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  • 2022.08.24

果糖ブドウ糖液糖が健康に及ぼす影響


『果糖ブドウ糖液糖』を見聞きしたことがある人は多いと思います。清涼飲料水などによく使われているので、甘い飲み物の成分表示を見ると大体最初の方に表示されています。(アメリカではHFCS (high-fructose corn syrup) と呼ばれる。EU諸国では砂糖規制法規による製造業の保護のため普及率が低く5%以下。)

したがって、なんとなく“砂糖”のようなものだろうなという認識では無いでしょうか。今回は『果糖ブドウ糖液糖』についてどのようなものか、どんな影響があるのかを見ていきます。

異性化糖とは

異性化糖(いせいかとう)とは、主にトウモロコシを分解して変化させ果糖に変化させたものを言います。生成プロセスは以下の通りです。

  1. トウモロコシ(でんぷん)を用意する
  2. でんぷんを最小単位(ブドウ糖)まで分解
  3. ブドウ糖に酵素を加え、約半分を果糖に変化させる
  4. 水分を蒸発させて濃縮する

このようにして出来上がります。一般向けに販売されているものは『ガムシロップ』のみで、ほとんどは事業者同士でやりとりされています。

特徴としては、砂糖よりも甘みが強いことです。砂糖を100とすると、果糖ブドウ糖液糖は100〜120です。また、粘性が少ない液体のため、運搬コストや貯蔵に優れています。

  • ブドウ糖果糖液糖:果糖含有率(糖のうちの果糖の割合) 50 %未満のもの。
  • 果糖ブドウ糖液糖:果糖含有率 50 %以上 90 %未満のもの。
  • 高果糖液糖:果糖含有率が 90 % 以上のもの。
  • 砂糖混合異性化液糖:上記の液糖に 10 %以上の砂糖を加えたもの。

異性化糖には以上の種類があり、最も一般的なのが『果糖ブドウ糖液糖』です。次いで『ブドウ糖果糖液糖』でしょうか。以降は『果糖ブドウ糖液糖』として話を進めていきます。

果糖ブドウ糖液糖の健康への影響

果糖(フルクトース)の摂取と慢性代謝性肝障害

患者に高フルクトースを含む砂糖入り飲料を6ヶ月間投与した研究では、研究終了までに肝臓の脂肪が増加することがわかりました。フルクトースの摂取量と肥満および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率の間には、疫学的データに基づいて明確な相関関係が見出されています。

NAFLDに起因する合併症には慢性肝疾患や肝硬変があり、肝線維化の重症度はフルクトースの摂取量に依存する形で現れています。

フルクトース摂取と脂肪生成、尿酸生成、インスリン抵抗性

フルクトースの代謝は、様々なステップを経て、最終的にはグリコーゲン、グルコース、中性脂肪が作られます。しかし、酸化ストレス、タンパク質合成の阻害、ミトコンドリア機能不全を引き起こし、さらに肥満、インスリン抵抗性、脂肪肝の原因となり、最終的にはメタボリックシンドロームとなります。

さらに、肝インスリン抵抗性を引き起こし、メタボリックシンドロームやNAFLDのさらなる進行に寄与する可能性があります。さらに、インスリン抵抗性や糖尿病の誘発は、肝・膵小胞ストレスを介して引き起こされる可能性もあります。

特に尿酸生成は、いくつかの潜在的な経路を経由して肝脂肪生成につながることが分かっています。ミトコンドリア酵素の活性を低下させ、その結果、クエン酸の蓄積と脂肪生成につながります。

さらに、尿酸が脂肪酸の酸化を阻害し、脂質の蓄積を引き起こします。その結果、高尿酸血症はNAFLDと非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の両方に関連することが研究により示されています。

また、尿酸は、アルドース還元酵素を刺激してフルクトースを生成し、フルクトキナーゼの活性を高めてフルクトースの代謝を促進するという正のフィードバック系を介して、フルクトースの効果を高める可能性があります。

要約すると、『果糖はメタボと肝臓の不具合を促進し、しかも体内でも果糖を生成しちゃって負のスパイラルが始まるよ』となります。果糖の大量摂取は不健康蟻地獄への一歩です。

高果糖とNAFLD発症の関係に関する論争

高果糖とNAFLDの発症との関係については、高果糖の摂取がNAFLDと逆相関するという大規模なヒトのコホート研究の報告があります。

この観察結果は、この研究では“果実由来”か“ソフトドリンク由来”か、果糖の摂取源を分けていないためと考えられます。このことは、高果糖の摂取が肥満やメタボリックシンドロームを引き起こさないという他のヒト試験においても当てはまる可能性があります。これらの研究は、前者がミネラル、ビタミン、抗酸化物質、ポリフェノールなどの様々な化学化合物を含み、高果糖の影響をブロックできることから、天然の果物からの果糖とソフトドリンクからの果糖には大きな違いがあることを示唆しています。

まとめ

要約すると、特に果糖ブドウ糖液糖やショ糖などの甘味料の消費量の増加に伴い、高果糖の肝臓への作用と有害な影響の可能性が懸念されています。

NAFLDおよびNASHに対するその寄与は、多くの研究によって裏付けられており、複数のメカニズムによって説明することが可能です。その中でも、肝臓での脂肪酸のβ酸化の障害と脂質生成の亢進が、最も大きな原因であると考えられています。

特にフルクトキナーゼCは、尿酸の生成、ATPの減少、ヌクレオチドの代謝回転の上昇を介して、肝臓での脂肪蓄積を促進することが指摘されています。

結論として、果糖の大量摂取は、現在の肥満の蔓延に重要な役割を担っています。飲料に含まれる果糖ブドウ糖液糖は、その過剰摂取を引き起こす原因と容易に想像がつきます。直接炭酸飲料を用いた研究から、この糖の大量摂取が脂肪細胞におけるいくつかの機能を阻害する可能性があることが示されています。

  1. 飲み物を買うときは全成分表示を見ましょう
  2. 含有量の多い順に記載されています
  3. 果糖ブドウ糖液糖が記載されていたら可能な限り購入を控えましょう

清涼飲料水はたいてい『果糖ブドウ糖液糖』が最初の方に書かれています。つまり沢山入っているということなので、果糖の過剰摂取は確定事項となります。清涼飲料水は基本に飲まないようにしましょう。

同じ果糖でも果物からの果糖は、そもそも果糖の量が少ない(ほとんど水分だから)うえ、食物繊維やビタミン・ミネラル・抗酸化物質によるポジティブな効果が圧倒的に多いので、果物は適量(1日200g)食べるようにしましょう。


参考文献

異性化糖(Wikipedia)

EU砂糖規制法規概要

果物は1日200g 厚生労働省

The negative and detrimental effects of high fructose on the liver, with special reference to metabolic disorders

High Fructose Intake and Adipogenesis

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