ACSM発表 フィットネストレンド2025
つい先日、アメリカスポーツ医学会が、2025年のフィットネストレンドを発表しました。
これは、何千人もの研究者や実務家から収集されたデータ=研究論文や専門家のブログ記事などのビックデータを使用して、フィットネス業界の傾向が取りまとめられています。
来年はこれらのテーマでフィットネス業界が進歩していきますので、情報を先取りしておきましょう。
トップトレンドを10個、ランキング形式で10位から紹介していきます。
10位:ヘルス&ウェルネスコーチング
ヘルス&ウェルネスコーチングは、人々が健康と幸福を向上させるために必要なリソース(情報や手法)を、長続きする方法で培う手助けをします。
例えば、YouTubeチャンネルもそうですし、パーソナルトレーニングサービスもこれに該当します。
日本では、開始から1年後のフィットネス継続率は5%を切ります。
ヒトは本能レベルで運動をしないよう設計されています。運動はエネルギーを消費する行為=すなわち死に向かう行為だからです。
これから紹介するテクノロジーや人気の手法なども、フィットネス継続の工夫の一つにすぎず、結局は個人個人のモチベーションに依存されます。
そういうわけで、スケジュール帳に無理やり予約を入れてジムに来させてケツを叩いてくれるコーチや、
定期的に情報を発信して、皆さんの頭の中から”フィットネス参加”を風化させないコンテンツ(YouTubeやSNSインフルエンサー)が一定のトレンドを握ると考えられます。
このチャンネルも、皆さんにとって価値ある情報を提供できるように頑張りたいと思います。
9位:ファンクショナルトレーニング
このトレーニングには、日常生活の活動を反映したバランス、協調性、機能的な動き、持久力を向上させるための筋力トレーニングが含まれます。
例えば、階段を手すりを使わず登ったり、床からモノを持ち上げたり・頭上に挙げたり、立ったままズボンや靴下を履いたりなど、
生涯を通じて生活の質の向上をサポートする行動を確立するために重要です。
トレーニングで言えば、ユニラテラルトレーニングやケーブルマシン、レジスタンスバンドを使ったり、ウォーターバッグを使ったりなどがあります。
トレーニングにバリエーションを持たせてくれる点で優秀かなと思います。
8位:メンタルヘルスのための運動
メンタルヘルスは、2年連続でフィットネストレンドのトップにランクインしました。
フィットネスとは広い意味を含んでおり、単に体力、パワー、持久力をつけることではなく、精神の回復・保持を養うことも含まれています。
特に、パンデミックの影響で物理的に社会的繋がりが希薄になった結果、精神を病む人が続出しました。
そこで改めて、運動をしたり、フィットネスコミュニティに参加することが、多くの人のメンタルにポジティブな影響を与えるので、これが再注目されている感じです。
世界的にリモートワークから出社への流れに戻っている傾向にありますが、物理的に人と接することは案外メンタルの保持にも寄与しているのでしょう。
ヒトは社会性で発展してきた生物ですからね。
運動はうつ病の改善に薬と同等かそれ以上の改善効果があることがわかっています。
体の健康だけではなく、心の健康のためにも運動をしましょう。
7位:データ駆動型トレーニング技術
この技術は、運動刺激に対する生理学的反応をリアルタイムで理解するのに役立ちます。
例えば心拍数や、物体の挙上速度などです。
これはさまざまなフィットネスレベルが混在する環境でも、個別のコーチングと指導を可能にします。
プレイヤーは、トレーニングに関する即時のフィードバックを受けられた方が、よりやりがいを感じます。
心拍数が上がってきたから速度を落としましょうとか、疲労が見られないからもっとレベルを上げてみましょうなど、建設的なアドバイスを受けることができます。
具体的には、マシンに搭載されたAIが、負荷を自動で増やしたり減らしたりするものが出てきています。
都心部のジムではこういったサービスがちらほら出来ているので、あと3から5年程度で全国に広がってくるかもしれません。
6位:高強度インターバルトレーニング(HIIT)
HIITは2018年以来一貫してトップ10のトレンドとなっています。
その理由は、身体組成やさまざまな健康状態(例えば、心臓代謝性疾患や癌)のトレーニング手法としての有効性です。
HIITは、ほぼ最大限の超高強度運動を短時間(大抵20秒間)繰り返し、その後、短い休憩(大抵10秒間)を入れて、再度高強度運動…といった流れを何セットもこなす方法です。
もっともタイパが良く、もっともキツイ方法と言えます。
キツイのが好きだ!だから効果的な方法を教えてくれ!という人にとっては、最もおすすめの方法と言えるでしょう。
5位:伝統的な筋力トレーニング
やっぱりこれが間違いないんですよ。
伝統的な筋力トレーニングには、バーベル、ダンベル、マシン、ケトルベルなどの機器が組み込まれており、
体組成、筋力、血液パラメータなどを改善または維持するためのプログラムや動きのテクニックが重視されます。
世界の先進国で、健康のために少なくとも週2回の筋力トレーニングが推奨されています。
今後、どんなに最先端のフィットネス機器が登場しても、ただのバーベル・ダンベルはこれらを凌駕する根強い人気を持ち続けることでしょう。
何キロ持ち上げれたとか、何回反復できるようになったなど、シンプルで分かりやすい成長の指標があり、様々な基本種目が世界中で実施されているので、
バーベルやダンベルは筋トレ界の共通言語みたいなモノです。
アメリカのジム、ドイツのジム、シンガポールのジム、どこにいっても「お前ベンチプレス何キロ挙げれる?」これで友達になれます。
4位:減量に関して
これもずっと変わらないテーマです。
成人・子供ともに肥満率は世界的に増加傾向にあります。
運動の利点は体重に関係なくメリットしかありませんが、定期的な運動は、減量や体重の長期的な維持に必要です。
テクノロジーの発展により身体活動の機会は失われ続けており、カロリーの摂取は簡単な世の中です。
また、過剰な美?の追求により、減量薬や、痩せるための外科手術も人気です。
減量に関しての商品は、根拠のないものや金儲け主義なものがほとんどで、人々の欲望を利用した商売と言えます。
減量は、①正しい食事、②定期的な運動、③ゆっくりと適正体重へ、この3点セットに適うものだけで十分です。他はスルー。
今回はこれだけ覚えていただければOKです。
3位:高齢者向けフィットネスプログラム
高齢者の機能的フィットネスの向上と健康寿命の延長に、運動が大きな影響を与えることが強調されています。
世界的に少子高齢化が進んでおり、健康寿命の延伸は、労働力の確保や消費世代の拡張といった点で、経済のパイを広げることにつながります。
不健康のまま長生きするとなると、個人の幸福度や家族などの関係者にとっての幸福にどう影響するのか?
