慢性腰痛における水中運動
水中(プールなど)での運動は、腰部への負担を減らしつつ身体を動かす事が可能です。これは腰痛に悩み、改善したいと思う人にとって有効な選択肢となります。
陸上でのトレーニングは腰痛改善に役立つことが知られていますが、やはりエクササイズ中は多少なりとも腰痛を我慢するシーンが出てきます(姿勢の入れ替え時など)。腰痛のレベルが高い人にとってはこの痛みさえ大きなストレスとなりますが、そういった場合に水中運動は特におすすめです。
今回は、水中運動が腰痛に効果的かどうかを調査した研究を紹介します。
結論からいうと、水中トレーニングにより、疼痛強度は安静群(マッサージなどのケア)と比較して減少し、陸上トレーニング群と比較しても同様の減少が認められました。
本研究は、非特異的慢性腰痛症(NSCLBP)患者に対する水中トレーニングの効果に関するエビデンス(すなわち、能動的な[陸上でのトレーニング]と非能動的な対照[通常のケアを受けるなど])を系統的にレビューし、統合することを目的とした。
Web of Science(WOS)、PubMed(MEDLINE)、EMBASE、EBSCO(SPORTDiscus;CINAHL)、PEDroを2021年10月まで、日付制限なしで検索した。
組み入れられた研究は以下の基準を満たした: (a)NSCLBP(12週以上)患者、(b)水中介入、(c)対照群(陸上訓練群;非活動群)、(d)疼痛、障害、QOL、柔軟性に関する転帰。
メタアナリシスで分析された主要アウトカムは疼痛強度であった。副次的アウトカムは、障害、肥満度、柔軟性であった。ランダム効果モデルを用い、効果量(ES)値は95%信頼区間(CI)とともに示した。
異質性の影響を評価し(I2統計量)、25%未満、25~75%、75%以上はそれぞれ低レベル、中レベル、高レベルを表す。αはp<0.05とした。
結論として、15の研究(n = 524)がメタ分析された。介入後、疼痛強度は非活動的対照群と比較して減少し、陸上訓練群と比較しても同様の減少が認められた。介入後、非活動群と比較して、より大きな障害の減少と、より大きな座位とリーチ(すなわち、柔軟性)の増加が認められた。
結論として、水中運動療法は、非活動群と比較して、NSCLBPの疼痛強度、障害を軽減し、柔軟性を増加させる。良好な効果は8週間以下で期待できる。しかし、方法論上の問題(異質性が高いなど)がいくつかあるため、ほとんどのアウトカムの改善については、対照治療と比較して介入を支持する弱い推奨以外のことはできない。
まとめ
腰痛のある人は、マッサージやストレッチなどのケアをするより、陸上や水中でのトレーニングをした方が改善する可能性が高いです。
効果は8週間以下で期待できるし、柔軟性や日々の生活行動範囲も広がります。
プールを使うのは手間がかかるので、まずは陸上での運動を検討・実施し、それでも運動中の腰痛が我慢できないレベルならプールの利用を検討すると良いでしょう。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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主な情報仕入れ先
- PubMed/論文検索サイト
- NSCA/全米ストレングス&コンディショニング協会
- ACSM/アメリカスポーツ医学会
- BMJ sport medicine/ブリティッシュメディカルジャーナル
- Harvard Health Publishing/ハーバード・ヘルス・パブリッシング