筋肉と体力が少ない高齢者に対する筋トレの効果
サルコペニアは、骨格筋量の進行性かつ全身的な減少に加え、筋力とパフォーマンスの低下を特徴とする加齢に伴う症候群です。簡単に言うと、『筋肉量が少なく、体力レベルの低い状態』です。
欧州老年医学会などの研究グループ(EWGSOP)によると、50歳以上の高齢者におけるサルコペニアの有病率は、地域住民で1~29%、長期介護環境で14~33%、急性介護環境で10%と報告されています。高齢者人口の増加に伴い、世界的にサルコペニアに対する関心が高まっています。
世界各国のBMIから見て取れるように、痩せ型の人が多い日本においては、サルコペニアまたは予備軍に該当する人は意外と多いのではないかと思われます。
サルコペニアは、転倒や骨折などの有害事象のリスクを高め、認知障害、呼吸器障害、睡眠障害、生活の質の低下、早死、と関連しています。これは、サルコペニアに介入し改善がなされない場合、社会や家族に大きな経済的負担をもたらします。
サルコペニアは中高年の障害、罹患、死亡のリスクを予測する強力な指標であるため、その治療と予防は社会と臨床スタッフから高い関心を持たれる必要があります。
可能な介入のうち、身体トレーニングは、加齢に伴う筋肉量と筋力の低下を軽減する有望な方法の一つとして実証されています。様々な身体活動方法のうち、筋力トレーニングは高齢者の筋肉量と筋力を増加させるのに最も効果的です。
どのようにトレーニングすれば良いか
サルコペニアの高齢者集団にレジスタンストレーニングを処方することを望む臨床医や運動処方を行う者に対して、推奨される事項は以下の通りです。
- 筋力トレーニングは中高強度(>60%1RM)に保つべきである
- 高強度(>70~75%1RM)のレジスタンストレーニングは低強度のエクササイズよりも高齢者の筋力とパフォーマンスの向上に有効である。
- 3日/週のレジスタンストレーニングのプログラムを推奨。
- 各動作について8~12回の反復で2~3セット行う。
- 運動の様式は、ウエイトトレーニングや弾性バンドなど様々な器具から検討する。
- トレーニングの期間(週単位)は、筋力の向上には短い期間よりも長い期間の方が効果的である。
- 例えば、健康な高齢者において、Bordeらは、50~53週間の筋力トレーニングは、6~9週間の筋力トレーニングよりも筋力向上に効果的であることを観察した。
- 加齢に伴う筋力の低下を抑えることはできない。したがって、生涯を通じて、特に高齢になるにつれて、筋力トレーニングを実施することが重要である。
高齢者のサルコペニアの治療と管理における筋力トレーニングの重要性を確認しました。上記の推奨範囲での筋力トレーニングは、体脂肪量、筋力、筋パフォーマンスを改善することができます。
栄養も同時に考える
トレーニングの効果を最大化させるには、十分な栄養も摂取しなければなりません。
十分な栄養について、詳しくはこちらの記事(筋肉を増量させるには-栄養編-)をご覧ください。要約すると以下の通りです。
- タンパク質をよく食べる:魚・肉・卵・大豆など
- カロリーを十分とる
- 炭水化物も適宜とる
- サプリメントも検討する(筋肥大のためのアミノ酸)
まとめ
サルコペニアであると診断されていないだけで、筋肉量が少ない、体力レベルの低い高齢者は沢山いるように思います。(なぜなら街を歩けば、そのような人を稀にではなくある程度見かけるため)
高齢ではなくても50代で身体が細い人(例:BMIが19未満)や、階段を登ると疲労感を強く感じる人は、将来的なサルコペニアのリスクが高い方といえるため、今のうちから対策をしておいた方が良いでしょう。
筋力トレーニングは安全に実施できて、身体を確実に良い方向に変えてくれます。やり方が分からない、1人では不安だという方はパーソナルトレーナーを頼るのも良いでしょう。
参考文献
関連
☆★☆★☆
パーソナルトレーナー 井上大輔
パーソナルジムIGF 日本橋駅徒歩1分
パーソナルトレーニングをご希望の方→カウンセリングはコチラ
IGFは日本橋で創業し6年の完全個室予約制のパーソナルジムです
お身体、運動、食事のお悩み、お気軽にご相談ください