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  • 2020.08.20

パーソナルトレーニングの価値の在り処~トレーナーとお客様へのメッセージ


いつもは情報を伝えるような記事を中心に書いておりますが、今回の記事は少しテイストを変えてみたいと思います。

これは、世のパーソナルトレーナーに向けて書いているのと、これからパーソナルトレーナーを付けてみようか考えているお客様達に向けての選び方の参考になる記事となります。

ちょっと世の一部のトレーナーに対しては強めの口調となりましたが、あらかじめそれを伝えておきますので気分を害さないでくださいね☆(^_-)-☆ ※お客様には優しいです!

 

お客様がとくにパーソナルジムでトレーナーを雇う際の料金の考え方の参考になる記事は過去にも書いていますので、参考にして頂ければと思います。

パーソナルトレーニングは、しばしば高いといわれることがあります。

Googleの検索でも「パーソナルトレーニング 安い」とか「パーソナルトレーニング 通い放題」などのワードの組み合わせは検索量が多いようです。

安いに越したことは無いでしょうが、安い事を求めるようであれば、いっそトレーナーは付けない方が良いかもしれません。(安かろう悪かろう)とは昔からの言葉ですね。

また、現在のパーソナルトレーナーはブームに乗って大手に勤めていた人が開業するケース大変増えており、独自の付加価値を生むか、価格競争に持っていくかの選択を迫られます。5年10年20年スパンでの長期にわたる視点から言えば、より高い価値をお客様に提供し、感謝され世の中の健康増進・発展に貢献する方が良いでしょう。簡単に目先の囲い込みにフォーカスし料金と質を下げると痛い目をみます。

さて、ここに有名なたとえ話があります。


ある床屋の店主がシャンプー台が故障してしまったので修理業者を呼びました。

駆けつけた業者はシャンプー台を一通り点検すると、工具を取り出して緩んでいたネジを締めなおしました。するとシャンプー台は元通り使えるようになり、店主に100ドルの請求書を手渡しました。

「100ドルだって?ネジを締めただけなのに!」と、店主は声を荒げた。

そこで業者は請求書に明細を付けることにしました。

―ネジを締めた分が1ドル。どこのネジを締めるべきか知っている分が99ドル―


この物語は、価値とはモノ・サービスそのものだけの値段ではなく、【なぜそうなるかを知っている事】これが価値なのです。

この場合は、【どこのネジを締めるべきか知っている事】が提供されたのです。どこのネジを締めるかを知る為に一定期間の勉強や、いくつかの失敗を積んでいる事でしょう。

この考え方はパーソナルジム、パーソナルトレーナーについても当てはまります。

 

我々トレーナーが「各トレーニング種目のフォームをざっと教える、マシーンの使い方だけを教える」を行う場合、それは大変安いサービスとなるでしょう。

それこそ1時間3,000~4,000円程度の料金となるはずです。(うち、トレーナーの取り分が70%、施設の取り分が30%)

このケースでは、トレーナーというよりトレーニングが趣味の人(友達とか)から教えてもらう際の料金、と言った方が適切かもしれません。3,000円程度なら食事代とほぼ同じですから、おおよそ「食事をおごるからトレーニングを教えてよ」と友達に言うのと同等の価値でしょうか。

 

しかし、我々トレーナーはネジで言うところの、【どの関節をどの方向に動かせばどの筋肉に効くかを知っている】ので、3,000円では安いですし、さらに言えば【食事をどうすれば筋肉が付く、脂肪が落ちるを知っている】ので、3,000円では割に合わないと思うでしょう。

これは単に、食べなければ痩せるという事を知っているだけでなく、代謝がどのように行われているかの部分を知っていることに価値があります。どの方法が目の前のお客様にとって安全で効果的かを考慮できます。

また、【どのようにお客様に伝えれば気持ちよく(或いは気分を害さずに)、取り組んでもらえるだろうか】といったことや【どう表現すれば最短で理想的なフォームに導くことが出来るだろうか】などの言葉選び(これを”キューイングといいます”)も考えてコミュニケーションをとっていきます。

―出来るだけ複雑怪奇な表現を避け、シンプルに理解してもらう為にはどう伝えるか?―

その他、通いやすい環境・安全な環境を整えたりすることも考えているでしょう。

ベースの知識と経験、お客様それぞれの生活軸や性格を統合して、分かりやすく伝える事に大きな価値があります。


三流は、人の話を聞かない。
二流は、人の話を聞く。
一流は、人の話を聞いて実行する。 
超一流は、人の話を聞いて工夫する。

(羽生善治:棋士)


これからパーソナルトレーニングを考えるお客様にお伝えしたいのは、決して短期のアウトプットを評価しないで頂きたいという事です。

これを行うと、多くのパーソナルトレーニングジムがつけあがり、最終的にお客様に跳ね返ってくる事になるからです。不健康という形で。

つまり、2~3ヶ月で-8㎏!とか―12㎏!とかアピールしていて、あたかもそれがゴールのように表現しているジムです。(こういったジムのなんと多い事か)

CMでもよく見かけますね。全くもって良くない。

これは実績でも何でもなく、ただ簡単にお客様に過度なストレスをかけた結果の産物です。

このようなお客様は、大切な資産である筋肉が削ぎ落ち、リバウンドをしやすい状態になります。

食事に関しては、追い込む食事を叩きこまれるので、食に対してのストレスを感じるようになり、拒食症や過食症といった摂食障害を引き起こします。(現にパーソナルトレーニングジムを終了し、摂食障害のカウンセリングに駆け込む人も多くいます。)まだ公になっていないだけです。

これには何の価値もありません。トレーナーが指導の結果、お客様がそうなる可能性があるのを知らない事が問題なのです。知っていてやっていればそれは大問題ですが。

 

まとめ

お客様は健康的な範囲での取り組みが重要ですし、それを超える指導を望むお客様が居たら、説得して止めるのがトレーナーの仕事なのです。(なぜなら身体の事を知っているのだから)

基礎科学や研究の結果を吟味し、適切に処方された運動プログラムと食事指導は安定的に効果的な成果を生み出します。

人によっては3ヶ月で良いかもしれないし、6ヶ月や12ヶ月、もっと長期でかかるかもしれない。ですが、これを積み重ねる事で確実に健康的な身体を手に入れることが出来ます。もちろん、CMのような綺麗な身体も作る事が出来ます。そして人生はたった数ヶ月ではなく数十年と長いです。

お客様には中長期的な考えで取り組んでいただけますと幸いです。「筋肉とバーベルは裏切らない」とは有名な言葉です。

西川貴教さんのツイート(筋トレすればいいんですよ!筋トレすればドーパミンもエンドルフィンもノルアドレナリンも出ますし、「幸せホルモン」セロトニンと、テストステロンで精神的にも肉体的にも充実します!)

 

私含め世のトレーナー達(特にパーソナルトレーニングジムの)は是非研鑽を積んでいき、より多くの人を健康に導けるようになりたいものですね。ブームに乗って独立開業した人達、その覚悟が無ければ辞めた方がいい。真面目にやっているトレーナー達の将来の利益を損なうし、借金背負って店を畳む事になるだけです。

 

参考

ダイエットに成功するための方法やシミュレーションの記事を過去にも書いていますので、参考にしてみてください。適切な減量に対して、とくに精神面をサポートします。