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  • 2023.07.22

米国の筋力強化活動ガイドライン遵守傾向と日本のこれから

蓄積された研究エビデンスにより、筋力強化活動(MSA:要は「筋トレ」)は、慢性疾患の管理や予防だけでなく、健康増進の基礎としても位置づけられています。筋力強化活動を行うことは、成人の身体機能やQOLを改善し、抑うつ症状や不安症状を軽減することが示されています。

コホート研究の最近のメタアナリシスでは、筋力強化活動は成人における心血管疾患、がん、糖尿病、肺がん、全死亡のリスクを10~17%低下させることと関連していました。実際、週に1回程度の筋力強化活動の実施でも、死亡リスクと強い逆相関があることが示されています。

このような理由から、公衆衛生のガイドラインでは、2007年以降、筋力強化活動の推奨が採用されています。

世界保健機関(WHO)と米国人のための身体活動ガイドラインは、成人に週2日以上筋力強化活動を行うよう勧告しています。

今回は、1997年から2018年までの米国人における筋力強化活動ガイドライン遵守の浸透度と傾向を、異なる年齢と性別で評価することを目的とした研究を紹介します。

簡単にまとめると以下の通りです。

  • 筋力強化活動の遵守率は、慢性疾患と死亡率の両方の重要な予防因子と考えられている。
  • 筋力強化活動ガイドラインへの遵守率は、全年齢層で増加したが、全体の遵守率は30%以内にとどまった。
  • 筋力強化活動ガイドラインへの遵守率が低いサブグループに特に焦点を当てた今後の戦略が必要。

目的:1997年から2018年(Covid 19以前)までの米国人口における筋力強化活動(MSA)ガイドラインの遵守率と時間的傾向を評価することを目的とする。

方法:National Health Interview Survey of the US(NHIS;横断的世帯面接調査)の全国代表データを用いた。連続22サイクル(1997~2018年)のデータをプールし、18~24歳、25~34歳、35~44歳、45~64歳、≧65歳の成人におけるMSAガイドライン遵守の有病率と傾向を推定した。

結果:合計651,682人の参加者(平均年齢47.7歳[SD=18.0]、女性55.8%)が対象となった。MSAガイドラインへのアドヒアランスの全有病率は、1997年から2018年にかけて有意に増加した(p<0.001)(それぞれ19.8%から27.2%)。1997年から2018年にかけて、すべての年齢層でアドヒアランスレベルが有意に上昇した(p<0.001)。白人非ヒスパニック系と比較して、ヒスパニック系女性のオッズ比は0.5(95%CI = 0.4-0.6)であった。

結論:20年以上のスパンで、MSAガイドラインの遵守はすべての年齢層で増加したが、全体の遵守率は30%未満にとどまった。今後、高齢者、女性、ヒスパニック系女性、現在喫煙者、教育レベルの低い人、機能的制限や慢性疾患を有する人に特に焦点を当てた、MSAを促進するための介入戦略が必要である。

まとめ

フィットネス先進国かつ国民皆保険が無い自己健康管理を迫られる米国でも筋トレの遵守率は30%にも満たないという結果でした。

日本は国民皆保険制度があるため、病気をしても低価格(税金が投じられているから)で医療サービスを受ける事が出来ます。そのため、筋トレの浸透率は依然として低いままです。(4~5%程度といわれています。)

また、筋トレなどの身体活動に定期的に取り組むと、様々な病気が改善し、発症率も低下する事は多くの研究で明らかになっております。が、その効果の認知度としては低く、逆に健康食品やサプリメントなどの眉唾物ばかりがフォーカスされ、多くの人がそれに飛びついているのが現状です。貴重な可処分所得と時間をドブに捨てています。

皆が筋トレに参加すれば、健康寿命は増え、医療費は下がり、国民の可処分所得は増える事は容易に想像できます。

少子高齢化が進む日本ですから、いずれ財政面で皆保険制度も改悪を余儀なくされると思っておいた方が良いかもしれません。現に条件付きですが、令和4年10月1日から後期高齢者の窓口負担が増えます

特に氷河期世代はこれまで色々と政府からハシゴを外されてきたので、健康で長く働けるように運動習慣を身に付けておく必要があります。

自宅やジムでの筋トレや有酸素運動のやり方、運動の効果などIGFのブログで沢山紹介していますので参考にしてください。下記にブログの目次を貼ってあります。


参考文献

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