高齢女性の筋力トレーニング
筋力、身体能力、代謝の適応を改善するためのレジスタンストレーニング(RT)の最適な強度は、高齢者においてはまだ十分に確立される必要があります。
アメリカスポーツ医学会と全米ストレングス&コンディショニング協会の現在の見解に基づき、高齢女性の筋力、機能的パフォーマンス、骨格筋量、水分補給状態、代謝バイオマーカーに対する2つの異なるRT負荷の効果が比較されました。
方法:高齢女性1001名を無作為に割り付け、12週間の全身RTプログラム(8エクササイズ、3セット、週3日非連続)を最大8~12回(RM)と10~15RMの2群に分けて実施した。筋力(1RMテスト)、身体能力(運動テスト)、骨格筋量(二重エネルギーX線吸収測定法)、水分補給状態(生体電気インピーダンス)、代謝バイオマーカー(グルコース、総コレステロール、HDL-c、トリグリセリド、C反応性蛋白)をベースライン時とトレーニング後に測定した。
結果:筋力に関しては、8~12RMはチェストプレスとプリーチャーカールにおいてより高い1RM増加を促進したが、レッグエクステンションでは促進しなかった。両群とも、歩行速度、30秒椅子立ち、6分間歩行テストにおいて機能的パフォーマンスを向上させたが、群間差はみられなかった。10-15RM群は、水分補給状態(全身の水分、細胞内水分、細胞外水分;P)において優れた改善を示し、骨格筋量(2.5%対6.3%)、上肢(3.9%対9.0%)および下肢除脂肪軟部組織(2.1%対5.4%)において高い増加を示した。両群とも代謝プロファイルが改善した。しかし、10-15RMでは、グルコースの減少(-0.2% vs -4.9%)とHDL-cの増加(-0.2% vs +4.7%)が大きく、他の代謝バイオマーカーについては群間差はなかった。
結論:我々の結果は、高齢女性において、下肢の適応反応と機能的パフォーマンスは同様であるのに対し、上肢の筋力増強には10-15RMよりも8-12RMの方が効果的であることを示唆している。対照的に、骨格筋量の増加には10-15RMの方が効果的であり、この適応には細胞内水分補給の増加と代謝プロファイルの改善が伴うと考えられる。
まとめ
筋力を高める場合と、筋肉量を増やす場合とでは取り扱う重量が異なります。今回の結果は、これまでの研究と同様の主張でした。
血糖の減少やHDL(善玉)コレステロールの増加には10-15RMの方が効果量が大きかったようです。
高齢という事もあり、構造的(骨が負荷に耐えれるのか)な問題も考慮すると基本的には10-15RMを用いたトレーニングを行い、身体がトレーニングに適応してきたと判断したら8-12RMを取り入れたりするようなプログラムを組むと良いと思います。トレーニングの期分けというやつですね。
この研究も考慮に入れつつ今後のプログラム作成に役立てていきたいと思いました。
参考文献
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モニター/症例
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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