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  • 2022.08.21

ゴルフスイングのためのトレーニング-正しいスイングとは

2016 年、112 年ぶりにゴルフが再び真正のスポーツ種目として認められ、オリンピック競技大会に復帰しました。現在世界中で約6,000万人がプレーしているとされています。ゴルフのルールを規定するロイヤル・アンド・エンシェント協会によると、世界209カ国に約4万件のゴルフ専用施設があるそうです。(世界のゴルフ施設のほとんどは北米(51%)とヨーロッパ(23%)にあり、次いでアジア(16%)、オセアニア(5%))

日本においてのゴルフはバブル期に流行したもので、現在の50代以上の人達に安定した人気のあるスポーツという認識ですが、最近では『ゴルフ女子』というワードもSNSなどでよく見かけることから、改めて現代の若い人達にも人気が出てきたと感じます。団塊世代のゴルフ引退も始まっていると思われ、日本でのプレイ人口は減少傾向ですが、世界では大きく増加傾向にあるようです。

ゴルフは、プレーの楽しさに加えて、健康上の利点も認められており、実際、ゴルフの練習は心身の健康を向上させることが示されています。屋外で密にならず、少ない人数で実施できるアクテビティなので、コロナ禍もゴルフにとっては追い風になったと思います。

そんな、健康作りに向いているゴルフは、スイングの技術指導をしてくれる施設が沢山ありますが、フィジカルトレーニングを指導してくれる施設はあまりありません。あってもトップアスリート向けの施設です。しかし、一般の方も長くゴルフを続けるためには、そして出来れば年齢を重ねながらもスコアを維持・向上させてゴルフを楽しむためには、肉体面も鍛える事が必須だと言えます。

今回は、ゴルフのスイングを分析し、それに基づきどのようなトレーニングをしなければならないかを提案したいと思います。

フェーズ

まず、スイングのバイオメカニクスを分析するためには、ゴルフスイング動作のフェーズを定義する必要があります。すべての研究は、以下の4つのフェーズを定義することで合意しています。

  1. ボールと向き合い、静止し、動作の準備をしている時のアドレス
  2. クラブを持ち上げて戻る動作を開始するバックスイング
  3. クラブを前方に加速させ、ボールに当たるまで下降させるダウンスイング
  4. フォロースルーは、ボールがクラブに衝突した直後に始まり、その動きを止めること、つまり、クラブを減速させることを目的とする

いくつかの研究では、フェーズの持続時間、特に、パフォーマンスにとって最も重要なフェー ズと考えられている”ダウンスイング”に着目しています。

ゴルフスイングの動作は左右非対称的です。ゴルファーの左右差は以下のように定義されます。

  • リード側とは、ターゲットに最も近い側。右利きのゴルファーの場合、リードサイドは左側で、その逆も同様です。
  • 利き手側、ターゲットから最も遠い側、つまり、右利きのゴルファーの場合は右側を指します。

各関節の動き

  • プロとレクリエーションゴルファーを研究し、バックスイングのトップで約3°プロがより高い屈曲を測定した(25°対29°)。
  • 股関節の動きは左右非対称であることが示され、前側股関節の方が後側股関節よりも高い内・外旋可動域が観察された。前側股関節は、外旋、バックスイング、ダウンスイング時の内旋において、股関節の生理的可動域のほぼ全域を使用していた。
  • さらに、前側股関節の動きは体幹の動きと高い連動性があり、ボールインパクト時のクラブヘッドスピードと正の相関があることが明らかにされました。回転は前側股関節によって開始され、次に腰椎が続くことを示し、プロゴルファーの場合、腰椎と前側股関節の回転は等しく配分されていた。
  • 股関節の可動性の欠如は腰椎の高い使用と関連している。このことは、ゴルファーが股関節の可動性を欠いている場合に、腰痛の発生を抑制するための股関節ストレッチプログラムの効率性を説明することができる。
  • 体幹の軸回転の増加は、ボールインパクト時のクラブヘッドスピードの増加と相関が あることも実証されている。
  • 熟練したゴルファーは熟練していないゴルファーより早く体幹の回転を始めることを発見した。
  • プロゴルファーの場合、体幹と骨盤の最高スピードに相関があることを見出した。
  • 熟練したプレーヤーほどスイング中に肘を伸展させることができる。
  • 手首の屈曲角度は、ハイハンディキャップのレクリエーションゴルファーよりも、熟練したアマチュアゴルファーやプロゴルファーで高いことが示された。
  • 手首は運動連鎖の終点にあるため、その動きはインパクト直前の速度生成を増幅する。

ここまで、ゴルフスイングのフェーズと関節の動きを確認しました。これを参考にしながらトレーニングを考えていきます。とりわけ、股関節のパワーと体幹部が重要になりそうです。

