効果的な運動をしている人の割合はどのくらいなのか?
最近、パーソナルジムや24時間ジムを沢山見かけるようになりました。特に24時間ジムは現在も次々とオープンしている印象です。
これだけフィットネス環境が提供されるという事は、それだけ需要があると考えられます。一方で個人的には「過剰に供給されすぎじゃね?」とも感じています。
さて、ここで疑問に思ったことは『一体どのくらいの人口がフィットネス活動に参加しているのでしょうか?』です。また、その中で十分な運動強度と量を確保して『効果のあるトレーニングを実施できているのはどのくらいいるのか?』が専門家としては気になる所です。
世界の調査と日本の調査を改めて確認してみたいと思います。なお、ここでのフィットネス活動は有酸素運動か筋力トレーニングの片方もしくは両方と定義します。
日本のフィットネス参加率は4.4%(パンデミック前)
2019年のフィットネス参加率は4.4%程度だったという調査があります。この当時の市場規模は4,939億円で2011年以降は右肩上がりで成長していました。
これは2020年にパンデミックが起こる前の数字ですので、現在は3%台くらいに落ち込んでいるのではないかと思われます。ジムに行かなくても外でランニングや登山など、運動の様式・場所が変わったためデータに反映されていない人も居るでしょう。
ワクチンも普及しており、特効薬が出来るのも時間の問題なので、少しずつ参加率が復調していく事を願っています。
効果のあるトレーニングを実施している割合
有酸素運動および筋力強化活動のガイドラインの遵守:31カ国、330万人の参加者を対象とした系統的レビューとメタ解析
概要
目的:5歳以上の集団における有酸素運動および筋力強化活動(MSA)に対するWHOガイドラインの世界的な普及率を推定し、可能な限り社会人口学的およびライフスタイルの要因に応じてこの普及率を調査すること。デザイン:システマティックレビューとメタアナリシス。
データソース:創刊から2022年9月までに発表された研究を5つのデータベースで系統的に検索した。
研究選択の適格基準:有酸素運動とMSAの両方のガイドラインを満たす有病率を報告した5歳以上の代表的なサンプルを持つ論文を対象とした。
結果:31か国、390001人からなる21件の研究を対象とした。
- 18歳以上の成人(n=3,337,603)における有酸素運動およびMSAガイドラインの全体的な遵守率は17.15%であった。
- 12~17歳の青年では、両ガイドラインの遵守率は19.45%(n=52 398)であった。
- 5-11歳の小児についてデータを報告した研究はなかった。
- 成人では、女性、高齢、低/中教育レベル、低体重または肥満、自己評価の低い健康状態、中程度の健康状態が、身体活動ガイドラインの遵守率の低さと関連していたが(p<0.001)、いずれの場合も、その普及率は非常に低いままであった。
- 小児および青年については、研究数が少ないため、サブグループ解析は行わなかった。
結論:青少年および成人の5人に1人だけが、推奨される有酸素運動とMSAを組み合わせたガイドラインを満たしていた。非伝染性疾患の関連負担を軽減するために、両方のタイプの運動を促進する大規模な公衆衛生介入が必要である。
以上のように、31か国の平均では20%弱程度の人が効果的な有酸素運動・筋力トレーニングを実施しているという事でした。逆に8割強の人はただジムに行っているだけ(何もしないよりはマシ)という感じでしょうか。
日本に当てはめてみると、人口1億2千万人でフィットネス参加率を4%と仮定して、480万人がフィットネス人口です。これの20%で96万人が効果的な運動が出来ていると言えます。
生活習慣病の人口
- 高血圧
高血圧の患者数は993万7000人です。年間医療費は1兆7907億円。厚生労働省が2019年に公表した国民生活基礎調査をみると、病院や診療所へ通院している人の通院理由上位に高血圧が入っています。
- 脂質異常症
脂質異常症の患者数は220万5000人です。
- 糖尿病
糖尿病の患者数は1000万人です。年間医療費は1兆2239億円。年間死亡者数は1万3900人となっています。糖尿病と診断されている人以外にも、「糖尿病が強く疑われる」人の数も年々増加傾向となっています。
- メタボリックシンドローム
2019年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」では、肥満の人は男性で33%、女性で22%となっていました。
まとめ
96万人程度が効果的な運動をしていると考えられますが、生活習慣病の患者数はその10倍以上います。
生活習慣病は運動を行う事で改善する可能性の高い病気です。
フィットネス業界としては参加率を更に引き上げる努力をしつつ、同時に十分効果のある運動の仕方をお客様にレクチャーしていく必要があると感じます。
国としては社会保障費が膨れ上がっており、現役世代の負担が重すぎる現状があるため、運動への参加を積極的に促し、予防改善できる病気を増やし医療費の抑制に繋げるべきです。生活習慣病の医療費を半分に出来れば、最近話題の防衛費増額に充当出来ます。
運動に参加する人はせっかく時間とお金を使っているので、効果を出したいと思っているはずです。トレーニングの強度と量・頻度に注目しながら実施する事をお勧めします。健康で体力があるなら長く働くことも出来るし、趣味を満喫する事も出来ます。
参考文献
Fitness Industry Association:FIA NEWS No321:現状から読み解く、フィットネス業界「7つの予想」
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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