高齢者の機能性と筋力に対するトレーニングの効果
高齢者の筋力トレーニング参加は、日常生活での作業能力が改善する、というのが1つの目標になる事が多いと思います。
歩く速度(一定範囲での行動スピード)が向上したり、長時間作業を続けられる持久力が向上したり、などです。
トレーニングプログラムには、軽い負荷だけど早く挙上する方法と、ゆっくりになってしまうが重い負荷を挙上する方法があります。
“パワー=力×速度”なので、上記2パターンのトレーニング方法でパワーが同じ場合、効果は変わるのか?を考える事ができます。
これを知る事で、高齢者の普段のトレーニングプログラムに追加するなら、高負荷で行うのが良いか?低負荷で行うのが良いか?1つの判断基準として使える事ができます。
結論からいうと、最適負荷をわずかに上回る負荷の短期パワートレーニング(すなわち、重めの負荷で、5週間を通して10セッション)を追加することで、活動的な高齢者の機能的パフォーマンスと心血管系持久力が改善する可能性があります。
本研究は、パワーは同等だが負荷強度が異なる2つのトレーニングプログラムが、高齢者の機能性、筋力、パフォーマンス、身体組成に及ぼす効果を比較することを目的とした。
活動的な高齢者44名(女性23名)(66.3±4.5歳)を、低負荷高速度(LL-HV)群、高負荷低速度(HL-LV)群、対照(CON)群に無作為に割り付けた。
低負荷高負荷群および高負荷低負荷群は、週2回、5週間、各自のピークパワー(PP)の95%で、負荷強度の異なる3種目(チェストプレス(CHP)、レッグプレス(LP)、シーテッドロー(SR))のレジスタンストレーニングを行った。介入前後で、身体組成、機能的パフォーマンス、最大随意等速性筋力(MVF)、PP、相対的負荷-パワープロファイル(L-PP)を各エクササイズについて評価した。
PPはSRとLPにおいて実験群で同様に改善した。
両群とも3つのエクササイズでMVFが増加した。
SRのLL-HVとLPのHL-LVでは、L-PPにプラスの効果が観察された。
CONは、SRとCHPにおいて、ベースラインと比較してグローバル・パワー・パフォーマンスが低下した。
両実験群ともTimed Up and Goの成績は改善したが、HL-LVのみが6分間歩行成績を向上させた。結論として、非監督の多成分トレーニングに、最適負荷をわずかに上回る負荷の短期パワートレーニング(すなわち、5週間を通して10セッション)を追加することで、活動的な高齢者の機能的パフォーマンスと心血管系持久力が改善する可能性がある。
まとめ
普段のトレーニングを一定期間(例えば2、3ヶ月)実施したのち、5週間程度、普段より少し重めの負荷でパワートレーニングを行う事で、高齢者の機能的パフォーマンスと心血管系持久力が改善する可能性があります。
トレーニング効果とトレーニングのバリエーションとして、こういったパワートレーニングを実施を検討すると良いと思われます。
参考文献
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パーソナルトレーナー 井上大輔
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- BMJ sport medicine/ブリティッシュメディカルジャーナル
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