運動後ストレッチの回復への有効性(効果は無い)
みなさん、静的ストレッチ(いわゆる筋肉を伸ばして保持するストレッチ)は何の為に行いますか?
ほとんどの方が、柔軟性を向上させたい、疲労を軽減したい、といった理由で実施しているのではないでしょうか。
果たして“ストレッチ”は本当に効果があるのか?まずはこの前提を疑ってかからなければなりません。多くの人がストレッチに対して『効果がある』と言い伝えを鵜呑みして実施しているように感じます。
ちなみに私はずいぶん前からお客様に対して、『ストレッチは不要です。時間の無駄です。』と説明しています。もちろん以下のような研究の結果を交えつつ、分かりやすく説明しています。
今回はそんな静的ストレッチの効果を改めて確認してみたいと思います。
背景
運動後(すなわちクールダウン)のストレッチは、体力と可動域(ROM)の回復を改善し、運動後の遅発性筋肉痛を軽減させるために一般的に処方されている。しかし、運動後のストレッチングが他の運動後の方法よりも回復に優れているかどうかは疑問が残る。
目的
運動後のストレッチが短期的(運動後1時間以内)および遅延的(例:24時間以上)な回復(例:DOMS、筋力、ROM)に及ぼす影響について、安静または代替回復方法(例:低強度サイクリング)と比較して、監督下ランダム化比較試験(RCT)の系統的レビューおよびメタ解析を提供すること。
方法
このシステマティックレビューはPRISMAガイドライン(PROSPERO CRD42020222091)に従った。P.I.C.O.S.の基準に従い、言語や年代を問わず発表されたRCTを対象とした。検索は8つのデータベースで行われた。バイアスのリスクはCochrane RoB 2で評価し、メタ解析には逆分散ランダム効果モデルを使用した。研究の方法論的質の評価にはGRADEを使用した。
結果
17,050件の記録から、11件のRCTが定性的分析に、10件がメタ分析に含まれた(n = 229人、17~38歳、ほとんどが男性)。運動プロトコルは研究によって異なっていた(例:サイクリング、筋力トレーニング)。運動後のストレッチには、静的ストレッチ、受動的ストレッチ、固有受容性神経筋促通が含まれた。8つの研究では、受動的回復(すなわち、安静)が比較対象として用いられ、低強度のサイクリングまたはランニング、マッサージ、冷水浸漬などの回復プロトコルが追加された。研究の70%において、バイアスのリスクは高いものであった。グループ間比較では、受動的回復と比較した場合、運動後のストレッチは筋力回復に効果がないことが示された。さらに、受動的回復と比較した場合、運動後のストレッチは運動後24、48、72時間の遅発性筋肉痛に影響を及ぼさなかった。
結論
今のところ、運動後のストレッチを回復目的で適用すべきかどうかは支持できないため、回避されるべきである。
まとめ
このように、多くの人が思い描いているほどストレッチの効果は高くはない、というかストレッチをしたとしても筋力は回復しないし、筋肉痛を軽減させることもないという事が分かっています。安静と効果は変わらないのです。
乱暴に言えば時間のムダであると言えます。一般の人にとってわざわざ時間を割いてまでストレッチをする必要は無いと言えるでしょう。そんな時間があるなら、入浴や読書で安静にしている方が良いでしょう。
また、柔軟性を向上させたいなら適切な可動域で筋力トレーニングを実施した方が良いです。運動は関節可動域を向上させるし、筋力や心臓血管系を強化し、代謝も向上させてくれます。ストレッチにはここまで多くの恩恵はありません。
仮に柔軟性が向上して『ペタッと開脚できる』ようになったとしましょう。『だから何?それが日常生活で何の役に立つのか?』と言われたらオシマイです。実際、柔軟性が向上しても転倒を予防してくれるわけでもないし、代謝が良くなるわけでもありません。ただ“開脚できるようになっただけ”です。
人生の時間は限られています。ムダなものを省いて有効な事、または自分の趣味などに時間を使いましょう。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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