値といった血液データに対しては影響を与えない事を紹介しました。

また、別の目的で(例えば柔軟性など)パワープレートがどのように影響するのかは調べてみたいと思います。


参考文献

(1).Does Whole-Body Vibration Training Have a Concurrent Effect on Bone and Muscle Health? A Systematic Review and Meta-Analysis

(2).Effects of Whole-Body Vibration Training on Body Composition, Cardiometabolic Risk, and Strength in the Population Who Are Overweight and Obese: A Systematic Review With Meta-analysis

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