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  • 2022.10.13

脊椎すべり症/分離症のための体幹トレーニング

今回は沢山の人が悩んでいるであろう「腰痛」についてです。

脊椎すべり症は椎骨が前後にずれている状態です。分離症に伴って起こるすべり症(分離すべり症)と、分離に伴わないもの(変性すべり症)とに分けられます。

分離すべり症は椎間関節の分離によって脊椎の安定性が悪くなり、さらに成長期では椎体が変形したり、壮年期では椎間板が変性するなどして発症します。分離に伴わないすべり症は、椎間板の変性によるものが多く、腰部脊柱管狭窄症の原因となっています。

脊椎分離症は椎間関節の基部の骨が分離する状態です。

原因として、腰の曲げ伸ばしや捻り運動を繰り返すことで徐々に骨の分離が起こるとする「疲労骨折説」があります。骨が成熟していない少年期にスポーツで腰部に繰り返し負担がかかることで発症する場合があります。

ともに腰の疾患で、これらを抱えている人は多くいらっしゃいます。今回はこれら疾患に加え、腰部慢性痛にも効果的なエクササイズを解説します。

腰部安定化運動と屈曲運動の有効性の比較

方法:50歳以上の92名を対象とし、腰椎安定化運動と屈曲運動に無作為に割り付けた無作為化比較試験を行った。参加者は6回の理学療法(毎月の予約)を受け、研究期間中の6ヶ月間、自宅で毎日エクササイズを実行するよう指導された。主要アウトカム(ベースライン、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後に測定)は、疼痛強度および障害であった。副次的評価項目は、ベースライン時と6ヵ月時の障害(、肥満度の変化、柔軟性(指先から床まで、センチメートル単位)、および6ヵ月後の鎮痛剤使用日数の合計であった。

結果:群間の平均差は有意ではなかった(腰痛:0.56 [95% CI = -11.48 to 12.61]; 神経痛:-1.23 [95% CI = -14.11 to 11.64]; Oswestry Disability Index.については、-0.61 [95% CI = -12.61] 。-0.61 [95% CI = -6.92 to 5.69]; Roland-Morris Disability Questionnaireの場合。0.53[95%CI=-1.69~2.76])。

結論:本研究の結果、屈曲運動は、慢性腰痛およびすべり症の患者における痛みの制御および障害の改善において、安定化運動と比較して劣るものではなく、同様の効果をもたらすことが明らかとなった。

影響:運動は慢性腰痛およびすべり症患者の治療の柱である。しかし、特定の運動プログラムの優劣については、まだコンセンサスが得られていない。本研究では、屈伸運動は安定化運動と比較して劣っておらず、同様の効果が得られることを明らかにした。

まとめ:慢性腰痛やすべり症の患者にとって運動は治療の柱であるが、特定の運動プログラムの優劣をめぐるコンセンサスは得られていない。すべり症の場合、屈曲運動は安定化運動と同様の効果が得られるかもしれません。

この研究では、腰椎安定化運動(プランクなどの体幹固定化エクササイズ)と屈曲運動(上体起こしのような繰り返し上げ下げするエクササイズ)は、どちらも痛みの制御や障害の改善に効果的だったとしています。

もう1件紹介します。

方法:本研究は、テストレテストデザインを用いた二重盲検ランダム化比較試験(RCT)であり、並行群である。グレードIの脊椎すべり症患者26名を実験群(13名、腰部分節安定化運動)と対照群(13名、一般運動)に無作為に割り付け、実験群では、腰部分節安定化運動と対照群では、腰部分節安定化運動と一般運動が行われた。その後、痛み、機能障害、運動恐怖症、並進運動、角運動、椎骨の滑り率について調査した。

結果:本研究で募集した120名のうち、対象となった患者は26名のみであった。介入前後の比較によると、実験群では、疼痛(p = 0.000)、機能障害(p = 0.004)、運動恐怖症(p = 0.002)、並進運動(p = 0.043)、角運動(p = 0.011)に関して統計的に有意な低下が観察されたが、滑り率(p = 0.122)についてはそうでなかった。対照群を考慮すると、疼痛(p = 0.043)および機能障害(p = 0.002)については統計的に有意な低下が報告された。しかし、その他の変数については、対照群に有意な差は認められなかった。グループ間比較では、運動恐怖症(p = 0.040)を除いて、与えられた変数に関して2つのグループ間で統計的に有意な差は見られなかった。

結論:腰部分節安定化運動と一般的な運動は、Grade-Iの脊椎すべり症患者の痛みと機能障害を軽減させた。したがって,腰部分節安定化運動は,運動恐怖症と椎間運動の改善に関して,一般的な運動よりも優れていると思われる.

この研究では、腰部分節安定化運動(プランクなどの体幹固定化エクササイズ)と一般的な運動(上体起こしのような繰り返し上げ下げするエクササイズ)との比較でした。この研究でも、どちらの運動でもGrade-Iの脊椎すべり症患者の痛みと機能障害を軽減させたようです。

ただ、患者が患部をトレーニングする事に対する“恐怖感”と“椎間へのストレス”は体幹を固定するエクササイズの方が低かったようです。

まとめ

これまでの理学療法アプローチでは腰椎・腰部に問題を抱えている人に対する運動処方は体幹固定化エクササイズが用いられてきました。

現段階の研究においても、その意見は変わらないようです。

上体起こしのような腹筋エクササイズも痛みの改善は出来るようですが、体幹固定化の方が腰堆の構造的に対するストレスが少ないので、あえて上体起こし系エクササイズを導入する意味は無いと言えます。一方で、上体起こしのような屈曲エクササイズはヘルニアを誘発する動きでもあるので、デメリットもあります。

体幹固定化エクササイズは

  • プランク
  • サイドプランク
  • ヒップリフト

これらが代表的な種目です。

各種15~30秒ずつくらいで3~5セット行うと良いでしょう。1分以上はやらなくて良いです。正しいフォームを維持する事が目的なので、休憩を挟みながらセット数を増やす方が賢明です。

頭から足まで一本の軸が真っ直ぐ(正面・横からみて真っ直ぐ)である事を意識しましょう。


参考文献

脊椎手術.com:脊椎分離症/すべり症

Stabilization Exercises Versus Flexion Exercises in Degenerative Spondylolisthesis: A Randomized Controlled Trial

Comparison of lumbar segmental stabilization and general exercises on clinical and radiologic criteria in grade-I spondylolisthesis patients: A double-blind randomized controlled trial

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