閉経後および高齢女性における筋力トレーニングの筋肉量への効果
加齢に伴う筋肉量と筋力の低下は、身体障害や虚弱の原因となり、全体として転倒リスクの上昇と関連しています。
複数の研究により、筋肉量の低さと機能的能力の低さとの間に関連性があることが判明しています。さらに、筋肉は非常に代謝の良い組織であるため、筋肉量の低下は、糖尿病、骨粗しょう症、テストステロンや成長ホルモンレベルの低下など、老化に伴う代謝障害が頻繁に起こる可能性があります。
したがって、筋肉量の減少は、高齢者にとって重要な問題です。
月経停止による生理的なホルモンの変化があるため、筋肉量の減少は更年期障害とも関連します。特に、エストロゲン濃度の低下は、骨格筋量および機能性に有害な影響を及ぼし、骨量密度の低下、内臓領域への脂肪の再分配、心血管イベントのリスク上昇をもたらします。特に、骨格筋量が減少している閉経後の女性は、筋量が保たれている女性と比較して、転倒のリスクが2.1倍高く、骨折をするリスクが2.7倍高いです。
閉経後、中年、高齢の女性で筋力トレーニング後に筋肉量の改善が検出されていることから、筋力トレーニングは筋肉量と筋力の低下を抑制する方法として使用できます。
今回は、閉経後と高齢の女性に対する筋力トレーニングの筋肉量への効果をみていきたいと思います。
既存の文献をレビューし、健康な閉経後および高齢の女性においてのみ、RTプロトコルを実施し、筋肥大を評価した研究を特定した。参加者の年齢層は、50~80歳であった。観察された主要アウトカムは、筋肥大であった。脂肪量も可能であれば評価した。
データベースはPubMedとWeb of Scienceを使用し、2000年から2020年までに出版された英語による原著論文を対象とした。26の論文が適格とされ、含まれた。
研究デザイン、介入期間(平均16週間)、トレーニング頻度(3日/週)、エクササイズ数(n=7.4)、参加者の年齢(65.8±4.9歳)に関して、研究間で異質性が存在した。
閉経後女性および高齢女性において、年齢、介入期間、週当たりのトレーニング頻度および運動回数にかかわらず、除脂肪体重の小から中程度の有意な増加 が観察された。
脂肪量については、効果は認められなかった。今後の研究は、加齢と閉経が骨格筋量に及ぼす影響に効果的に対抗するためのトレーニング・パラメーターに関する情報を提供することが望まれる。
以上のように、研究により、閉経後あるいは高齢の女性でも筋力トレーニングにより除脂肪体重(筋肉量)が増加する事が分かっています。
脂肪量についての効果はありませんが、これは脂肪量が食事(栄養)に大きな影響を受けるためです。
男女共に言える事ですが、加齢に伴い筋肉量の低下量が大きくなっていくので、年を重ねるごとに筋力トレーニングをした方が良いですし、その頻度を多くした方が良いです。(30~50代は週2回程度で良いが、50代~は週2~3回行った方が良い。)
まとめ
骨格筋量が減少している閉経後の女性は、筋量が保たれている女性と比較して、転倒のリスクが2.1倍高く、骨折をするリスクが2.7倍高いというのは冒頭に述べました。その他、トレーニングが骨量に対して与える影響も気になると思いますので、これは後日紹介したいと思います。
筋力トレーニングをまだ始めていない方は、1日でも早く始めると良いでしょう。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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