日常生活における運動パターンと虚弱体質発生率(フレイル)
フレイル(虚弱)とは、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。噛み砕いでいえば、フレイルになると日常生活がしんどいものになり、精神的にも後ろ向きになりがちになります。しかしフレイルは、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。具体的な介入方法は運動と栄養です。
日常的な多目的身体活動からの離脱がフレイルと前向きに関連し、フレイルの原因にしばしば存在する慢性炎症によって変化している可能性があるかどうかは未解明です。
健康でフレイルになる前の高齢者を対象に行われた研究では
- 1日の総活動時間が長い
- 1日の活動回数が多い
- 休んでいる時間が少ない
こうした行動パターンを持つ人ほど、フレイルに移行しにくくなるようです。研究の概要は以下の通りです。
研究方法
健常/プレフレイル成人477名(平均年齢76±5歳,女性42%)のStudy to Understand Fall Reduction and Vitamin D in Youデータを用いて,Cox比例ハザード回帰により加速度計のパターン(1日の活動回数,1日の活動分,活動の断片化(壊れた蓄積))がフレイル発症と関連するかどうかを検討した.また、各加速度計の指標とインターロイキン-6、C反応性タンパク質、腫瘍壊死因子-α受容体1を含む炎症マーカーとのベースライン交互作用についても検討した。
結果
平均1.3年の間に42人(9%)が虚弱になった。人口統計学、病状、機器装着日数で調整したCox回帰モデルでは、ベースラインの活動時間が30分・d-1ごとに高く、1日の活動回数が10万回多く、活動の断片化が1%少ないことは、それぞれ16%(P=0.003)、13%(P=0.001)、8%(P<0.001)フレイルリスク低減と関連があった。加速度計の指標とベースラインのインターロイキン-6、CRP、腫瘍壊死因子α受容体1との相互作用は検出されなかった(相互作用はすべてP>0.06)。
結論
健常/プレフレイルの高齢者において、毎日の身体活動の制限されたパターン(すなわち、総活動時間および回数が少なく、活動の断片化が多い)は、フレイルの高いリスクと前向きに関連していたが、フレイル関連の慢性炎症によって変化することはなかった。この関連性が因果関係であるかどうかを理解するためには、さらなる研究、特に臨床試験が必要である。
まとめ
将来、低体力の影響によりフレイルにならないようにするためには、日常的に活動機会を多くしておく必要があります。
- ジムで運動をしたり、河川敷をウォーキングしたりする。
- 買い物や旅行など出かける機会を作る。
- 趣味を作ったり、趣味を通じたコミュニティに参加する。など
例えば、こういった機会を自ら作っていく必要があるといえます。仕事を引退して(65歳くらい)からこのような取り組みをするのはハードルが高いかもしれません。
50代後半くらいから仕事の付き合いなどを通じてコミュニティを形成または参加していくと引退後もスムーズに活動量の多い生活が送りやすくなるでしょう。
運動は歯磨きみたいなものなので、やる習慣・やらない習慣の人に分かれるので、特に体力が落ちやすく健康上の問題が顕在化しやすくなる40〜50代のうちからトレーニングの習慣と知識技能を身につけておくのがおすすめです。
フレイルにならないよう若いうちから対策をしておきましょう。
参考文献
Patterns of Daily Physical Movement, Chronic Inflammation, and Frailty Incidence
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