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  • 2023.05.26

身体活動とインフルエンザおよび肺炎による死亡率

WHOと米国保健福祉省のガイドラインでは、成人が実質的な健康効果を得るために、中強度の有酸素性身体活動を少なくとも150分/週、または強度の有酸素性身体活動を少なくとも75分/週、または同等の組み合わせで、さらに中強度以上の筋力強化活動(MSA)を少なくとも週2回実施することが推奨されています。これら運動の利点には、認知症、心血管疾患、および一部のがんの予防、身体機能と精神的健康の改善、および寿命を延ばすことに繋がります。

また、定期的な身体活動は、感染症による感染や死亡を防ぐ可能性があります。Zhaoらは、有酸素運動と筋力強化のガイドラインを満たす米国の成人は、どちらのガイドラインも満たさない人に比べて、インフルエンザおよび肺炎の死亡率の危険性が54%低いことを報告しました。

今回は、より大規模な集団、追跡調査期間の延長、ワクチン接種の有無、有酸素運動と筋トレのより詳細な分類により、身体活動の種類と量とインフルエンザおよび肺炎の死亡リスクとの関連性を明らかにすることを目的とした研究を紹介します。

結論からいうと、インフルエンザおよび肺炎の死亡リスクは、有酸素運動は週1回でも実施すればリスクは低下、筋トレは週2回が最もリスク低下、週7回以上だとリスクが上がる、となりました。

目的:余暇の身体活動とインフルエンザおよび肺炎による死亡率との関連性を検討すること。

方法:1998年から2018年にかけてNational Health Interview Surveyに参加した米国成人(18歳以上)の全国代表サンプルを、2019年まで死亡率について追跡調査した。参加者は、中強度相当の有酸素性身体活動≧150分/週、筋力強化活動≧2セッション/週を報告した場合、両方の身体活動ガイドラインを満たしていると分類された。また、参加者は、自己申告の有酸素運動と筋力強化活動の量に基づく5つのカテゴリーに分類された。インフルエンザおよび肺炎による死亡率は、National Death Indexに記録された国際疾病分類第10版コードJ09-J18の死因を持つものと定義した。死亡リスクは、社会人口統計学的およびライフスタイル要因、健康状態、インフルエンザおよび肺炎球菌のワクチン接種状況を調整したCox比例ハザードを用いて評価した。データは2022年に分析された。

結果:中央値9.23年間追跡調査した577,909人の参加者のうち、1,516人のインフルエンザおよび肺炎による死亡が記録された。どちらのガイドラインも満たしていない参加者と比較して、両方のガイドラインを満たしている参加者は、インフルエンザおよび肺炎による死亡の調整済みリスクが48%低かった。有酸素運動なしと比較して、10~149分、150~300分、301~600分、600分以上/週が低リスクと関連した(21%、41%、50%、41%)。筋力強化活動2回/週未満と比較すると、2回/週は47%のリスク低下、7回/週以上は41%のリスク上昇と関連した。

結論:推奨レベル以下の有酸素性身体活動は、インフルエンザおよび肺炎の死亡率の低下と関連する可能性がある一方、筋力強化活動はJ字型の関係を示している。

まとめ

  • 米国の成人において、余暇の有酸素性身体活動は、推奨レベル以下の量であっても、インフルエンザおよび肺炎の死亡リスクの有意な低下と関連していた。
  • 2回/週の筋力強化活動は、インフルエンザおよび肺炎死亡の低リスクと関連し、7回/週以上は高リスクと関連した。

有酸素運動は時間がある時に週1回でも実施しておくとインフルエンザと肺炎のリスクを下げる事が出来ます。運動する時間の確保がなかなか難しいという方は、通勤時に少し早歩きを意識したり、エレベーター・エスカレーターでなく階段を利用するだけでも心拍数は上がるのでおススメです。

筋トレは週2回やれば十分なようです。あまりいないと思いますが、週7回以上行っている方は逆にリスクが上がるので体調管理に十分気を付けて生活すると良いでしょう。


参考文献

Leisure-time physical activity and mortality from influenza and pneumonia: a cohort study of 577 909 US adults

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