腰痛患者における自宅での運動トレーニングの効果
一般的な腰痛(LBP)は公衆衛生上の主要な問題です。
運動療法は、第一選択治療として推奨されています。しかし、公的医療制度では、運動療法を行える施設が不足しています。
自宅が最も利用しやすい環境であることを考慮すると、自宅での運動は、腰痛の管理において特に注目されるかもしれません。
運動施設では、有酸素運動やレジスタンス運動、ピラティス、スタビライゼーション/運動制御などの様々なトレーニングセッションによって、腰痛のリスク軽減が達成されることを示唆するメタアナリシスもあります。
しかし、腰痛における自宅での運動については、データが乏しいです。年齢、性別、教育などの個人の特性も、在宅運動プログラムへの反応に影響を及ぼす可能性があります。
これらを踏まえ、腰痛の疼痛強度と機能制限に対する在宅エクササイズの効果を評価するために、系統的レビューとメタ解析を行った研究を紹介します。
結論からいうと、腰痛は自宅での運動で改善できる可能性が高いため、腰痛に悩んでいる方は自宅でのトレーニングに取り組んだ方が良いと言えます。(特にコーチを付けると最も効果が高いようです)
背景:非特異的腰痛(LBP)の治療には運動療法が推奨される。在宅エクササイズは、エクササイズセンターの不足を緩和する有望な方法である。本稿では、LBPの疼痛および機能制限に対する在宅エクササイズの効果について、系統的レビューおよびメタ解析を行った。
方法:PubMed、Cochrane、Embase、ScienceDirectを2021年4月20日まで検索した。選択するためには、自宅での運動前と運動後、またはセンターと自宅の両方での運動後の患者の痛みと機能制限を報告する研究が必要であった。ランダム効果メタ分析とメタ回帰を行った。
結果:33の研究と9588人の患者を対象とした。その結果、疼痛強度は、自宅のみでの運動群および自宅と別の場所の両方で運動を実施した群で減少した。同様に、機能制限も両群で減少した。リラクゼーションと姿勢運動は疼痛強度の減少には効果がないようであったが、体幹、骨盤、脚のストレッチは疼痛強度を減少させた。ヨガは機能制限を改善した。監督下のトレーニングは、疼痛強度を改善する最も効果的な方法であった。データが不十分であったため、セッションの期間や頻度、プログラムに関する確実な結論は得られなかった。
結論:在宅エクササイズは、LBPの疼痛強度と機能制限パラメータを改善した。
まとめ
- 本研究の主な結果は、自宅での運動トレーニングは、運動の様式にかかわらず、腰痛患者の疼痛強度と機能制限を改善するというものでした。
- トレーニングの期間や頻度の影響とは無関係に、監督されたトレーニングと標準化されたトレーニングが疼痛強度を最も改善しました。
- トレーニングは、女性や肥満度の高い患者にはあまり有益ではありませんでした。
監督下でのトレーニングが最も改善効果があるのは「遵守率」の問題です。トレーニングを継続するという事がいかに大事かが分かります。
肥満で腰痛の方は、まずは減量するところからスタートがよさそうです。
女性はあまり有益ではなかったとありますが、運動に効果がないのではなく、仕事に加えて家事などがあったため、遵守率が悪かったのが原因のようです。トレーニングを継続出来た人は腰痛は改善しているようです。
腰痛は自宅での運動で改善できる可能性が高いため、腰痛に悩んでいる方は自宅でのトレーニングに取り組んだ方が良いと言えます。
参考文献
関連
☆★☆★☆
パーソナルトレーナー 井上大輔
パーソナルジムIGF 日本橋駅徒歩1分
パーソナルトレーニングをご希望の方→カウンセリングはコチラ
IGFは日本橋で創業し6年の完全個室予約制のパーソナルジムです
お身体、運動、食事のお悩み、お気軽にご相談ください
主な情報仕入れ先
- PubMed/論文検索サイト
- NSCA/全米ストレングス&コンディショニング協会
- ACSM/アメリカスポーツ医学会
- BMJ sport medicine/ブリティッシュメディカルジャーナル
- Harvard Health Publishing/ハーバード・ヘルス・パブリッシング