ゴルフのフィジカルトレーニング

クラブヘッドスピード(CHS)と打撃距離に対する非特異的、特異的、および複合的なトレーニング方法の有効性を検討した研究を参考に、推奨されるトレーニングを挙げてみたいと思います。なお、CHSと打撃距離は、トレーニングの種類に関係なく、ほぼ改善されることが明らかになりました。

非特異的(伝統的ウェイト)トレーニング

いくつかの研究では、以下の多関節フリーウェイトエクササイズを行った後に、CHSまたは打撃距離が大きくなったと報告しており、スポーツパフォーマンス向上の手段としての非特異的トレーニングが支持されています。

  • スクワット
  • デッドリフト
  • ベンチプレス
  • ウェイトリフティングの派生種目など

ゴルフスイングは閉鎖的な多関節運動であるため、打撃パフォーマンスへの移行を最大化するためには、レジスタンストレーニングに上記の運動を取り入れる必要があります。

  • ベンチプレス
  • ラットプルダウン
  • ルーマニアンデッドリフトなどの伝統的なエクササイズ
  • プーリーマシンを使ったゴルフスイングの組み合わせ

これは、47歳以上のレクリエーションゴルファーにとってCHSの最大の改善につながっています。

これらの種目は股関節の基礎筋力向上、パワーの向上、体幹部の安定性に関与する筋肉の動員が達成されるので、スイング時の各関節の動きに見られた動作を促進すると考えられます。

ゴルフ特有のパフォーマンスを向上させることを目的としたトレーニングプログラムでは、2~25回までの1~6セットを使用しています。これらのセットと回数のスキームは、パワー、最大筋力、筋肥大、筋持久への適応に合わせて調整されます。

非特異的筋力トレーニングでは、12レップ未満の1~4セットを使用することがCHSの平均的な結果を最もよく示しました。

比較的低い反復回数を使用することで、より高い強度を使用し維持することができ、これにより筋力とパワーをより向上させることができます。

回数の多いセットはスイング技術を向上させ、低い反復幅のセットはアスリートの基礎能力を向上させる可能性があります。

最も効果的なトレーニング期間は8週間であり、CHSの増加率は2.0~16.0%、打球距離は1.9~10.9%の間で改善したようです。

まとめ

強度設定

  • 1セットあたり1~6回の反復を行うニューロン方式(例:85~100%1RM)
  • 1セットあたり8~12回の反復範囲を持つ肥大方式(例:60~80%1RM)
  • 5~15回
  • 3~4セット

以上の範囲で強度設定をすることが、CHSと打球距離の向上に最も効果があるため、推奨されています。筋持久力トレーニングは、ゴルフのパフォーマンスに転嫁されないようです。

トレーニング種目

  • スクワット
  • デッドリフト
  • ベンチプレス
  • ラットプルダウン
  • ルーマニアンデッドリフトなどの伝統的なエクササイズ
  • ウェイトリフティングの派生種目など
  • 専門的トレーニング:プーリーマシン、メディスンボール、弾性チューブを使ったゴルフスイングの組み合わせ

上記の強度とトレーニング種目を混合させることが最もCHS(フェーズの3,4/ダウンスイング)を向上させます。

わずか8週間で打撃パフォーマンスを向上させる可能性があります。また、ゴルフのシーズンは長いため、一般的なトレーニングと専門的トレーニングを互いに積み重ねながら、長期のトレーニングを行う事が推奨されます。例↓

  • 1月:筋肥大(10RM、10回4セット)
  • 2月:筋力(5RM、5回4セット)
  • 3月:パワー(3RM、3回4セット)
  • 4月:パワー(2RM、2回3セット)、専門的トレーニング
  • 5月:筋力(5RM、5回4セット)、専門的トレーニング
  • 6月:パワー(3RM、3回4セット)、専門的トレーニング
  • 7月:前半/休養–後半/筋肥大(6RM、6回3セット)、専門的トレーニング
  • 8月:パワー(2RM、2回3セット)、専門的トレーニング
  • 9月:筋力(4RM、4回4セット)、専門的トレーニング
  • 10月:パワー(3RM、3回4セット)、専門的トレーニング
  • 11月:パワー(3RM、3回3セット)、専門的トレーニング
  • 12月:前半/休養–後半/筋肥大(12RM,12回3セット)

あくまでも1例です。試合のスケジュールによって変動しますし、プレイヤーのレベルや課題によっても変わるので、正解はありません。意図を持ってプログラムを構築することが重要です。

私は一般人を対象としたパーソナルトレーナーなので、プロを指導することはありません。しかし、パーソナルジムにいらっしゃるクライアントは、一般的なフィットネスクラブよりもゴルフを嗜んでいる率が高いです。

クライアントの健康状態を向上させつつ、その先のゴルフライフも長期でサポートできたら嬉しいです。


参考文献

Golf Swing Biomechanics: A Systematic Review and Methodological Recommendations for Kinematics

Effects of Resistance Training Methods on Golf Clubhead Speed and Hitting Distance: A Systematic Review

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パーソナルトレーナー 井上大輔

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