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  • 2023.05.20

パーソナルジムの選び方(ニュースを受けて思ったこと)


今朝のYahoo!ニュースのトップページに「パーソナルトレーニングで健康被害多発 消費者庁、調査開始」という見出しで記事が掲載されていました。

“国民生活センターによると、2017年度以降の約5年間で、パーソナルトレーニングによるけがや病気の相談が105件あり、そのうち女性が9割だった。”とあります。

女性が9割というのがちょっとよくわからない統計ではありますが、1年あたり20件ほどの相談があるのはちょっと多いかもなという印象です。国民生活センターに相談していないケースもあると考えられるので。

このニュースを見て、トレーナー歴14年の私が考えていることを述べたいと思います。ちなみに本来、筋トレは安全な運動である事が分かっています。

パーソナルジムが増え過ぎた

お客様にまず知って頂きたいのは、「トレーナーとトレーニーは違う」という事です。トレーニーとはトレーニングするのが好きな人の事です。

パーソナルジムが増えているということは、ユーザー(お客様)とスタッフの数も増えているという事です。

ユーザー数が増えれば、仮に発生率が同じだとしても問題となる件数自体は増えます。また、トレーナーもどきの人材も増えるので質は必ず低下します。つまり事故の発生率も10年前と比べてここ数年で上がっている可能性もあります。

パーソナルトレーナーは無資格でもなれてしまうのは事実です。したがって、筋肉コンテストで入賞したからトレーナーを始めますとか、身体を動かすのが好きでトレーナーをやりたいからパーソナルジムに入社して社内研修を受けてトレーナーになりましたとか、こういったケースで「気軽に」トレーナーになる人が多くなってしまったのがここ6~7年の動きです。(正確にはこの人たちはトレーナーではなくトレーニーです。)

しかし、トレーニング指導者になるには少なくとも2年制専門学校か体育大学などで人体とトレーニング科学の基礎を学び、ようやく見習いとしてスタートするのが普通です。専門教育を受けて卒業した人が皆一般向けのパーソナルトレーナーになるわけでもないので、ここ5年で増えたパーソナルジムに対して供給できる人材は圧倒的に足りていないのは想像できます。

しかし、ハコだけ増えたパーソナルジムも人材は必要なので、社内研修をすればいいかという事で上記のような「気軽に始めたトレーナーもどき」の人たちが増える事になります。

パーソナルジムが増えたので、価格競争が起きて安いパーソナルジムも増えているのが最近の流れです。

パーソナルジムの見分け方

ユーザーもパーソナルジムやトレーナーを見極めなければなりません。が、実際のところユーザーは運動科学を知らないのが普通なので難しいです。目の前に現れたトレーナーが言ってることは正しいと捉えます。なので、簡単な見分け方を知ってください。それは、安いパーソナルジムを選択肢から排除する事です。

結論からいうと、60分8,000円を切るパーソナルジムはやめたほうがいい。です。

最近、安いパーソナルジムが増えました。街中では1セッション2,980円という看板も見かける事があります。とても危険な流れだなと思います。

コナミやティップネスなど一般的なフィットネスクラブでパーソナルトレーニングを受ける場合、60分6,000円+税がスタンダードな料金です。これにクラブ自体の月会費約1万円が加わります。ここで毎週パーソナルトレーニングを受けた場合、6,000円×4回+月会費1万円=34,000円が1ヶ月の出費です。1回あたり8,500円となります。

なので60分8,000円が一つの目安となります。これにその土地での価格が加味される感じです。東京23区と郊外では家賃がだいぶ違いますので。

安かろう悪かろう

工場で大量生産出来るモノなら安くする提供することは可能です。この場合、働いているのはロボットなので。また、店舗も在庫を抱えるのは良くないので、早く商品を捌くためディスカウントして販売したりもします。

しかし、サービス業が安売りするのは悪手です。良いサービスを提供するには人材の質が大事なので教育にお金がかかります。人体やトレーニング科学に関する書籍は専門書なので1冊5000円とか1万円とか普通です。医学系雑誌(論文とかが載っているもの)も毎月発行で1冊3000円します。私はこれを毎月複数冊買います。良い情報を手に入れるにはお金がかかるものです。

こういった教育を受けた人が付きっきりでサポートするので当然それなりの人件費がかかります。

またサービス提供者も人間ですから、十分な対価を頂くことはモチベーションにも繋がります。海外で遊ぶ時、スタッフにチップを渡すとサービスが良くなったり、渡さないと雑に扱われたりしますよね。あれと同じです。

安いジムというのはこれら全てのプロセスをすっ飛ばしているわけです。そういう所で働いていて「勉強してます!」と言っているトレーナーは、情報元がネット記事やTwitter・インスタグラムなどのSNSだったり、要はタダで手に入る情報のケースがほとんどです。どの文献から情報を得ているか提示できないと思います。単価が安いので給料も安く勉強代に充てれない。

単価が安いと稼ぐには回転数を上げるしかありません。月に沢山のセッションをこなすため、お客様ひとりひとりと向き合う時間は限られます。セッションに追われて情報を仕入れる時間もありません。

最後に

このようにして悪循環が生まれており、これが冒頭のニュースに繋がっているのではないかと思われます。

一旦、値段しかアピールすることが無いジム、スタッフのコンテスト歴を打ち出しているジムは淘汰されるべきです。真面目に努力し続けているトレーナーたちに失礼ですし、お客様にも迷惑がかかります。

トレーナーの仕事は人の健康を支える、難しいが非常に興味深くやりがいのある仕事です。私は誇りを持っています。実際に、お客様の肩こり腰痛が治った、手術した膝や股関節の痛みや可動域が改善した、糖尿病や高血圧が改善した、など嬉しい事が多いです。

人の役に立つ信念と矜持、継続的に学び改善する意識、これらの情熱が無いただトレーニングを教えたいだけの人はトレーナーを名乗る事、サービスする事を止めてほしいです。

私はそうならないよう常により良いサービスを目指して学び続けたいと思います。


主な情報仕入れ先

活動など

  1. 10月21日に胃癌術後の方を対象にセミナーを行いました!
  2. 国際医療福祉大学にて症例報告をしてきました。
  3. 「胃を切った人の情報誌 ALPHA CLUB」での連載がスタートしました
  4. JAXA 筑波宇宙センター見学 感じた事 ~筋肉って大事~

ブログ目次

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