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  • 2022.09.06

血圧の最適値はどこなのか?


ここ数年の臨床における標準的な血圧目標は、一般的な高血圧患者に対して140/90mmHg未満とされてきました。

しかし、近年発表された新しい試験では、より低い血圧の目標値を達成しようとする考え方が再び導入されています。

一方で、昔は180/100mmHg以上が高血圧とされていたこと、一定期間を経るごとに基準が下げられていることから、さらに低い目標を立て続けるのは製薬会社の思惑なのではないか?と言った意見も見られます。

したがって、標準目標値よりも低い目標値を達成しようとする場合、その利益が害を上回るのかどうかを知ることは重要です。今回はこの点について調べてみました。

目的

第一の目的は、慢性動脈性高血圧患者の治療において、標準血圧目標値(140/90mmHg以下)と比較して、より低い血圧目標値(135/85mmHg以下)が死亡率および疾病率の低下と関連するかどうかを明らかにすること。

副次的な目的は、慢性動脈性高血圧患者において、「標準目標値」と比較して「低目標値」での平均達成収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)に変化があるかどうか、また、血圧上昇のある患者において、「標準目標値」と比較して「低目標値」で有害事象による離脱率に変化があるかどうかを明らかにすることであった。

データ収集と解析

2名のレビュー著者(JAA、VL)が、含まれる試験を独立して評価し、データを抽出した。

主要アウトカムは総死亡、総重症有害事象、心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全、末期腎不全、その他の重症有害事象とした。

副次的アウトカムは,達成された平均SBPとDBP,副作用による離脱,使用した平均降圧剤数であった。

主な結果

今回の更新では、38,688人が参加し、平均追跡期間が3.7年の11件のRCTが含まれる。

ベースライン時の加重平均年齢は63.1歳,加重平均血圧は155/91mmHgであった。

低い目標値は総死亡率を減らさなかった。また、総重症有害事象を減らさなかった。これは、標準的な血圧目標値と比較して、低い目標値の有益性が有害性を上回らないことを意味する。(つまり、あまりメリットが無いのかもしれない)

低い目標値は、心筋梗塞およびうっ血性心不全を低減する場合がある

心筋梗塞とうっ血性心不全の減少は,重篤な有害事象の総数には反映されていない。これは、その他の重篤な有害事象が増加したためと考えられる。

低い目標値に割り当てられた参加者は、降圧薬を1つ追加で受け取り、「標準目標値」に割り当てられた参加者に比べて、平均SBPが有意に低く(122.8mmHg vs 135.0mmHg)、平均DBPが低く(82.0mmHg vs 85.2mmHg)、達成された。

結論

血圧が高い一般的な人々にとって、標準目標(140/90mmHg以下)ではなく、より低い血圧目標を達成しようとすることの利益は、その介入に伴う害を上回らない。(つまり、メリットがさほどない。)患者群によっては、より低い目標値によって利益を得るか、害を受けるかを確認するために、さらなる研究が必要である。このレビューの結果は、主に中等度から高度の心血管系リスクを有する高齢者に適用されるものである。他の集団には適用できないかもしれない。

リスクとリターンを考えた時、さらに低い血圧目標を掲げることにポジティブな要素がそこまで無さそうで、単にお薬の量が増えるだけのようです。現段階では、標準目標(140/90mmHg以下)を目標にしている方が良さそうです。

血圧は年齢とともに上昇するのが普通です。しかし、世界的にみても日本人は食塩摂取量が多いため、血圧は上がりやすいといえば上がりやすいでしょう。

一方で、高齢化がダントツ世界一の日本にしては高血圧者の割合は少なく、上手くコントロールできているとも言えますし、健康寿命も長いので、果たしてこれ以上の介入が必要なのか?とも思えます。こうしてみると、日本の医療技術はめちゃくちゃ高いのだなと感じます。さらに付け加えると、“マイルドに西洋文化の食事を取り入れた日本食”は健康への恩恵が世界トップレベルで優れていると言えるでしょう。

長寿になった日本人(超高齢社会)にとって必要なものは、自立した生活・仕事・趣味を長く続けるための力(=体力・筋力)を獲得するためのエクササイズなのかもしれませんね。


参考文献

Blood pressure targets in adults with hypertension

高血圧Q&A

塩分摂取量の国際比較

世界・成人の高血圧の割合ランキング

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