必須アミノ酸サプリメントの活用

この記事は、会報誌『胃を切った人の情報誌 ALPHA CLUB』の459号（令和5年5月）に掲載されたものです。

タンパク質源となる肉や魚を十分量食べる事は、胃を切除した方にとっては難しいことかもしれません。この問題の対策になる「必須アミノ酸」の活用について解説します。

必須アミノ酸とは

タンパク質を構成しているアミノ酸は20種類、そのうち体内で作る事が出来ない9種類をまとめて必須アミノ酸と呼んでいます。

アミノ酸はタンパク質の最終形態です。肉や魚を食べてタンパク質を摂取すると胃や小腸で分解され、タンパク質→ペプチド→アミノ酸と形を変えていきます。ヒトの身体はタンパク質のままでは吸収できずペプチドやアミノ酸となりようやく体内に吸収されます。

胃を切った方はタンパク質分解が遅くなったり、分解しきれず排泄されたり、そもそも食べる量が少なくなってしまったりと、筋肉を維持増量させるのに十分なタンパク質（アミノ酸）の確保が難しくなっています。

こうした問題への対策として必須アミノ酸サプリメントの活用が考えられます。販売されている商品のパッケージには英語の頭文字をとってEAAと表記されているものが殆どです。

プロテインよりは少し値段が高いですが、タンパク質分解の手間が省けて、プロテインよりも胃に溜まる事が少なく食事量に栄養を与えにくいのでおすすめです。

飲むタイミングは、体内の栄養が枯渇している起床直後と運動直後がおすすめです。

1回に飲む量は15g程度がおすすめです。アミノ酸の一つであるロイシンが筋合成を促進し、これを2g摂取すると筋合成が効率的になると考えられています。市販のEAAを15g摂取するとロイシンが2g含有されていることがほとんどです。

1回15gの摂取がきつい場合は10gで良いので飲むようにしましょう。

食事からの糖質・脂質・タンパク質も身体づくりにとって重要なので、まずは十分な食事量（カロリー）を確保する事から始めましょう。目安として体重60㎏の人で肉・魚を合計で1日300g（1食100gずつ）食べれているなら十分です。これが難しい方はEAAの活用を検討すると良いでしょう。

参考文献