女子サッカーにおける傷害発生率
その年の“世界最高のフットボーラー”に贈られる、バロンドールの授賞式が現地10月17日にパリで開催されました。
男子はレアル・マドリーに所属するフランス代表FWカリム・ベンゼマが34歳にして初受賞を果たしました。
女子はバルセロナのアレクシア・プテジャスが、2年連続となる女子バロンドールを受賞しました。
世界で3億人くらいのプレイ人口を誇るサッカーですが、スポーツですから怪我はつきものです。特に女子は男子に比べ傷害発生が多くなる傾向にあります。
今回は、女子サッカー選手における傷害発生率を見ていきたいと思います。
目的:18歳以上、女子サッカー(アマチュアクラブ、エリートクラブ、国際試合)における全体、試合、トレーニングの傷害発生率(IIR)を確立するために、文献をレビューする。
デザイン:女子サッカーにおける全体、試合、トレーニングのIIRを、傷害の部位、種類、重症度で層別化し、系統的レビューとメタ分析を行った。
データソース:PubMedによるMEDLINE,OvidによるEMBASE,EBSCOによるCINAHL,Web of Scienceを,最も古い記録から2021年7月まで検索した。
研究選択の適格基準:(1)シニア女子サッカーリーグ(アマチュアクラブまたはエリートクラブ)またはシニア女子サッカー国際大会に参加するサッカー選手(2)IIRを報告するか,このアウトカム指標を標準化方程式によって算出できる十分なデータを提供する研究(3)2021年7月以前にピアレビュー誌に掲載された全文記事,(4)前向き傷害監視研究,(5)単一チームに関する事例報告は適格ではない。
結果:アマチュアクラブ(n=2)、エリートクラブ(n=10)、インターナショナル(n=5)、17本の論文が包括基準を満たした。
全体として、試合とトレーニングのIIRは、シニア女子エリートクラブサッカーと国際サッカーの間で類似している。シニア女子エリートクラブサッカーと国際サッカーにおけるトレーニングIIRは、同等の試合IIRより約6~7倍低い。
女子エリートクラブサッカーにおける怪我の種類で層別した全体のIIRは、筋肉と腱で2.70/1000時間(95%CI 1.12~6.50)、関節と靭帯で2.62/1000時間(95%CI 1.26~5.46)、打撲で0.76/1000時間(95%CI 0.55~1.03)であった。
傷害の定義が異なるため、アマチュア・クラブ・サッカーのIIRを集計することは不可能であった。
結論:試合中に発生する下肢の傷害は、シニアの女子サッカーにおいてかなりの問題である。下肢の関節、靭帯、筋肉、腱の傷害の予防は、シニア女子のアマチュアクラブ、エリートクラブ、国際サッカーにおける傷害予防介入の中心的な焦点であるべきである。
このように、1000時間の練習及び試合で、合計6件程度の傷害が発生するようです。サッカーなので当然なのですが、特に下肢の傷害が多いです。女子は膝の靭帯に問題が起きるケースが多いと考えられます。
全米大学体育協会(NCAA)の16年間サッカー傷害発生率は、練習(1000回あたり9.6人)、試合(1000回あたり35.9人)で、15競技中、負傷率が最も高かったとされています。
サッカーは運動量が多いスポーツであり、ゲーム中は相手選手とのコンタクトも頻繁に発生します。疲労の蓄積やオーバーユースなどによる耐性の低下に、コンタクトによる“キッカケ”が重なると怪我が発生しやすくなると考えられます。
男女ともにですが(特に女子は)トレーニングによって強い身体作りと、構造的に負荷の少ない動き作り(身体の使い方)を学習する機会を設けて、怪我の発生を抑える取り組みが求められます。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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