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  • 2022.09.09

変形性膝関節症に対する運動の効果とメカニズム


変形性膝関節症は、女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。主な症状は膝の痛みと水がたまることです。

初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、中期では正座や階段の昇降が困難となり、末期になると安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。

原因は、関節軟骨の老化によることが多く、肥満や遺伝も関与しています。加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、遣い過ぎによりすり減り、関節が変形します。

予防法としては、運動で下肢の筋力を鍛えたり、減量をして膝への荷重を減らす事が挙げられます。一方で、いま変形性膝関節症に悩んでいる方が運動をするとどうなるのか?気になる人も多いと思います。

今回は、変形性膝関節症に対する運動の効果を調べたので、紹介したいと思います。

変形性膝関節症に対するトレーニングの効果とメカニズムについて

変形性膝関節症の進行には、機械的負荷、炎症、代謝因子、ホルモンの変化、加齢が重要な役割を果たします。

変形性膝関節症の主な治療法としては、薬物療法、理学療法、手術療法があります。しかし、薬物療法は副作用が多く、手術は末期の変形性膝関節症の患者さんにしか適応がありません。

運動療法は、補完的・補助的な理学療法として、軟骨の変性を防ぎ、炎症を抑制し、軟骨下骨と骨幹の損失を防ぐことができます。

変形性膝関節症患者において、運動が痛み、こわばり、関節機能障害、筋力低下を改善することを示す証拠が増えつつあります。

変形性膝関節症の治療には、有酸素運動、筋力トレーニング、神経筋運動、バランストレーニング、プロプリオセプショントレーニング、水中運動、従来の運動など、いくつかのトレーニングの選択肢があります。

変形性膝関節症に対する治療効果として、様々な運動介入の中でも、痛みを緩和し身体機能を向上させる有酸素運動が最も広く用いられています。

  • 筋力トレーニングは、筋力低下に対して最も効果的な運動療法。
  • 神経筋運動とバランストレーニングは、プロプリオセプション、感覚運動制御、機能的安定性を改善するための最良の運動訓練法。
  • 水中運動は他の運動トレーニングに比べて副作用が少ないです。

患者の安全性を確保することを前提に、変形性膝関節症の異なるステージの患者に対して、より個別的な運動処方を提供する必要があります。

現在のところ、変形性膝関節症の治療のためのトレーニングのメカニズムは十分に解明されていません。効率的な治療の原理を証明し、ヒトでの治療のための運動療法の開発を促進するために、より多くの実験が早急に必要です。

変形性膝関節症に対する運動の効果。システマティックレビュー

方法:各データベースで、2010年から2020年5月までの英語、フランス語、ポルトガル語の研究に限定して系統的な検索を行った。適格な研究は,変形性膝関節症の成人参加者における運動プログラムからなる介入を無介入と比較した無作為化対照試験または臨床対照試験であった。

結果:

  • 合計4499件の研究が検索され、19件の論文が包括基準を満たした。
  • 運動の有益な効果は、痛みと筋力に対して見出された。
  • 機能、機能的パフォーマンス、QOLに関しては、エビデンスは賛否両論であった。
  • 筋力トレーニングと有酸素運動は共にプラスの効果を示した。
  • 水中と陸上でのプログラムは共に、痛み、身体機能、QOLの改善を示した。
  • ストレッチ、プライオメトリック、プロプリオセプションのトレーニングについては、具体的な結論は出ていない。

結論:変形性膝関節症患者における運動プログラムは、主に痛みと筋力の改善に関して、安全かつ効果的であると思われる。ピラティス、有酸素運動、強化運動プログラムを8~12週間、週に3~5回、1回1時間のセッションで実施することが効果的であると思われる。水中と陸上のどちらのプログラムも、同等のポジティブな効果を示している。

まとめ

変形性膝関節症に対するトレーニングの効果メカニズムははっきりとはわかっていません。おそらく、腱の構造の改善や、軟骨の変性進行の抑制、炎症の抑制など様々な要因が重なって、変形性膝関節症の症状進行が抑えられると考えられています。また、筋力低下が起こる為、トレーニングを通じて低下した筋力の改善は図れます。さらに、運動によって体重がコントロールしやすくなる事で、膝への物理的な負担を軽減する事が可能です。

こうしたことから、変形性膝関節症における運動は痛みと筋力の改善に効果的と考えられています。筋トレや有酸素運動、水中運動などは安全に実施する事が可能です。

もちろん、変形性膝関節症以外(例えば、メタボリックシンドローム、心血管疾患など)の予防と改善に運動が効くので、定期的な有酸素運動や筋力トレーニングはやっておいて損は無いと言えるでしょう。


参考文献

日本整形外科学会 変形性膝関節症

Benefits and Mechanisms of Exercise Training for Knee Osteoarthritis

Effects of exercise on knee osteoarthritis: A systematic review

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