こういった点も考えさせられます。
高齢者特有のニーズに対応し、オーダーメイドのエクササイズにより筋力、柔軟性、バランス、心臓血管の健康を促進することは、
慢性疾患のリスクを減らし、認知機能を高め、自立心を高めるため、個人の生活の質だけではなく、社会的な医療費の抑制にもつながります。
ミクロ・マクロ両方の視点で国家運営の健全性に寄与すると言えますので、皆さんも生涯にわたって、いい感じの距離感でフィットネスに参加しましょう。
2位:モバイル運動アプリ
パンデミック以前は、フィットネスはしばしばジムに限定されたものと見なされていました。
アプリを使えば、休暇中や時間がないとき、器具の有無にかかわらず、より多くの環境でフィットネスにアクセスできるようになります。
アプリが個人のフィットネス効果にポジティブな影響があるのかは、最近研究が盛んになってきている分野です。
エクササイズプログラムを提供したり、さらにワークアウト中にカウントをしてくれるもの、
栄養を管理してくれたり、体組成を管理してくれたりするものなど様々です。
これらを何か一つでも活用して、フィットネス参加への意識を保持できるなら非常に価値があると思います。
ただ、肌感覚としては、ワークアウトや栄養管理系は数週間で辞めてしまう人が多いと感じます。
この辺は、アプリ開発側のテーマになっていると思いますので、今後の進化に期待しましょう。
1位:ウェアラブルテクノロジー
ウェアラブルテクノロジーは、2016年以降、上位をキープしています。
フィットネストラッカー、スマートウォッチ、GPS追跡デバイスなどからのリアルタイムの自己監視とフィードバックが可能です。
これらのデバイスは、身体活動や座りがちな行動、睡眠、ストレスなどの情報を得られます。
私も毎日、アップルウォッチから1時間おきに「立て!」と指示されたり、運動の記録をしてもらったりと活躍しています。
最新のアップルウォッチなら心臓のモニタリングもしてくれて、異常を検知して医学的な問題を見つけられたとの報告もよく聞きます。
中高年以上の人へは、健康管理のためにアップルウォッチを全力でお勧めします。
その他、血糖値を自動モニタリングして、自動で糖を供給してくれるデバイスも海外では開発されています。
5年後10年後は、糖尿病の管理もかなり簡単にできるようになっているでしょう。
モーションセンサーは、3次元的なパフォーマンスの解析が可能になり、こういう風に体を使えばもっと動きが良くなるよ、といったアドバイスも容易になります。
代表的なのは、室内ゴルフのスイング解析やシュミレーターでしょう。
主に上級者向けになると思いますが、モーションセンサー技術は将来フィットネス分野にも転用されるでしょう。
これらのビッグデータから得られた情報で、あなたはこういう傾向があるから、こういう病気などのリスクが大きいので、このように対策しましょう。
といった個別のフィードバックも可能で、しかもそれがAIによって可能になります。
まとめ
今回は息抜きとして、フィットネス雑誌のようなテーマで動画を作ってみました。2025年は、これらのテーマが注目されると考えられます。
以前と変わらないラインナップとも言えますが、各分野での進化が続いているので「なんだ一緒か」と考えず、定期的に情報を取って活用すると良いと思います。
関連
☆★☆★☆
パーソナルトレーナー 井上大輔
パーソナルジムIGF 日本橋駅徒歩1分
パーソナルトレーニングをご希望の方→カウンセリングはコチラ
IGFは日本橋で創業し6年の完全個室予約制のパーソナルジムです
お身体、運動、食事のお悩み、お気軽にご相談ください
主な情報仕入れ先
- PubMed/論文検索サイト
- NSCA/全米ストレングス&コンディショニング協会
- ACSM/アメリカスポーツ医学会
- BMJ sport medicine/ブリティッシュメディカルジャーナル
- Harvard Health Publishing/ハーバード・ヘルス・パブリッシング ほか