高齢者も有酸素運動より筋トレを優先すべき理由
心肺機能と筋肉量の低下は、いずれも加齢に伴うものであり、これらの低下はそれぞれ健康状態の悪化と関連しています。筋力トレーニングは、高齢者において筋肉量と機能を改善することは、以前から知られています。しかし、一般的に勧められている運動様式は有酸素運動です。
若年層における筋力トレーニングは心肺機能も改善することがわかっていますが、高齢者も同様に心肺機能が改善するなら高齢者集団の健康寿命もさらに延ばせる可能性があります。
有酸素運動よりも筋力トレーニングの方がトータルの恩恵が大きいなら、特に時間的制約(運動に割ける時間が少ないほど忙しい/運動をできるだけ効率よくして他の楽しみなどに時間を使いたい)がある人にとっては、優先すべき運動の選択が変わります。
健康な高齢者の筋力トレーニングが心肺機能に影響を与えるのかを調べた研究をみてみましょう。
方法:この系統的レビューは、健康な高齢者の心肺機能を改善するための筋力トレーニングの役割を明らかにすることを目的とした。RET介入後の心肺機能パラメータ(VO2ピーク、有酸素性閾値(AT)、6分間歩行距離試験)の改善を確認するために適格論文のメタアナリシスを実施した。主な適格基準は、高齢者(60歳以上)、健康なコホート(疾患特異的コホートは除外)、筋力トレーニングの介入であった。
結果:37件の適格研究が同定された。メタ分析により、24週間未満の筋力トレーニング介入ではVO2ピーク、有酸素性閾値、6分間歩行距離試験に著しい改善があったことが明らかにされた。24週間を超える介入では、VO2ピークや6分間歩行距離試験に差はなかった。
この研究は、特に時間制限のある高齢者において、全身の健康を改善するための筋力トレーニングの実施を支持するエビデンスとなります。
特に近年では、60歳を超えても(例えば70歳まで)働く高齢者が増加していますし、今後もその傾向は止まらないでしょう。60歳で引退しても寿命を考えれば25年くらいは生きることになります。仕事をしなければ暇を持て余すことになります。思考がはっきりしているうちは体力の許す限り働くのが人生の充実という意味では良さそうです。例えば週4日労働とか、1日6時間労働など、体力に応じて働き方を変えるのも検討できますが、全ては体力があってこそです。
(60歳で引退して80歳くらいまで旅行できる資産がある、いくつかの趣味をこなしたり、仕事に行かなくてもいろんな人と会話ができるような環境がある人は働かなくても良いかもしれませんが、それでも趣味の実施には体力が必要です。)
忙しい中でも健康寿命を延ばしていくには、有酸素運動よりも筋力トレーニングの方が向いていると考えられます。研究にあるとおり、筋トレでも心肺機能が著しく改善するからです。
24週なので半年間は心肺機能が改善し、その後は徐々に伸びが鈍化するでしょう。しかし、開始半年で能力が著しく改善した後、それを維持すれば日常生活を送る上ではそんなに困らないはずです。スポーツの大会などで良いパフォーマンスを出したいなら有酸素運動も必要ですが、そのような人は稀です。多くの人にとって、心肺機能は伸ばし続ける必要性はあまり無いのです。
ここまでの話は、”そんなに運動に時間をかけたくない・かけれないけど、効果は最大化したい”という人向けです。なので、ウォーキングやジョギングが楽しいという人はぜひそのまま続けてください。筋トレと有酸素運動を両方取り組むのが最も効果は高いです。
というわけで、”筋力トレーニングは筋力も心肺機能も向上することが分かっています”ので、若年者も高齢者もまず優先すべきは週2回の筋力トレーニングといえます。体力や時間に余裕ができたら、筋トレを週3にしたり、有酸素運動を追加したり、外でのアクティビティに取り組むと健康に対する効果はさらに高まります。
全ての始まりは筋トレからです。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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